タイ古式マッサージ

産後のマッサージはいつから受けられる?1ヶ月健診を目安に、体の状態から考える

抱っこで肩が上がらない。授乳のたびに背中が固まる。腰が重くて、床のものを拾うのもつらい。

 

マッサージを受けたい。けれど、産後の体で受けていいのかが分からない。そう思って調べている方に向けて書きます。

 

目安になるのは、産後1ヶ月健診です。健診で問題がないと言われていれば、受けられる状態に近づいています。ただし、1ヶ月経てば誰でも受けられる、という話ではありません。回復の早さには大きな個人差があります。

 

そして、時期よりも先に確かめていただきたいことがあります。産後には、マッサージを受けてはいけない状態があるからです。そこから書きます。

時期の話の前に。受けてはいけない状態があります

産後の体は、出産のときの出血に備えて、血が固まりやすい状態になっています。体を守るための変化です。ただし同じ理由で、この時期は脚の奥の血管に血の塊ができやすくなります。深部静脈血栓症と呼ばれる状態です。

 

この変化は出産の直後がいちばん強く、時間をかけて元へ戻っていきます。戻る速さには個人差があります。脚への強い圧は、産後しばらく避けておくのが安全です。

脚にできた血の塊は、揉むとはがれることがあります

脚に血の塊がある状態で、ふくらはぎや太ももを強く揉むとどうなるか。物理的な刺激で、塊が血管の壁からはがれることがあります。

 

はがれた塊は血流に乗って移動します。そして肺の血管をふさぎます。肺血栓塞栓症という状態で、数分で命に関わることがあります。

 

医療や看護の現場では、この塊が疑われるときは揉まないことが基本とされています。産後の下半身への強い施術が慎重に扱われるのは、この理由からです。

帝王切開の後は、さらに注意が要ります

帝王切開はおなかを切る手術です。血が固まりやすい体の状態に、手術による血管の傷と、術後に横になっている時間の長さが重なります。血の塊ができる条件が3つそろう形になります。

 

そのため、帝王切開の後の脚への強いマッサージは、医療の側から特に強く警告されています。

この症状があるときは、サロンではなく医療機関へ

次のような状態のときは、施術を受ける前に産婦人科などの医療機関にご相談ください。

 

  • 片方の脚だけが腫れている、痛む、熱をもっている
  • 息が苦しい、急に胸が痛くなった
  • 熱が出ている
  • 悪露に強いにおいがある、量が急に増えた
  • 下腹部の強い痛みが続いている
  • 傷の痛みが強い、傷のまわりが赤く腫れている

 

産後6週を過ぎても鮮やかな赤い悪露が続く場合も、相談の対象です。子宮の戻りが遅れていたり、感染が起きていたりすることがあります。

 

どれも、体を休めれば治るという種類のものではありません。判断は医師にゆだねてください。

 

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産後の体で、いま何が起きているのか

いつから受けられるかを考えるには、体の中で何が進んでいるかを知っておくと早いです。時間のかかる変化が、同時に3つ動いています。

子宮が戻るまでに、6週から8週かかります

出産直後から6週から8週の間を、産褥期と呼びます。妊娠の終わりごろ、子宮は1,000グラムほどになっています。それが50グラムから100グラムほどまで縮んでいきます。

 

子宮の上のふちは、1日に1センチほどのペースで下がります。産後10日ごろには骨盤の中に収まります。外からは見えませんが、体の中ではこれだけの変化が進んでいます。

悪露の色が、回復の目安になります

悪露は、子宮の中の傷から出てくる分泌物です。色が段階的に変わっていきます。

 

時期の目安 状態
産後すぐから3、4日 赤色 新しい血が主体。量が多く、小さな塊が混じることもある
産後1週から2週ごろ 褐色 血の成分が減り、色が茶色へ変わる
産後2週から3週ごろ 黄色 白血球や子宮からの浸出液の割合が増える
産後4週から6週ごろ 白色 ほぼ透明から白色になり、やがて消えていく

 

通常は4週から6週で治まります。疲れがたまったり動きすぎたりすると、一時的に量が増えることがあります。少量の分泌が8週ごろまで続く方もいます。

関節がゆるんだ状態が、数ヶ月続きます

妊娠中は、リラキシンというホルモンが出ています。骨盤まわりの靭帯や結合組織をゆるめる働きをします。赤ちゃんが産道を通れるようにするための変化です。

 

出産で胎盤が出ると、このホルモンの分泌は急に減ります。ところが、ゆるんだ組織はすぐには元に戻りません。靭帯のゆるみと関節の不安定さは、産後3ヶ月から6ヶ月続くとされています。授乳中の方では、元の状態に戻るまで最長で12ヶ月かかったという報告もあります。

 

ここが、産後のマッサージで最も注意したい点につながります。関節を支える力が落ちている時期に、可動域を超えるストレッチを受けるとどうなるか。関節に過剰な負担がかかり、捻挫に似た損傷や、骨盤の関節のずれを招くことがあります。

 

タイ古式マッサージはストレッチを多く使う施術です。だからこそ、産後の方には強く伸ばさない、という判断が要ります。

骨盤の底の筋肉も、回復の途中にあります

骨盤底筋群は、膀胱や子宮、直腸を下から支えている筋肉です。経腟分娩では、赤ちゃんが通るときに本来の数倍まで引き伸ばされます。

 

回復にはいくつかの段階があると説明されています。産後1週から2週は炎症が強い時期です。2週から6週で組織が作り直され始めます。6週から3ヶ月で力が戻り始め、3ヶ月から6ヶ月で安定してくる、という見立てです。

 

この流れは、専門家の解説として示されているもので、研究で確定した数字ではありません。目安として受け取ってください。回復の途中でおなかに強く力をかける動作を繰り返すと、後々の不調につながるという指摘があります。

「いつから」の目安は、産後1ヶ月健診です

ここまでの話をふまえて、時期の目安に進みます。産後1ヶ月健診が、ひとつの区切りになります。

健診では、体の回復を項目ごとに見ています

1ヶ月健診で確認されるのは、次のような内容です。

 

  • 子宮が順調に縮んでいるか、中に悪露などが残っていないか
  • 会陰の傷やおなかの傷が、きちんとふさがっているか
  • 体重、血圧、尿の検査
  • 乳房の状態と、授乳が続けられているか
  • 気持ちの落ち込みがないか

 

これらに問題がないと判断されると、湯船につかる入浴が許可されます。それまでシャワーだけに制限されているのは、子宮の入り口が閉じきっておらず、細菌が上がっていくのを防ぐためです。

 

家事を本格的に再開する時期も、外出や軽い運動を始める時期も、この健診をひとつの区切りとして考えられています。マッサージも同じ枠に入ります。

リラクゼーションの業界でも、健診が条件になっています

サロンの業界では、産後の方への施術に条件を置くのが一般的です。産後1ヶ月健診で異常がなく、医師から日常生活の許可が出ていること。これを必須の条件とする店が多くあります。

 

医学の研究で決まった線ではありません。健診という区切りを借りて、安全側に寄せた運用です。ただ、根拠のない日数でスタートを切るよりは、はるかに確かな目安になります。

1ヶ月が過ぎれば誰でも受けられる、ではありません

ここは誤解されやすいところです。健診が終わったことと、体が施術に耐えられることは、同じではありません。

 

傷がまだ痛む。動くと出血が増える。体力が戻らず、横になっていたい。こういう状態であれば、無理に受けるものではありません。回復の早さは人によって違います。「1ヶ月たったから大丈夫」と一律には言えないのが実際のところです。

 

迷ったときは、健診のときに医師に聞いてみてください。「肩や腰のマッサージを受けても問題ないか」と具体的に尋ねると、答えが返ってきやすくなります。

健診を待つ間にできること

1ヶ月健診までは、湯船につかれません。それでも、温めること自体が止められているわけではありません。

 

シャワーを首の後ろと肩に当てる時間を、少し長くとってみてください。蒸しタオルを肩に乗せるだけでも、こわばりの感じ方は変わります。

 

授乳の合間に横になれる時間ができたら、家事より先に横になってください。ただし、同じ姿勢を長く続けないようにしてください。横になっている間も足首を上下に動かすと、脚の血の巡りが保たれます。血の塊ができやすくなる条件のひとつが、動かない時間の長さだからです。

 

痛みが強いときは、健診で伝えてください。産後の痛みは当たり前だと思って言わない方が、少なくありません。伝えた内容で、確認してもらえる項目が変わることがあります。

経腟分娩と帝王切開では、気をつける点が違います

同じ産後でも、出産の方法によって体の負担のかかり方が変わります。痛む場所も、注意すべきことも違います。

 

項目 経腟分娩 帝王切開
主に傷んでいる場所 骨盤の底の筋肉、会陰の傷 おなかの壁と子宮の切開部
入院の目安 4日から6日ほど 経腟分娩より数日長い
痛みの出る場所 会陰のあたり。座ると痛みやすい おなかの傷のまわり。力を入れると痛む
血の塊ができるリスク 妊娠による高まりは残る 手術と安静が重なり、さらに高い
施術での配慮 座る姿勢での圧迫を避ける おなかへの圧迫を避ける。脚の圧は特に弱く

 

経腟分娩では、会陰の傷が数週間痛むことがあります。座る姿勢が続く施術では、クッションの当て方で痛みが変わります。

 

帝王切開は、おなかを切る手術です。起き上がる、笑う、咳をするといった動作で傷が痛む時期が、6週間以上続くこともあります。これは痛みが続く期間の目安であって、施術を受けられない期間という意味ではありません。受けられるかどうかは、1ヶ月健診で傷の状態を見てもらってから判断してください。うつ伏せの姿勢は、傷を圧迫するので避けます。

 

痛みで体を動かしにくいと、授乳を始めるのも遅れがちになります。すると子宮を縮めるホルモンの出方も遅れ、回復がゆっくりになる傾向があります。焦らずに進めてください。

肩と腰と手首が痛むのは、育児の姿勢に理由があります

産後の不調は、出産そのものだけが原因ではありません。毎日の授乳と抱っこが、同じ場所に負担を集めます。

調査では、産後の6割以上が何らかの不調を抱えています

2011年の査読論文に、産後の女性を対象とした調査があります。何らかの不調を抱えている方は全体の62パーセントでした。最も多いのが腰痛で、不調のある方の約半数を占めます。次いで肩こり、股関節の痛み、腱鞘炎の順です。

 

2011年の調査なので、いまの数字とは差があるかもしれません。それでも、腰と肩のご相談が多いのは、当店の現場でも同じです。

授乳の姿勢が、首と背中を固めます

授乳のとき、多くの方が前かがみになります。赤ちゃんの口に合わせて頭を前に出し、背中を丸め、肩を内側に巻き込む姿勢です。

 

頭の重さは4キロから5キロあります。前に傾けると、首から背中の筋肉がその重さを支え続けることになります。筋肉は縮んだまま固まり、内側の細い血管が圧迫されます。

 

血の巡りが落ちると、痛みのもとになる物質が筋肉にたまっていきます。1日に何度も、長い時間これが繰り返されます。授乳期の肩こりが手ごわいのは、この繰り返しがあるためです。

片側だけの抱っこが、骨盤にねじれを生みます

抱っこは、どうしても得意な側に偏ります。片方の腕や腰に赤ちゃんを乗せる姿勢は、左右で荷重が変わります。

 

産後は骨盤まわりの結合組織がゆるんでいます。そこへ偏った荷重が毎日加わると、骨盤帯にねじれが生まれやすくなります。

 

おむつ替えやベビーベッドからの抱き上げも負担になります。前にかがみながら体をひねる動きは、腰にとって最も負担の大きい形です。ぎっくり腰の引き金になることがあります。

手首の痛みには、姿勢とホルモンの両方が関わります

授乳や沐浴のとき、赤ちゃんの頭を片手で支えます。親指を大きく開き、手首を小指側に曲げた状態が長く続きます。

 

この姿勢が、親指を動かす腱とそれを包む組織に摩擦を起こします。加えて、産後はホルモンの状態が大きく変わります。腱を包む組織に炎症が起きやすくなると言われており、姿勢の負担と重なります。

その日から変えられることもあります

姿勢の負担は、道具の使い方で軽くできます。

 

  • 胸を赤ちゃんに近づけるのではなく、クッションで赤ちゃんの高さを胸まで上げる
  • 抱っこする側を左右で入れ替える。正面で抱く時間もつくる
  • 抱き上げるときは、体をひねらずに正面から。膝を使って持ち上げる
  • 手首は、親指を開いたまま固定する時間を短くする

 

どれも小さな工夫です。ただ、1日に何十回も繰り返す動作なので、積み重ねると差が出ます。

 

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休みたくても休めない時期に、外から手を入れる意味

2023年に公表された調査では、産後の女性の9割以上が疲れていると回答しています。産後2ヶ月までに限ると、その割合はさらに上がります。

 

睡眠時間が5時間に満たない方は、およそ3人に1人です。6時間以上8時間未満を確保できている方は4割ほどにとどまります。

 

そして、休んではいけないと感じている割合は、女性で6割を超えます。眠れないことに加えて、眠っていいと思えないことも、疲れを抜けにくくしているのかもしれません。

自分の手では、届かない場所があります

肩や首の前側は、自分でも揉めます。ただ、授乳で固まるのは肩甲骨の内側と背中です。自分の手はそこまで回りません。

 

ストレッチも同じです。腕を回す動きはできます。けれど、固まった筋肉を伸ばしきるには、体を支える力が要ります。産後の体力では続きにくい動きです。

 

そもそも、片手が空かない時期でもあります。赤ちゃんを見ながらケアの時間をつくるのは、実際にはかなり難しいことです。

 

外から手を入れる意味は、ここにあります。自分では届かない場所に触れてもらうこと。自分ではつくれない時間を持つこと。産後の体に必要なのは、強さではなくこの2つです。

産後に施術を受けるとき、確認しておきたい4つのこと

受けられる時期になったとして、次は中身の話です。産後の施術には、通常と変えるべき点があります。予約の前に確認しておくと安心です。

横向きの姿勢で受けられるか

授乳期は乳房が張ります。うつ伏せになると体重がかかり、強い圧迫痛が出ます。母乳がもれる不快感もあります。

 

帝王切開の後は、理由がもう1つ増えます。おなかの傷は、数ヶ月かけて安定していきます。その途中で直接圧迫すると、痛みだけでなく傷そのものへの負担になります。

 

仰向けも、腰に負担がかかるので産後は避けたい姿勢です。横向きの姿勢で受けられるかを確認してください。乳房の張りや腰への負担を避けるのは慣例ですが、帝王切開の傷を守るほうは医学的な理由があります。

圧を弱めてもらえるか

ここが最も大切な確認事項です。とくに、ふくらはぎと太ももへの圧です。

 

記事の前半で書いたとおり、産後は脚の奥に血の塊ができやすい時期です。強く揉み出す施術は、この時期には向きません。

 

産後の施術では、体に効かせる強さではなく、リラックスできる強さを選びます。「痛気持ちいい」を求めないでください。物足りないくらいで、この時期にはちょうどよい強さです。

ストレッチを軽めにしてもらえるか

靭帯がゆるんでいる時期に、関節を大きく動かす施術は危険です。とくに、おなかまわり、骨盤まわり、開脚のように強く伸ばす動きは控えます。

 

タイ古式マッサージはストレッチが中心の施術です。産後に受けるなら、普段と同じ内容ではなく、伸ばす幅も回数も落とした形になります。その日の状態に合わせて調整してもらえるかを聞いてください。

時間が長すぎないか

産後の施術時間について、医学的に決まった上限はありません。業界では60分から90分程度に収めるのが一般的です。

 

理由は2つあります。1つは授乳の間隔です。新生児の授乳は2時間から3時間おきになることが多く、長いコースでは間に合わなくなります。もう1つは体力です。回復しきっていない体に長時間の刺激を加えると、だるさが残ることがあります。

 

確認したいこと どうしてもらうか 理由の性質
姿勢 横向きで受ける。うつ伏せと仰向けは避ける 胸の張りと腰への負担は慣例。帝王切開の傷は医学的な理由
圧の強さ 通常より弱くする。脚は特に弱く 医学的な理由。血の塊が動くことを避ける
ストレッチ 強く伸ばさない。回数も減らす 医学的な理由。靭帯がゆるみ関節が不安定
時間 60分から90分程度にとどめる 業界の慣例。授乳の間隔と体力への配慮

 

この4つを聞いて、はっきり答えが返ってくる店であれば、産後の体を預けても大きく外しません。逆に、通常のコースと同じ説明しか返ってこない場合は、時期をずらすことも選択肢になります。

授乳中のアロマオイルは、どう考えればいいか

オイルを使う施術を選ぶとき、授乳中の精油が気になる方は多いです。ここは、はっきりした答えが出ていない領域です。

安全だと言い切れる研究は、存在しません

授乳中の方や乳児を対象に、精油の害を調べる試験は倫理的に実施できません。そのため、いま出回っている情報の多くは、根拠が間接的です。試験管内の実験、動物への大量投与、成分の性質からの推測、少数のアンケート。こうしたものが元になっています。

 

アロマテラピーの業界団体も、授乳中のアロマテラピーについて科学的なデータを持っていないと公表しています。そのうえで、芳香浴以外で精油を使う場合は担当医に相談するよう勧めています。

 

安全だと断言する情報源があれば、そちらを疑ってください。分かっていないことを分かっていないと言うのが、いまの正確な状態です。

控えるほうがよいとされる精油

懸念されている中身と、その根拠の確かさを並べます。

 

精油 懸念されていること 根拠の強さ
ペパーミント 母乳の分泌量が減る可能性 中から弱い。使用した方の約3割が減少を訴えたアンケートなど
セージ 神経への影響が懸念される成分を含む 中程度。動物実験と成分の性質からの推測
フェンネル、アニス 女性ホルモンに似た働きをする成分を含む 中程度。同上

 

皮膚から入った精油の成分は、血流に乗って全身をめぐります。体に吸収された成分のうち、母乳へ移るのは1パーセント未満と推計されています。ごく微量ですが、精密に測られた数字ではありません。ただ、生まれて間もない赤ちゃんは、分解する力も出す力もまだ育っていません。微量でも避けておこう、という考え方が主流です。

 

サロンでオイルの施術を受けるときは、授乳中であることを先に伝えてください。使う精油を選べる店であれば、避けるものを外したブレンドにできます。

公的な産後ケアと、民間のサロンの違い

産後のケアには、自治体が用意している制度があります。宿泊して休む形、日帰りで預かってもらう形、助産師に来てもらう形の3つが柱です。

制度はあるのに、届いていません

実施する市町村は増えています。令和6年度末の見込みで、全国1,644市町村に達します。ほぼ全国に広がったと言えます。

 

ところが、使われていません。利用率は令和4年度で10.9パーセント、令和5年度の推計でも15.8パーセントです。8割以上の方が、公的な支援にたどり着いていません。

 

指標 数字
実施している市町村 1,644市町村(令和6年度末の見込み)
利用率 10.9パーセント(令和4年度)から15.8パーセント(令和5年度の推計)
知っていれば使いたかった 66パーセント
使い方が分からなかった 20.5パーセント
手続きが複雑で諦めた 14.3パーセント

 

実施している自治体の数と、実際に使われている割合が、これだけ離れています。

いちばんの壁は、知られていないことです

公的な支援の多くは、申請から始まります。役所の窓口で手続きをし、審査を経て利用券を受け取り、さらに施設へ電話で予約を入れる。この流れが標準です。

 

知っていれば利用したかったと答えた方が、66パーセントいます。まず、制度そのものが届いていません。次の壁が手続きです。使い方が分からなかったという方が20.5パーセント、手続きが複雑で諦めたという方が14.3パーセントいます。

 

睡眠が5時間に満たない日が続き、赤ちゃんの世話に追われている時期に、この手順を踏むのは簡単ではありません。

 

制度を使えるなら、まず制度を使ってください。助産師による相談も受けられますし、費用の負担も軽くなります。民間のサロンは、その隙間を埋める選択肢です。当日や翌日に空きがあればその枠を使える、上の子の預け先が決まった2時間だけ使える、といった小回りが効きます。

ラダシアでは、産後の方をこのように考えています

ここからは、当店の話をさせてください。

専用のコースは設けていません

先に正直なところをお伝えします。ラダシアには、産後ケアの専用コースがありません。骨盤矯正や体型を戻すための施術も行っていません。

 

当店が専門にしているのは、タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つです。産後の方には、この2つを体の状態に合わせて調整してご提供する形になります。

産後の方にタイ古式をおすすめしている理由

毎日の授乳や抱っこで、肩も腰も固まったままという方が多くいらっしゃいます。タイ古式マッサージは、そうした体を強く揉まずにゆるめていく施術です。

 

施術は、ゆったりとした呼吸に合わせたリズムで進めます。力を抜きやすく、横になっている間に眠ってしまう方もいらっしゃいます。

 

また、タイ古式には股関節まわりをゆるめる手技が多くあります。骨盤の位置を整える矯正とは別のものです。抱っこで固まりやすい腰まわりを、無理のない範囲でほぐしていきます。

 

産後の体に、強いストレッチは禁物です。当店では、お一人おひとりに合わせた弱めの力加減で進めます。頑張りすぎている体を、しばらく預けていただく時間だと考えています。

調整する内容

産後の方をお迎えするときの考え方は、次のとおりです。

 

  • 産後1ヶ月健診を終えて、問題がないと言われていることを目安にする
  • 当日の体調をうかがってから、内容を決める
  • 横向きの姿勢で施術する。うつ伏せと仰向けは行わない
  • 圧は通常より弱く調整する。脚は特に弱くする
  • 無理なストレッチは行わない。おなかや骨盤まわり、開脚は控える
  • ストレッチの回数も、その日の状態に合わせて減らす
  • コースの長さも、当日の体調をうかがってから決める

 

体に効かせるための施術ではなく、休んでいただくための施術になります。物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。この時期は、それでちょうどよいと考えています。

タイ古式とバリニーズ、産後はどちらを選ぶか

どちらもお受けいただけます。産後はどちらも、通常より弱く調整します。

 

オイルを使うバリニーズアロマは、伸ばす動きが少ない施術です。関節への負担という点では、産後に選びやすい形になります。ただし脚を流す動きが入るので、圧は弱めます。使う精油は、授乳中であることをお伝えいただければ選び直せます。

 

タイ古式マッサージは、ストレッチが中心の施術です。産後に受ける場合は、伸ばす幅と回数を落とした内容になります。普段の強さを期待して来られると、物足りなく感じるかもしれません。

 

どちらを選んでも、決め手になるのは当日の体調です。ご予約のときにうかがった内容をもとに、その日の形を決めます。

ご予約のときに伝えていただきたいこと

電話やご予約の際に、次の点を教えてください。内容を決めるために必要です。

 

  • 出産からどのくらい経っているか
  • 経腟分娩か帝王切開か
  • 1ヶ月健診が済んでいるか、医師から言われていることはあるか
  • 授乳中かどうか
  • いちばんつらい場所はどこか

 

お子さまの同伴は、ご遠慮いただいております。キッズスペースがなく、お子さまをケアするスタッフもいないためです。預け先を確保できる日にご予約ください。

 

全店舗が完全個室です。カーテンで仕切っただけの空間ではないので、授乳やお着替えも人目を気にせず済ませていただけます。セラピストは全員が日本人女性です。

 

あわせて読みたい:完全個室のマッサージ店を選ぶべき理由|カーテン仕切りとの決定的な違い

産後のマッサージについて、よくあるご質問

産後のマッサージはいつから受けられますか?

産後1ヶ月健診で問題がないと言われていることが、ひとつの目安になります。健診では子宮の戻りや傷の治り方が確認され、湯船への入浴が許可されます。マッサージも同じ区切りで考えられています。ただし、1ヶ月が過ぎれば誰でも受けられるわけではありません。傷が痛む、出血が増える、体力が戻らないという状態であれば、時期をずらしてください。

帝王切開の後でもマッサージは受けられますか?

受けられますが、経腟分娩の方より慎重に進めます。おなかの傷は数ヶ月かけて安定していくので、横向きの姿勢で受けていただきます。脚への圧も特に弱くします。手術と術後の安静が重なると、脚の奥に血の塊ができるリスクが高まるためです。時期の目安は経腟分娩の方と同じで、1ヶ月健診で問題がないと言われていることです。傷の治り方には個人差があるので、健診のときに医師へ確認してください。何か言われている場合は、その内容を先にお伝えください。

授乳中でもアロマオイルのマッサージを受けられますか?

受けられます。ただし、順番があります。オイルを使う施術は、健診や受診のときに一度確認しておいてください。授乳中のアロマテラピーについて、業界団体は科学的なデータを持っていないと公表しており、医師への相談を勧めています。そのうえで、授乳中であることを予約の時点でお伝えください。ペパーミントのように、母乳の分泌に影響する可能性が指摘されている精油を外したブレンドにできます。

産後の骨盤矯正はしてもらえますか?

ラダシアでは骨盤矯正を行っていません。当店が専門にしているのは、タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つです。骨や関節の位置を調整する施術をお探しの場合は、別の選択肢をご検討ください。当店で受けていただけるのは、緊張した筋肉をゆるめて休んでいただくための施術です。

産後の脚のむくみは、強く揉んでもらってもいいですか?

強く揉むことはおすすめできません。産後は血が固まりやすい状態が続いており、脚の奥に血の塊ができることがあります。強い刺激で塊がはがれると、肺の血管をふさぐ危険があります。片方の脚だけが腫れている、痛む、熱をもっているという場合は、施術ではなく医療機関にご相談ください。むくみが左右同じように出ている場合は、圧を弱めにして受けてください。ただし、むくみが急に強くなった、頭痛や目のちらつきを伴う、体重が急に増えたというときは、先に医療機関にご相談ください。

産後のマッサージに赤ちゃんを連れて行けますか?

申し訳ありませんが、お子さまの同伴はご遠慮いただいております。キッズスペースがなく、お子さまをケアするスタッフもいないためです。ご家族や一時預かりなど、預け先を確保できる日にご予約ください。全店舗が完全個室ですので、預けられた日は、その時間をご自分だけのために使っていただけます。

産後何ヶ月まで、施術の内容に気をつけたほうがいいですか?

靭帯のゆるみと関節の不安定さは、産後3ヶ月から6ヶ月続くとされています。授乳中の方では、元の状態に戻るまで最長で12ヶ月かかったという報告もあります。この間は、強く伸ばすストレッチを避けるほうが安全です。体調が戻ってきたと感じても、関節まわりは回復の途中にあります。半年を目安に、授乳が続いている間は「産後です」と伝え続けてください。

産後のマッサージは何分くらいのコースがいいですか?

60分から90分程度が目安になります。医学的に決まった上限はなく、業界の慣例です。授乳の間隔に間に合うことと、体力が持つことの2つが理由です。長いコースを選ぶ前に、その日の体調と相談してください。

まとめ

産後のマッサージがいつから受けられるか。目安は、産後1ヶ月健診で問題がないと言われていることです。健診は、子宮の戻りと傷の治り方を確認する場でもあります。湯船につかる入浴が許可されるのも、この区切りです。

 

ただし、1ヶ月という日数が条件なのではありません。回復の早さには個人差があります。傷が痛む、出血が増える、体力が戻らないという状態なら、時期をずらしてください。

 

時期よりも先に確認していただきたいのが、受けてはいけない状態です。

 

  • 片方の脚だけが腫れている、痛む、熱をもっている
  • 息が苦しい、急に胸が痛くなった
  • 熱が出ている
  • 悪露に強いにおいがある、量が急に増えた
  • 下腹部の強い痛みが続いている
  • 傷の痛みが強い、傷のまわりが赤く腫れている
  • 産後6週を過ぎても、鮮やかな赤い悪露が続いている

 

こうしたときは、サロンではなく産婦人科などの医療機関にご相談ください。

 

受けられる時期になっても、内容は通常と変わります。横向きで受けること。圧を弱くすること、とくに脚は弱くすること。ストレッチを軽くすること。時間を長くしすぎないこと。この4点が、産後の施術の輪郭です。

 

肩と腰と手首の痛みには、育児の姿勢という原因があります。授乳の前かがみ、片側だけの抱っこ、親指を開いたまま支える手。同じ動作を1日に何十回も繰り返すので、休むだけでは追いつきません。クッションで赤ちゃんの高さを上げる、抱く側を入れ替えるといった工夫を、あわせて試してみてください。

 

自治体の産後ケアが使えるなら、まずそちらを使ってください。1,644市町村で実施されていますが、利用率は1割から1割5分にとどまっています。使われていない最大の理由は、知られていないことです。知っていれば利用したかったという方が66パーセントいます。手続きの複雑さは、その次の壁として挙がっています。

 

それでも、手続きを踏む余力がない日があります。上の子を預けられた2時間だけ、体を休めたい日もあります。そういうときの選択肢として、当店を思い出していただければと思います。強く効かせる施術ではなく、体調に合わせて弱く整える時間をご用意しています。

 

ラダシアのご予約はこちらから

 

タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化し、全店舗を完全個室でご用意しています。セラピストは15日間の研修と卒業試験を経て現場に立っていますので、初めての方もご安心ください。

 

※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。産後の体調について気になることがある場合は、産婦人科などの医療機関にご相談ください。

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