「反り腰なんです」とおっしゃる方は、よくいらっしゃいます。ジムで指摘された、動画を見て自分で気づいた、壁に背中をつけたら拳が入った。きっかけはさまざまですが、共通しているのは「直さないといけないもの」として受け取っておられることです。
結論からお伝えしたいことが3つあります。まず、反り腰に決まった角度の基準は置かれていません。次に、反っているから腰が痛い、という関係も、研究では結論が割れています。そして、ほぐすことで背中の丸まりなどが短い期間変わることは確認されています。ただ、反り腰に関わる骨盤の前傾には、はっきりした差が出ていません。
どれも、姿勢を扱うサロンとしては言いにくいことばかりです。それでも、正しく知ったうえで通っていただくほうが、結果としてご自分の体と長く付き合えると考えています。
「反り腰」に、決まった角度の基準はない
腰の反りは、医学的には横から撮ったレントゲンで角度として測ります。背骨のどこからどこまでを測るかで数字は変わり、研究によって正常とされる範囲は13度から78度まで報告されています。65度もの幅があるということです。
なぜこれほど幅が出るのか。測り方の違いもありますが、いちばん大きいのは骨盤の形が人によって違うことです。骨盤の傾きやすさは生まれつき決まっている部分があり、それに合わせて腰の反りの適正も変わります。骨盤の形からして反りが大きくなる方にとって、50度は自然な状態です。別の方にとっての50度は反りすぎ、ということが起こります。
ですから、いまの考え方では「何度以上が反り腰」という線引きを置きません。見た目の角度だけを取り出して正常か異常かを決めるのは無理がある、というのが出発点になります。
反っているから腰が痛い、とは言い切れない
ここがいちばん誤解されている部分だと思います。反り腰と腰の痛みの関係を調べた研究は、結論が割れています。
| 研究の種類 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| 13の研究をまとめた分析 | 腰痛のある796人と、ない927人 | 腰痛と腰の反りの角度には関連が見られた。ただし慢性の腰痛がある方は、反りが減っている(平坦になっている)傾向のほうが強かった |
| 腰痛のある人とない人を比べた研究 | 慢性的な腰痛のある方と、ない方 | 反りの角度は腰痛のある方が約50度、ない方も約50度で、統計的な差はなかった |
| 体への力のかかり方を調べた研究 | 人を比べたものではなく、姿勢による力のかかり方を調べたもの | 反りが強い状態は、背骨の後ろ側にある関節への圧迫を増やし、長く立っているときの負担になりうる |
3つ目の研究は、腰痛のある人とない人を比べたものではなく、姿勢によって背骨にかかる力がどう変わるかを調べたものです。研究の種類が違うので、同じ土俵で比べられない点にご注意ください。
並べてみると、方向がばらばらです。分かっているのは、どちらの向きの方にも腰痛の方がいる、というところまでです。反っているかどうかだけで痛みを説明するのは難しい、と受け取っています。
そして、有力になってきている見方があります。角度そのものより、その姿勢を保つために筋肉がどう働き続けているかのほうが、痛みと関係しているという見方です。反った姿勢を支えるために、腰の後ろ側の筋肉が一日中働き続ける。その働き方の偏りが、重さやだるさとして出てくる、という説明です。
ここから先は研究ではなく、当店で伺っている範囲の話になります。腰が重いとおっしゃる方に触れていくと、張っているのは腰の後ろ側であることが多いです。上の説明とは方向が合っていますが、これは実感であって、確かめられた事実ではありません。
ですから当店では、「反り腰だから腰痛になる」「反り腰を直せば腰痛が治る」という説明を避けています。かわりに、いま張っている場所と、その張りをつくっている場所を一緒に確かめるところから始めます。
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「反り腰」という言葉が、独り歩きしている
ここ数年、この言葉をよく見かけるようになりました。姿勢を扱う動画や記事が増え、多くの方が自分の姿を気にされるようになっています。
動画や投稿で「反り腰チェック」が流れてくることもありますし、洋服のフィッティングで指摘されたという方もいます。気づくこと自体は良いことだと思います。ただ、「反り腰は直すべきもの」という前提だけが広まると、本来は個人差の範囲にある姿勢まで問題として扱われてしまいます。当店にいらっしゃる方の中にも、指摘されたことが気になって、かえって体を固くしてしまっている方がいます。
姿勢は、放っておいても完全に左右対称にはなりません。骨盤の形も、脚の長さも、日々の使い方も人それぞれです。目指すのは「正しい形」より、その日の自分が動ける範囲を保っておくことだと考えています。
壁でのセルフチェックは、どこまであてになるか
よく紹介されるのが、壁を使う方法です。かかと、お尻、肩甲骨、後頭部の4点を壁につけて立ち、腰と壁のすき間を確かめる。手のひらが入る程度なら普通、拳が縦に入るなら反りが強い、という目安です。
やってみる価値はあります。ただ、この方法には限界があることも知っておいてください。手のひら1枚分という目安も、手の厚みが人によって違うので、厳密なものではありません。
すき間の大きさは、腰の反りのほかにも左右されます。お尻の筋肉が発達している方は壁との距離が生まれますし、背中まわりの厚みも変わります。反りが強くてもお尻が薄い方なら、すき間は小さく出ます。
つまり、この検査で分かるのは「気づきのきっかけ」までです。結果に一喜一憂せず、目安として受け取ってください。当店でも、壁のテストの結果より、実際に立っていただいたときの腰の張り方と、うつ伏せになったときの背中の硬さを見ています。
ご自分で様子を見たいのであれば、横から写真を撮っておくほうが実用的です。壁際にまっすぐ立ち、誰かに真横から撮ってもらう。月に一度、同じ服装と同じ場所で撮っておくと、変化が分かります。角度を測る必要はなく、以前の自分と比べられれば十分です。
もうひとつ、日々の感覚も手がかりになります。夕方に腰が重くなる、長く立っていると腰から先にくる、朝起きたときに腰が硬い。こうした変化のほうが、壁とのすき間より、ご自分の体の状態をよく表しています。
骨盤を前に引っ張るものと、後ろに戻すもの
反った姿勢では、体の前後で筋肉の働きに偏りが出ています。整理すると次のようになります。
| 働き方 | 筋肉 | 反った姿勢で起きていること |
|---|---|---|
| 短くなりやすい | 股関節の前側(お腹の奥から太ももへ向かう筋肉) | 座っている時間が長いと縮んだまま固まり、立ったときに骨盤を前へ引き込む |
| 短くなりやすい | 太ももの前側 | 骨盤の前を下へ引っ張り、前傾を強める |
| 働きすぎる | 腰の後ろ側(背骨に沿って走る筋肉) | 体が前に倒れないように引き上げ続ける。腰の重だるさの主役 |
| 働きにくくなる | お腹まわり | 引き伸ばされた状態になり、前から骨盤を支える力が落ちる |
| 働きにくくなる | お尻 | 股関節の前側が縮むと、反対側にあるお尻は力を出しにくくなる |
体の前側の下(股関節の前)と、後ろ側の上(腰の後ろ)が組になって強く働き、その反対の組(お腹とお尻)が休んでいる。この組み合わせで姿勢が固定されます。
表の「働きにくくなる」という書き方には、少し説明が要ります。筋肉そのものが弱ったというより、力の入れ方が分からなくなっている状態に近いです。お尻に力を入れてくださいと言われて、どこに入れればよいか戸惑う方は多いです。使っていない時間が長いほど、そうなります。
ここで注目していただきたいのは、「硬いところ」と「弱いところ」が両方あるという点です。硬いところをほぐすだけでも、弱いところを鍛えるだけでも、片側しか手を入れていないことになります。
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反りをつくっているのは、座っている時間かもしれません
反りが気になる方に生活を伺うと、多くの方が長時間座っておられます。デスクワーク、運転、スマートフォン。いずれも股関節を曲げた姿勢です。
股関節の前側を通る筋肉は、お腹の奥から太ももの内側へ向かって走っています。座ると、この筋肉は縮んだ状態になります。1日8時間座れば、8時間縮んだままです。それが毎日続けば、筋肉はその長さを標準だと覚えます。
立っている時間が長い仕事の方でも、休憩は座って取られることが多いはずです。合計すると、1日の大半を股関節を曲げた姿勢で過ごしている計算になります。
そして立ち上がったとき、縮んだ筋肉は骨盤を前へ引き込みます。腰は反り、後ろ側の筋肉が引き上げて支える。座っている時間の長さが、立っているときの姿勢をつくっている、という順番です。
当店でも、ここを緩めると腰の張りが変わる方が多くいらっしゃいます。触れるべき場所は腰ではなく、腰を引っ張っている側にある、という考え方です。
ご自分で押そうとすると、この場所はなかなか届きません。お腹の奥のほうを通っている筋肉なので、表面から力任せに押すのは避けたほうがよい場所でもあります。当店では、押し込むのではなく、脚を動かしながら少しずつ伸ばしていく形をとります。
立ち上がる回数のほうが効く
座り方のコツをお伝えすることもありますが、実際にいちばん効くのは立ち上がる回数を増やすことです。どんな座り方でも、同じ姿勢が続けば同じ場所に負担が集まります。
コピーを取りに行く、飲み物を入れに行く、電話を立って受ける。仕事の流れを変えずにできる範囲で構いません。30分から1時間に一度、立ち上がって数歩歩く。それだけで、股関節の前側が縮みきる時間を切ることができます。
反りが強い方から、腰以外で聞くこと
反った姿勢のご相談をいただくとき、腰の話だけで終わらないことがよくあります。
- 太ももの前側が、いつも張っている。骨盤を前へ引く側の筋肉なので、使いすぎの状態になりやすい場所です
- ふくらはぎがむくむ。重心が前に寄ると、立っているあいだ常にふくらはぎが働いて姿勢を支えます
- お尻に力が入る感じがしない。先ほどの表の「働きにくくなる」側にあたる場所です
- 長く立っていると、腰よりも先に脚がつらくなる。支える場所が腰から脚へ移っているときに起こります
これらは、腰の反りと直接つながっているとは言い切れません。ただ、骨盤の傾きが変われば、上下に連なる場所の使われ方も変わります。当店でうかがうときは、腰だけでなく、脚とお尻の状態もあわせて見ています。
「ほぐしても根本的な解決にならない」という指摘について
反り腰について調べていると、この一文に行き当たります。整形外科の解説などでも見かける書き方です。サロンとしては触れにくい話ですが、避けずに書きます。
背中の丸まりには変化が出たが、骨盤の前傾には差が出なかった
38の比較試験、あわせて1,597人分のデータをまとめた分析があります。そこでは、他者が体に触れて行う介入を、何もしない場合や見せかけの施術とくらべています。短期から中期にかけて、背中の丸まり、頭の前への出方、骨盤の左右の傾きとねじれが減ることが確認されています。確実性は中程度と評価されました。
一方で、反り腰に関わる骨盤の前傾には、はっきりした差が出ていません。同じ分析の中で、確実性は中程度とされています。
ただし、ここで調べられている介入には、理学療法などの医療の手技も含まれます。当店の施術と同じものを調べた研究ではありません。「同じ結果が出ます」という意味で受け取らないでください。また「中期まで」というのは、施術を受けている期間中の測定です。通うのをやめたあとにどうなるかは、別の話になります。
体に起きていることとしては、こう説明されています。筋肉や筋膜が押されたり動かされたりすることで、滑りがよくなる。そして神経の反射を通じて、筋肉の張りが一時的にゆるむ。可動域が広がる、という説明もこの働きにもとづいています。ただし、この記事で紹介した分析の結果は姿勢の変化についてのものです。
ただし、姿勢が保たれるかどうかは分かっていない
問題は、その変化がどれだけ続くのかです。
ここから先は、はっきりしていないことのほうが多くなります。反った姿勢そのものが、施術のあとどれだけ保たれるか。これを直接調べた研究は、当店が調べた範囲では見つかりませんでした。持続を扱った研究として引かれていたものがあります。反りが少ない方に対して反らす方向へ引っ張る治療を長期間行ったもので、反り腰とは逆の状態です。もうひとつは首の姿勢の研究でした。どちらも、反り腰の方に当てはめられるものではありません。
言えるのは、一般論として、姿勢は「緩める」だけでは元に戻りやすいということまでです。緩めたあとの体を、自分の筋肉で使えるようにならなければ、日常の動作のなかで元の形に引き戻されていきます。
それでも、ほぐす時間に意味があると考える理由
「効かないなら、受けなくていいのでは」と考えるのが自然だと思います。それでも当店がこの仕事を続けているのは、姿勢を直すためではなく、その手前に役割があると考えているからです。
硬くなった股関節の前側が縮んだままでは、お腹やお尻を使おうとしても、そもそも体が動く範囲に入りません。運動の指導を受けても「その姿勢が取れない」という方は多いです。ほぐす時間は、姿勢を直すためというより、力を抜いて、動く範囲の中でゆっくり動かしておくための入口です。
そのうえで、ふだんの生活の中で体を使う習慣が要る。ここはご自分の側の仕事になります。当店にできるのは、動く範囲の中でゆっくり動かす時間をつくることと、続けやすい体の使い方をお伝えすることまでです。
反った姿勢のときに、控えたほうがいいこと
「反り腰でやってはいけないことは?」という質問をよくいただきます。医学的に禁止されている動作があるわけではなく、答えとしては「その時間を短くする」に近いものになります。当店がお伝えしている内容をまとめます。
- 反る方向に強く動かす運動を、痛みを我慢して続けない。背中を反らせる動きで腰に響く場合は、そこで止めてください
- うつ伏せで肘をついたまま長時間過ごさない。本を読む、スマートフォンを見るといった姿勢は、腰を反らせた状態で固定することになります
- 立ちっぱなしを続けない。長く立つほど、腰の後ろ側の筋肉は働き続けます。片足を少し高いところへ乗せると楽になる方が多いです
- ヒールの高い靴を毎日は履かない。理由はこの記事の「ヒールと靴の話」に書きました
- 長時間の座位を、姿勢の工夫だけで乗り切ろうとしない。どんな座り方でも、同じ姿勢が続けば負担になります。時間を区切って立ち上がるほうが確実です
どれも「絶対にしてはいけない」ではなく、時間を区切りましょうという話です。反り腰は病気ではありませんので、生活のほうを制限しすぎないでください。
反りが気になる方に、当店がお伝えしている3つの動き
ご自宅でできることを聞かれたときにお伝えしているのは、次の3つです。どれも1分かかりません。
| 動き | やり方 | ねらい |
|---|---|---|
| 膝抱え | 仰向けで両膝を抱え、腰を丸めた姿勢で30秒ほど呼吸する | 反らせた状態で固まった腰を、反対方向へ一度戻す |
| 片膝立ちで前へ | 片膝を床につけ、もう一方の脚を前に出して、腰を反らさないまま重心を前へ送る。左右30秒ずつ | 股関節の前側を伸ばす。腰が反ったら、そこで止める |
| お尻を締める | 仰向けで膝を立て、お尻に力を入れて腰を床から数センチ浮かせる。5秒保って下ろす、を10回 | 働きにくくなっている側に、力の入れ方を思い出させる |
いずれも、痛みを感じるところまで追い込まないでください。伸ばしている場所に「張っている感じ」が出れば十分です。
2つ目の動きだけ、注意点があります。腰を反らせたまま前へ出ると、伸ばしたい場所ではなく腰が伸びてしまいます。お腹に軽く力を入れて、腰を丸めぎみにしたまま重心を送ってください。
どれも、やれば姿勢が変わると保証するものではありません。硬くなりやすい場所を毎日ゼロに戻しておく、という程度の使い方です。それでも、続けている方からは「翌朝の硬さが違う」と伺います。寝る前の数分でも、朝の着替えの前でも、続けやすい時間帯で構いません。
施術より先に、受診していただきたいサイン
腰の反りが気になる方の中に、別のことが起きている方がまれにいらっしゃいます。次に当てはまる場合は、施術ではなく整形外科でご相談ください。
- お尻から脚にかけて、しびれや痛みが走る
- 脚に力が入らない、つまずきやすくなった
- 排尿や排便の様子がいつもと違う
- 夜、寝ているあいだに痛みで目が覚める
- 発熱を伴う腰の痛みがある
- 転んだ、ぶつけたあとから痛みが始まった
- 反りが急に強くなった、身長が縮んだ気がする
これらは反り腰とは別に、背骨や神経の側で何かが起きているときに出るサインです。姿勢の問題として様子を見ているうちに時間が過ぎてしまうことがあるので、心当たりがあれば先に確かめてください。
とくに、脚のしびれや力の入りにくさ、排尿の変化がそろっている場合は急いでください。これらは、マッサージで様子を見る段階を越えています。
ヒールと靴の話
ヒールの高い靴を履くと、かかとが持ち上がって重心が前へ出ます。そのままでは前に倒れてしまうので、体は上半身を起こして釣り合いを取ります。このとき骨盤の前傾が強まり、腰の反りも増す、というのが体の中で起きていることです。
とはいえ、履くのをやめてくださいとは申し上げません。仕事で必要な方もいらっしゃいますし、好きで履いている方から楽しみを取り上げる話でもありません。お伝えしているのは、履いている日と履いていない日をつくることと、履いた日の夜に股関節の前側を伸ばしておくことです。
通勤はスニーカーで、職場で履き替える。ヒールの日が続いたら、翌日は低い靴にする。この程度の調整でも、縮みっぱなしの時間は短くできます。仕事でヒールを履く日が多いとおっしゃる方からは、太ももの前側とふくらはぎの張りを訴えられることが多いです。
妊娠中と産後の反りについて
妊娠中は、お腹が大きくなるぶん重心が前へ移り、それを支えるために腰の反りが強くなります。加えて、骨盤まわりの靭帯をゆるめるホルモンが出るため、骨盤が前に倒れやすい状態にもなります。
この靭帯のゆるみは、出産後もしばらく残ります。産後3か月から6か月ほど続くとされ、授乳中は最長で12か月続くという報告もあります。この時期に関節を大きく動かすストレッチを強く行うと、体への負担になることがあります。
当店では、産後の方の施術は内容を変えています。姿勢の話も含めて、詳しくは産後の記事にまとめましたので、そちらをご覧ください。
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当店でしていること
反りが気になるとおっしゃる方には、まず立っていただいて、腰のどこに張りが出ているかを確かめることが多いです。触れる順番はセラピストやご希望によって変わりますが、多いのは次のような進め方です。
- 腰の後ろ側から始めないことが多い。張っているのは腰ですが、引っ張っているのは股関節の前側であることが多いためです
- 股関節の前側と太ももの前側に時間をかける。ここが縮んだままでは、腰だけ緩めても戻りやすいと当店では考えています
- お尻と背中は、緩めるより動かす。働きにくくなっている場所なので、押し込むより関節を動かしていきます
- 骨を鳴らすことを目的とした急な操作は行いません。当店が行うのはリラクゼーションで、骨格の矯正は別の領域の仕事です
タイ古式マッサージは、受け手が服を着たまま脱力し、他の人に体を動かしてもらう形をとります。股関節の前側は、ご自分で伸ばそうとすると反対側の腰に力が入ってしまう場所なので、他者に委ねる形と相性がよいと考えています。
施術のあとは、その日の体の状態に合わせて、続けやすい動きをひとつかふたつお伝えします。たくさんお渡ししても続きませんので、「これだけは」という形にしています。ご自分で体を使い直すところまでが、反った姿勢と付き合ううえでの本体だからです。
圧の強さについても、ひとこと。反りが強い方の腰は、後ろ側の筋肉が張っていることが多く、強く押してほしいとおっしゃる方が少なくありません。ただ、張っている筋肉は働きすぎている筋肉です。強い刺激を入れると、その場は効いた気がしても、体は緊張で応えます。当店では、弱めの圧から入ることが多く、ご希望に合わせて調整いたします。
反り腰の施術で、当店がしないこと
あわせて、していないこともお伝えしておきます。
骨を鳴らすことを目的とした急な操作はしません。角度を測って「何度になりました」とお伝えすることもありません。レントゲンなしで角度は分かりませんし、当店は診断をする立場にないからです。「〇回で反り腰が治ります」という回数券のご案内もしていません。
できることとできないことを、はっきり分けてお伝えする。その前提でお越しいただくほうが、長く付き合っていただけると考えています。
ご相談の内容によっては、当店ではなく別の場所をおすすめすることもあります。痛みやしびれがはっきり出ているなら整形外科ですし、運動の指導を受けたいのであれば、その専門の方のほうが適しています。当店が向いているのは、痛みというほどではないけれど腰が重い、動きが窮屈だ、という段階の方です。
よくあるご質問
反り腰は、マッサージで治りますか?
治るとはお伝えできない、というのが正直なところです。当店はリラクゼーションを目的としたサロンで、骨格の矯正は別の領域の仕事にあたります。研究では、徒手的な介入で背中の丸まりや骨盤の左右の傾きは短期から中期に減っていました。ただ、反り腰に関わる骨盤の前傾には、はっきりした差が出ていません。反った姿勢がその後どれだけ保たれるかを調べた研究も、見当たりませんでした。力を抜いて、動く範囲の中でゆっくり動かす時間としてお使いいただくのが、いちばん納得していただける形だと考えています。
反り腰かどうかは、自分でどうやって確かめればいいですか?
壁を使う方法が知られています。手順は本文の「壁でのセルフチェックは、どこまであてになるか」に書きました。すき間の大きさはお尻の筋肉の厚みでも変わるので、気づきのきっかけまでとお考えください。角度を確かめられるのはレントゲンだけです。
反り腰だと、腰痛になりやすいのですか?
なりやすいかどうかは、研究によって結論が分かれています。13の研究をまとめた分析では、角度と腰痛に関連は見られたものの、その向きは「反りすぎ」ではなく「平坦すぎ」のほうでした。慢性的な腰痛のある方は、むしろ反りが減っている傾向が強く出ています。腰痛のある人とない人で角度に差がなかったという研究もあります。反りが強い状態が背骨の後ろ側の関節に負担をかけるという報告もあります。ですので「どちらに偏っても違う形の負担がある」という理解が近いです。
反り腰を改善するには、どれくらいの期間がかかりますか?
期間の目安は、根拠のある形でお伝えするのが難しいところです。姿勢がどれだけ保たれるかを直接調べた研究が見当たらないためです。
反り腰のとき、寝るときはどんな姿勢がいいですか?
仰向けで腰が浮いてつらい場合は、膝の下にクッションや畳んだタオルを入れると、腰の反りがゆるんで楽になる方が多いです。横向きで膝を軽く曲げる姿勢も、腰への負担が少なくなります。うつ伏せは腰を反らせた状態が続くので、長時間は避けてください。
反り腰は、放っておくとどうなりますか?
放っておいたらどうなるかを追いかけた研究は見当たりませんでした。ですので、「悪化します」とも「問題ありません」とも申し上げられません。確かなのは、同じ姿勢を長く続ければ、その姿勢を支えている場所に負担が集まり続けるということです。腰の重さやだるさが日常的に出ているのであれば、その場所を一度緩めておく、という選択肢はあります。
反り腰だと、お腹が出て見えるのはなぜですか?
骨盤が前に傾くと、その内側におさまっている内臓が前へ押し出される形になります。体重が変わらなくても、姿勢の影響でお腹が前に出て見えることがあるのはこのためです。反対に、骨盤の傾きが変わると、見え方も変わります。ただし、見た目の変化を目的にした施術は当店では行っておりません。
反り腰には、筋トレとマッサージのどちらが必要ですか?先にやるのはどちらですか?
どちらか片方では足りない、というのが実際のところです。反った姿勢では、硬くなっている場所と働きにくくなっている場所の両方があります。硬い側を緩めずに鍛えようとすると動く範囲に入りませんし、緩めるだけでは日常のなかで戻っていきます。順番としては、先に力を抜いて動く範囲の中でゆっくり動かし、そのあとで使い直すほうが取り組みやすいです。股関節の前側が縮んだままだと、トレーナーに指導された姿勢そのものが取れないことがあるためです。すでに運動を始めていて、その姿勢が問題なく取れているのであれば、そのまま続けてください。動きが窮屈に感じるときに、一度緩めにいらしてください。
反り腰は、子どものうちに直したほうがいいのでしょうか?
お子さまの姿勢については、当店では施術をお受けしていないこともあり、判断の材料を持ち合わせていません。成長の途中では背骨の形も変わっていきますので、気になる場合は小児科や整形外科でご相談いただくのが確実です。大人になってからの姿勢の話を、そのままお子さまに当てはめないでください。
反り腰の施術は、どのくらいの間隔で受けるといいですか?
間隔の目安は、研究からは出ていないのが実情です。当店では、体の使い方を変えていく途中の方には2週間から3週間に1度。様子を見ながら来られる方には、月1度のペースでお越しいただくことが多いです。間隔よりも、来られない期間に何をされているかのほうが結果に効いてきます。
まとめ
反り腰について、研究をたどって分かったことを並べます。
まず、決まった角度の基準は置かれていません。骨盤の形が人によって違うため、その人にとっての適正も変わります。研究で報告されている正常の範囲は13度から78度と、60度以上の幅があります。
次に、反っているから腰が痛い、とは言い切れません。13の研究をまとめた分析では、角度と腰痛の関連は見られたものの、向きは「反りすぎ」ではなく「平坦すぎ」のほうでした。角度の大小より、その姿勢を保つために筋肉がどう働き続けているかのほうが、痛みと関わっていると考えられています。
そして、ほぐすことについて。背中の丸まりや骨盤の左右の傾きが短期から中期に減ることは、確認されています(確実性は中程度)。ただ、反り腰に関わる骨盤の前傾には、はっきりした差が出ていません。反った姿勢がそのあとどれだけ保たれるかを直接調べた研究も、見つかりませんでした。緩めるだけでは戻りやすく、自分の筋肉で使えるようになることが要る、というのが一般的な理解です。
ですから当店は、「動く範囲の中で、ゆっくり動かす」という言い方をします。力を抜いたまま、股関節の前側を動く範囲の中でゆっくり動かしておく。そこから先をご自分で進めていただく。その入口としてお使いいただくのが、いちばん誠実な形だと考えています。
反りを気にして体を固くするより、動ける範囲を保っておくほうが、日々は楽になります。指摘された形に自分を合わせにいくのではなく、いまの体で動きやすい状態をつくる。当店がお手伝いできるのは、その部分です。
腰の重さを抱えたまま毎日を過ごされているなら、まず一度、動かせる範囲を確かめにいらしてください。
タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化し、全店舗を完全個室でご用意しています。セラピストは15日間の研修と卒業試験を経て現場に立っていますので、初めての方もご安心ください。
※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。痛みやしびれが続く場合や気になる症状がある場合は、整形外科などの医療機関にご相談ください。

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