メニュー表で「バリニーズ」という名前を見かけて、なんとなくアジアンリゾートの雰囲気を思い浮かべる。ただ、他のオイルマッサージと何が違うのかと聞かれると、答えられない。
こういう方は多いと思います。実際、「バリニーズマッサージとアロマオイルマッサージの違いは何ですか」というご質問を、私たちもよくいただきます。
この記事では、バリニーズマッサージが何なのかを、成り立ちから技法まで通して書きます。バリ島の伝統医療がどう体系化されてきたのか。施術中に体の中で何が起きているのか。そして「痩せる」「毒素が出る」といった説明がどこまで正しいのか。順に見ていきます。
先に結論を書いておきます。バリニーズマッサージは、バリ島に1,500年ほど伝わる伝統医療を背景に持つ、オイルを使った全身の施術です。手のひらと前腕を使って体重を乗せ、ゆっくりとした持続的な圧をかけていく点に特徴があります。強く揉みほぐすものでも、脂肪を燃やすものでもありません。
バリニーズマッサージとは、どういう施術か
定義から入ります。
バリニーズマッサージとは、インドネシアのバリ島に伝わる伝統医療の体系を背景に持つ、植物油を用いた全身のトリートメントです。指圧に近い点圧、皮膚をなでるように流す長いストローク、関節をゆっくり動かす操作を組み合わせます。
他のオイルマッサージと比べたときの特徴は3つあります。
- 手のひらや前腕といった広い面を使い、体重を乗せて圧を入れる
- 末端から心臓へ向かう方向を基本とする
- 香りを持つ植物油を使い、皮膚からと嗅覚からの両方で働きかける
この3つが揃っていることが、バリニーズマッサージと呼ばれる施術のおおよその共通点です。ただし、店舗や流派によって内容には幅があります。日本で提供されているものが、バリ島の伝統そのままというわけでもありません。
バリ島の伝統医療から生まれた
成り立ちを見ていきます。ここを知ると、施術の組み立ての理由が分かりやすくなります。
バリ島には「ウスマダ」と呼ばれる伝統医療の体系があります。この言葉は、サンスクリット語で薬用植物や治癒を意味する「アウサディ」に由来します。5世紀ごろ、ヒンドゥー教の伝来とともにインド亜大陸から知識がもたらされました。それがバリ島にもともとあった信仰と混ざり合い、形づくられたものです。
ヤシの葉に刻まれて伝えられた
この知識がどう受け継がれてきたかが、少し変わっています。
紙ではなく、ロンタルと呼ばれる乾燥させたヤシの葉に刻まれました。文字は古代ジャワ語やバリ語です。師から弟子へ、親から子へと、この葉を通じて伝えられてきました。
薬草の調合、病の見立て、体への手技。これらが1枚ずつの葉に記録され、束ねて保管されました。1枚が傷んでも、その葉だけを差し替えられる形式です。
健康を、3つの調和として捉える
ウスマダの根底には、トリ・ヒタ・カラナという考え方があります。
神や宇宙との関係、人と人との関係、そして自然環境との関係。この3つの調和が保たれている状態を健康と捉えます。体だけを切り出して診るのではなく、その人が置かれている関係の全体を見ます。
あわせて、世界を2つの層で捉える見方があります。目に見える物質の世界をセカラ、目に見えない世界をニスカラと呼びます。不調は、この両方における調和の乱れとして理解されてきました。
現代の日本でこの世界観をそのまま採用する必要はありません。ただ、バリニーズマッサージが「悪いところを治す」という発想から出発していないことは、知っておくと受け止め方が変わります。肩がこっているから肩を、という組み立てではなく、全身を通したうえで必要な部位に時間をかける形が基本になっています。
施術を担っていたのは、どういう人か
バリ島の伝統的な治療者は、バリアンと呼ばれます。このバリアンには専門の分かれがあります。
| 呼び名 | 担っていたこと |
|---|---|
| バリアン・ウスマダ | ロンタルを読み解き、薬草を調合する |
| バリアン・クタクソン | 特殊な状態に入り、霊的な見立てを行う |
| バリアン・アプン、バリアン・ウラット | マッサージや骨の処置といった、体に直接触れる施術を行う |
現代のバリニーズマッサージの手技は、この3番目、体に直接触れる施術を担っていた系統の技術を反映していると考えられています。薬草や霊的な見立ての部分は切り離され、手技の部分が残って世界へ広がった、という流れです。
1937年に、西洋医学の視点で記録された
ウスマダが学術の対象になった時期が、はっきりしています。
オランダ領東インドの統治下にあった1930年代のことです。政府に勤務していたドイツ人の医師が、1937年に1冊の著作を発表しました。日本語にすると「バリ島の医学と民俗」にあたる本です。
ヴェックは、ロンタルに記されていた内容を西洋医学の視点から体系化し、翻訳しました。病の捉え方、見立ての手順、薬草の調合、体への処置の原則。これらが文書として整理されました。その結果、バリ島の伝統医療は文化人類学と民族医学の研究対象として国際的に認知されるようになりました。
この著作は、現在もオランダのライデン大学の資料として参照できます。1,500年ほど、口伝えと葉の記録で受け継がれてきた体系です。それが90年ほど前に外から記述されたことで、いま私たちが辿れる形になりました。
3つの文化が混ざってできている
バリニーズマッサージの技法には、複数の地域の影響が重なっています。
| 影響のもと | 受け継がれているもの |
|---|---|
| インド | 生命エネルギーが集まるとされる点への刺激、薬草を浸した温かいオイルを全身に塗る手法 |
| 中国 | 体を巡る通り道とその上の点という捉え方、点を押さえる手技 |
| インドネシア固有 | ジャムウと呼ばれる生薬、ボレという温熱ペースト |
ジャムウは、マドゥラ島を発祥とする生薬の伝統です。ボレは、米粉にクローブやショウガ、ウコンを混ぜて練ったペーストで、体に塗ると温かさを感じます。毛細血管を広げて血のめぐりを促すとされ、その目的で使われてきました。
香辛料の交易路の上にあったという土地の条件が、この重なりを生みました。バリニーズマッサージが単一の起源を持たないのは、島の位置そのものによるものです。
この重なり方には、順序があります。まず土着の信仰と手技がありました。そこへインドから、点への刺激と、薬草を浸した油を全身に塗る体系が入ります。さらに交易を通じて、中国から通り道という捉え方と、点を押さえる手技が加わりました。点を扱う発想は、2つの経路から重なって届いています。あとから来たものが前のものを置き換えたのではなく、層として積み上がっています。
現在のバリニーズマッサージに、点を押さえる手技と、長く流すストロークの両方が含まれているのは、この積層の結果です。片方だけを取り出すと、別の施術になります。
施術中、実際に何をしているのか
ここからは手技の話です。バリニーズマッサージが「ゆっくりで深い」と説明される理由を、動きの側から見ていきます。
指先ではなく、前腕と手のひらを使う
大きな筋肉を扱うとき、指先や親指では面積が足りません。狭い面積に力が集まると、受け手には鋭い痛みとして伝わります。押されている側は反射的に力を入れて逃げようとします。
バリニーズマッサージでは、背中や太もものような広い部位に対して、手のひらの付け根や前腕を使います。面が広いぶん、同じ力でも1点あたりの圧は下がります。
ここが少し意外なところです。1点あたりの圧が下がると、体は身構えません。痛みとして受け取らないため、押し返す力が働かない。押し返されないぶん、力は途中で跳ね返らずに奥まで伝わります。強く押すほど深く届く、という関係にはならないということです。
肩甲骨のまわりにある硬いしこりや、細かい点を狙うときは、母指に切り替えます。部位に応じて道具を持ち替えるように、使う場所を変えていきます。
腕の力ではなく、体重を移す
圧を生んでいるのは、腕の筋力ではありません。
施術者はベッドの上部か側面に立ち、重心を移動させることで圧をかけます。自分の体重を、手のひらや前腕を通して相手へ預けるという動きです。
この方法には理由が2つあります。1つは、腕の力で押すと圧が不安定になり、施術者が疲れるほど質が落ちること。もう1つは、体重による圧のほうが、受け手にとって圧の立ち上がりが緩やかになることです。
受け手の息に合わせて、圧を深める
圧を入れるタイミングにも決まりがあります。
受け手が息を吐いているときに、垂直方向へゆっくりと圧を深めていきます。息を吸っているときは胸郭が広がり、体には力が入っています。この状態で押し込むと、体は抵抗します。
吐いているときは、その逆です。筋肉の緊張が緩む方向に体が動いているので、同じ圧でも深くまで入ります。受け手も、押されているという感覚を持ちにくくなります。
施術中に眠ってしまう方が多いのは、この呼吸との同調が関係していると考えています。自分の呼吸に合わせて何かが動いている状態は、体にとって警戒しなくてよい合図になります。
末端から心臓へ向かう
圧をかける方向は、手足の先から体の中心へ向かうのが基本です。
足であれば足首から膝、膝から股関節へ。腕であれば手首から肘、肘から肩へ。長く滑らかな、途切れないストロークで流していきます。
静脈やリンパ液が体の中心へ戻る向きと同じであるため、この方向が選ばれていると説明されるのが一般的です。ただし、この流れを促すことで実際に何が起きているのかについては、後の章で正確に書きます。期待されがちなことと、実際に確認されていることのあいだに差があるためです。
皮膚をつまんで転がす
スキンローリングと呼ばれる手技があります。皮膚と、そのすぐ下にある薄い膜をつまみ上げ、指のあいだで転がしながら移動させていくものです。
強く押し込む手技とは、届いている層が違います。深い筋肉ではなく、皮膚と浅い層に対して働きかけます。背中や腰でこれを行うと、独特のくすぐったさと心地よさが混ざった感覚になります。
オイルと香りが、体に入っていく道すじ
バリニーズマッサージがオイルを使う施術である以上、その成分がどうなるのかは押さえておきたいところです。
500という境目
皮膚には、外から物が入ってこないようにする働きがあります。表面にある角質層がその役割を担っています。
ここに、分子の大きさに関する目安があります。分子量が500ダルトンを超える物質は、角質層を通過しにくいという経験則です。化粧品や外用薬の分野で、経皮吸収を考えるときの基準として使われてきました。
精油に含まれる香りの分子は、そのほとんどが300ダルトン以下です。しかも脂に溶ける性質を持っています。角質層の細胞のあいだを埋めている脂質になじむため、比較的通りやすい部類に入ります。
入っていく道すじは3つあるとされています。細胞と細胞のあいだを通る経路、細胞そのものを透過する経路、そして毛穴や汗腺を通る経路です。
香りだけが、別の道を通る
もうひとつの入口が、鼻です。そしてこちらには、他の感覚にはない特徴があります。
視覚や聴覚、触覚から入った情報は、視床という中継地点を経由してから大脳の各所へ送られます。ところが嗅覚だけは、この中継を経由しません。鼻の奥にある嗅上皮の受容体から嗅球へ、そこから感情や記憶に関わる領域へ直接入力されます。
香りをかいだ瞬間に昔の記憶がよみがえることがあります。あの現象が起きるのは、嗅覚だけが感情と記憶の領域に直接つながっているためだと考えられています。
アロマトリートメントで香りを選ぶことに意味があるのは、この経路のためです。心地よいと感じるかどうかが、施術中の体験そのものに影響します。
ラダシアで選べる4種類
ここからは当店の話です。ラダシアではこの施術を「バリニーズアロマ」というコース名でご提供しています。ここまで説明してきたバリニーズマッサージの技法に、香りを選んでいただく工程を組み込んだものです。技法そのものは変えていません。
そのバリニーズアロマでは、4種類の精油からお選びいただけます。
| 精油 | 主な成分 | 香りの印象 |
|---|---|---|
| ラベンダー | 酢酸リナリル、リナロール | 穏やかで、やわらかい花の香り |
| ローズマリー | 1,8-シネオール、カンファー | すっきりとした、少し鋭さのあるハーブの香り |
| ゼラニウム | シトロネロール、ゲラニオール | バラに似た、甘さと青さのある花の香り |
| グレープフルーツ | リモネン | 明るく、みずみずしい柑橘の香り |
選び方に正解はありません。当日にかいでいただいて、心地よいと感じたものをお選びください。体調によって、同じ人でも好みが変わります。前回よかった香りが今日は重く感じる、ということが実際に起こります。
その日に体が求めているものを選ぶ、という考え方でかまいません。迷われる場合は、施術の前にセラピストへお伝えください。
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正直に書きます。痩せるための施術ではありません
バリニーズマッサージを紹介する記事の多くに、「デトックス効果」「ダイエット効果」という言葉が出てきます。ここは正確に書いておきたいところです。
脂肪が燃えることはない
マッサージの物理的な圧力によって、脂肪細胞のなかの脂質が分解されたり燃焼したりする。これを裏づける生化学的な根拠は、現在のところ存在しません。
薬理学の分野の総説でも、この点は明確に整理されています。手で圧をかけるという行為と、脂肪が代謝されるという現象のあいだに、経路が確認されていないということです。
では、施術後にサイズが変わるのはなぜか
実際、施術の前後で脚まわりを測ると数値が変わることがあります。あれが何なのかを説明します。
変わっているのは、細胞と細胞のあいだにたまっていた水分の量だと説明されています。静脈の血液とリンパ液が体の中心へ戻る流れが促され、滞っていた水分が移動する。その結果として、周囲の長さが一時的に減るという整理です。
ここも、どこまで確かめられているかを正直に書いておきます。水分の移動という説明は、脂肪が燃えるという説明よりは筋が通っています。ただ、移動する量がどれくらいかを示した数値を、私たちは持っていません。確かなのは、変化が一時的だということです。翌日には戻っていることがほとんどです。
つまり、減っているのは脂肪ではなく水分です。そして、この変化は一時的なものです。生活を変えなければ、水分はまた同じ場所に戻ります。
むくみが取れて脚が軽くなること自体には価値があります。ただ、それを「痩せた」と表現するのは正確ではありません。
デトックスという言葉について
解毒という言葉も、よく使われます。
医学的な意味での解毒は、肝臓の代謝と腎臓の濾過が担っています。この2つの臓器が、体に不要な物質を処理して排出しています。マッサージがこの機能を肩代わりすることはありません。
できるのは、血液とリンパの流れを促すことで、その働きを間接的に支える範囲までです。マッサージで毒素が出る、という説明は、この範囲を超えています。
なぜここまで書くのかというと、期待の置き場所が違うと、施術そのものが正しく評価されないからです。バリニーズマッサージには、体をゆるめること、香りとともに休息の状態に入ること、めぐりを促すことという価値があります。痩身や解毒を掲げると、本来の価値のほうが見えにくくなります。
ベッドで受けるか、床のマットで受けるか
あまり語られていない論点をひとつ書きます。施術を受ける場所の話です。
バリニーズマッサージやオイルトリートメントは、ベッドで行う店舗と、床に敷いたマットで行う店舗があります。ラダシアはベッドを選んでいます。その理由をお話しします。
首がねじれないこと
うつ伏せになったとき、呼吸をどう確保するかという問題があります。
ベッドには、顔を入れる穴が用意されています。フェイスクレードルと呼ばれるものです。ここに顔を収めると、首から背中、腰までがねじれのない状態で一直線に保たれます。
床のマットの場合、この穴がありません。呼吸を確保するために、頭を左右どちらかへ向ける必要があります。
| ベッド(顔を入れる穴あり) | 床のマット | |
|---|---|---|
| 首の状態 | ねじれのない中立の位置を保てる | 左右どちらかに回した状態が続く |
| 背骨の並び | 首から腰まで一直線 | 首から上だけがねじれる |
| 60分以上受けた場合 | 姿勢による負担が生じにくい | 首の関節に左右非対称な圧が加わり続ける |
| 施術者の側 | 立位で体重をかけやすい | 体重と反動を最大限に使える |
60分から90分のあいだ、首を一方向に向け続けるとどうなるか。首の関節に左右で異なる圧が加わり続けます。片側の筋肉は伸ばされ続け、反対側は縮んだままになります。
もともと首や肩に負担を抱えている方、いわゆるストレートネックの傾向がある方にとって、この姿勢は負担になりえます。ゆるめに来たはずが、別の場所に負荷を残して帰ることになりかねません。
床のマットにも利点はある
ベッドが優れていると言いたいわけではありません。床のマットには、はっきりした利点があります。
施術者が反動まで使えること。受け手がベッドから落ちる心配がないこと。この2つは床でしか得られません。タイ古式マッサージのように、脚を持ち上げて大きく動かす施術では、床のほうが適しています。
ラダシアがタイ古式をマットで、バリニーズアロマをベッドで行っているのは、この使い分けによるものです。施術の内容に合わせて場所を選んでいます。
タイ古式マッサージとの違い、そして組み合わせ
ラダシアは、タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化しています。この2つの違いを整理しておきます。
| タイ古式マッサージ | バリニーズアロマ | |
|---|---|---|
| オイル | 使わない | 使う |
| 服装 | 専用のウェアに着替える | 下着の上からタオルで覆い、施術する部位だけを出す |
| 主な動き | 圧をかけながら関節を動かし、伸ばす | 手のひらと前腕で流す |
| 場所 | 床のマット | ベッド |
| 受けたあとの感覚 | 体が伸びて、動きやすくなる | 力が抜けて、眠くなる |
| 向いている状態 | 体が硬い。動かしたい | むくんでいる。とにかく休みたい |
どちらか一方を選ぶ必要はありません。時期や状態によって使い分けていただくのがいちばんです。
組み合わせる場合、タイ古式で関節まわりをゆるめてから、バリニーズアロマで流すという順序をお勧めしています。硬さが取れた状態のほうが、流れやすくなるためです。逆の順序でも問題はありませんが、オイルで体が温まったあとに大きく動かすと、伸びすぎる感覚を持たれる方がいらっしゃいます。
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受けていただかないほうがよい場合
次の場合は、施術をお受けいただけないか、内容を変更させていただきます。
- 発熱している、体調が明らかに悪い
- 皮膚に炎症、傷、湿疹がある
- 精油やキャリアオイルにアレルギーがある
- 飲酒直後である
- 医師から施術を止められている
精油については、初めての方には事前にご相談ください。植物由来の成分ですので、体質によって合わないことがあります。ご心配な場合は、香りを楽しむだけにして、オイルはアレルギーの起きにくいものに変更することもできます。
妊娠中の方、および妊娠の可能性がある方は、時期や状態にかかわらず、ご予約の前にお問い合わせください。かかりつけの医師の確認をいただいたうえで、お受けできるかどうかを個別にご相談します。使用できる精油にも制限があります。ご自身で判断せず、まずご連絡いただくのが確実です。
消費者庁は2017年5月に、法的な資格制度のない手技による施術について注意を呼びかけています。2009年から2017年3月末までに、こうした施術に関連する健康被害が1,483件報告されています。なかには重い事例も含まれていました。
この注意喚起の対象には、私たちのようなリラクゼーションの施術も含まれます。あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師のような、国家資格にもとづく施術とは区分が異なるためです。だからこそ、体調とご事情を事前に伺うことを大切にしています。上に挙げた項目にあてはまる場合は、必ずお知らせください。
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初めて受ける方が気にされること
オイルを使う施術は、初めてだと分からないことが多いものです。よくいただく心配ごとを先にお答えしておきます。
オイルは体に残るのか
施術後、余分なオイルはホットタオルで拭き取ります。べたついたまま帰っていただくことはありません。
ただし、完全に落としきるわけでもありません。皮膚に薄く残る程度のオイルは、保湿の役割を果たします。気になる方はシャワーをご利用いただけますが、そのまま帰られる方のほうが多いです。
服にオイルがつかないか
施術中はタオルで覆っていますので、ご自身の衣服がオイルに触れることはありません。着替えはこちらでご用意しています。
髪については、頭部の施術を行う場合にオイルが少量つきます。この日は洗髪される予定で、というときにお申し出いただければ、頭部を避けて組み立てます。
どこまで脱ぐのか
下着はつけたままで結構です。施術する部位以外はタオルで覆いますので、体が広く露出することはありません。
気になる部位がある場合、触れずに進めることもできます。お腹は苦手、足の裏はくすぐったい。こうしたご要望は、遠慮なくお伝えください。
よくあるご質問
バリニーズマッサージとアロマオイルの違いは何ですか?
いちばん多くいただくご質問です。
アロマオイルマッサージという呼び方は、精油を使ったマッサージ全般を指す広い言葉です。特定の技法を指しているわけではありません。ヨーロッパで体系化されたアロマセラピーの流れを汲むものもあれば、店舗ごとの独自の組み立てもあります。
バリニーズマッサージは、そのなかでバリ島の伝統医療を背景に持つ体系を指します。手のひらと前腕を使って体重を乗せること、末端から心臓へ向かうこと、点を押さえる手技を含むこと。この特徴を持ちます。
| アロマオイルマッサージ | バリニーズマッサージ | |
|---|---|---|
| 言葉の指す範囲 | 精油を使う施術の総称 | バリ島の伝統を背景に持つ特定の体系 |
| 圧の性質 | 店舗や流派による | 体重を乗せた持続的な圧 |
| 使う部位 | 手のひらと指が中心のことが多い | 手のひら、前腕、母指を使い分ける |
| 点を押さえる手技 | 含まないことが多い | 含む |
実際のところ、日本の店舗では呼び方に幅があります。バリニーズと名乗っていても内容が異なることも、アロマオイルと名乗っていてバリニーズの技法を使っていることもあります。気になる場合は、圧の強さと使う部位を確認されるのが確実です。
バリニーズマッサージのやり方は?
施術の流れとしては、次のような順序が一般的です。
- 香りを選び、オイルを温める
- うつ伏せで、背中から脚の裏側へ
- 仰向けになり、脚の前側から腕へ
- 肩と首、頭部で終える
圧は、受け手が息を吐くタイミングに合わせて深めます。方向は手足の先から体の中心へ向かいます。広い部位には手のひらの付け根と前腕を、細かい部位には母指を使います。
ご自身で行う方法をお探しの場合、ふくらはぎを足首から膝に向かって手のひら全体でゆっくり流すところから始められます。ただし、力の入れ具合や角度は説明が難しく、背中側には手が届きません。セルフケアには届く範囲の限界があります。
バリニーズマッサージの特徴は?
3つあります。
1つ目は、圧のかけ方です。指先の力ではなく、手のひらや前腕という広い面に体重を乗せます。深いところまで届きながら、鋭い痛みになりにくいという性質があります。
2つ目は、リズムです。速く細かく動かすのではなく、長く途切れないストロークが続きます。受け手の呼吸に合わせて圧が動くことも関係してか、施術中に眠ってしまう方が多くいらっしゃいます。
3つ目は、香りを併用することです。皮膚から入る経路と、鼻から入る経路の両方が同時に働きます。嗅覚は感情や記憶に関わる領域へ直接つながっているため、香りの選択が体験そのものを左右します。
バリ式リンパマッサージのもみほぐしと、バリニーズコースの違いは?
店舗によって呼び方が異なるため、一般的な区別としてお答えします。
もみほぐしと呼ばれるものは、服の上から筋肉をつかんで揉む施術を指すことが多く、オイルを使いません。狙いは筋肉のこりをほぐすことに置かれます。
バリニーズのコースはオイルを使い、揉むというより流す動きが中心になります。狙いは、めぐりを促すことと、体をゆるめることです。
どちらが良いかではなく、目的が違います。肩のこりを一点集中でほぐしたい場合は前者、全身の重さとむくみを取りたい場合は後者が合います。ラダシアではもみほぐしを行っておりませんので、こりを集中的にという場合は、その旨をお伝えください。施術の組み立てで対応できる範囲をご説明します。
バリニーズマッサージは男性でも受けられますか?
受けられます。ラダシアはお客様の7割が男性です。
オイルトリートメントは女性向けという印象を持たれることがありますが、実際には男性のお客様が多くお越しになります。全店舗が完全個室ですので、人目を気にせずお過ごしいただけます。
体毛については、気にされる必要はありません。オイルの量と手技で対応します。
生理中でもバリニーズマッサージは受けられますか?
体調に問題がなければ受けていただけます。
ただし、腹部への施術は避けます。また、体調によっては普段より刺激を強く感じることがありますので、いつもより圧を弱めることをお勧めしています。当日の状態をお聞かせいただければ、内容を調整します。
強い痛みがある場合や、出血量がいつもと違う場合は、日を改めていただくか、婦人科でご相談ください。
バリニーズマッサージで本当に痩せますか?
痩せません。
マッサージの圧によって脂肪が分解される、という生化学的な根拠は確認されていません。施術後にサイズが変わることがありますが、動いているのは細胞のあいだにたまっていた水分であり、脂肪ではありません。そして一時的なものです。
むくみが取れて脚が軽くなること自体には価値があります。ただ、体重を落とす手段としては期待していただかないほうがよいと考えています。
バリニーズマッサージはどのくらいの頻度で受けるといいですか?
目安としては、月に1回です。立ち仕事が続く時期やむくみが強い時期は2週間に1回、特に不調がなければ季節の変わり目に年数回という方もいらっしゃいます。
迷われる場合は、まず月1回で始めて、体の戻り方を見ながら調整していただくのが分かりやすいと思います。
まとめ
バリニーズマッサージが何なのかを、成り立ちから技法まで見てきました。
背景にあるのは、バリ島に伝わるウスマダという伝統医療の体系です。5世紀ごろにインドから伝わった知識が島の信仰と混ざり、乾燥させたヤシの葉に刻まれて受け継がれてきました。1937年にドイツ人医師のヴォルフガング・ヴェックが著作にまとめたことで、学術の対象として記録されました。
技法の特徴は3つです。手のひらと前腕に体重を乗せること。受け手が息を吐くタイミングに合わせて圧を深めること。手足の先から心臓へ向かって流すことです。精油に含まれる香りの分子は小さく、角質層を通ります。香りは嗅覚から、感情と記憶の領域へ直接届きます。
一方で、脂肪が燃えることはありませんし、毒素が出るわけでもありません。施術後にサイズが変わるのは水分の移動によるもので、一時的です。解毒は肝臓と腎臓の仕事です。
できることと、できないこと。この線引きをはっきりさせたうえで申し上げます。バリニーズマッサージの価値は、体をゆるめること、めぐりを促すこと、そして香りとともに休息の状態に入ることにあります。1,500年のあいだ受け継がれてきたのは、その部分だったのだろうと考えています。
季節の変わり目は、体が重くなりやすい時期です。むくみや疲れが抜けにくいと感じていらっしゃるなら、一度ゆるめに来ていただければと思います。
タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化し、全店舗を完全個室でご用意しています。セラピストは15日間の研修と卒業試験を経て現場に立っていますので、初めての方もご安心ください。
※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。体調に不安がある場合や症状が続く場合は、医療機関にご相談ください。

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