寒くなると、手足が冷たくて眠れない、お腹が冷えて落ち着かない、という声が増えてきます。体を温める「温活」を始めようか、と考えている方も多いと思います。
ただ、温活の効果を調べると、体温が上がる、代謝が上がる、免疫力が上がる、といった言葉が並んでいます。どこまで本当なのか、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
先に答えをお伝えします。温めると心地よく感じることは、多くの方が経験していると思います。一方で、体の中心の温度や代謝が上がるかを調べた研究では、どちらも変化ははっきりしない、という結果でした。ただし、この研究は若い男性9人が1回だけ足湯につかったもので、分かる範囲は限られています。温活の効果があったとする話を見かけたときも、どんな人で、何回調べた研究なのかを見てみてください。
「体温が1度下がると免疫力が30パーセント下がる」という話もよく見かけます。2017年の報道では、この話を載せていた製薬会社が調べても、裏付けとなる論文は見つからなかったと伝えられています。会社がその表現を削除したことも報じられました。
そして、温め方によっては低温やけどや、お風呂での事故につながることがあります。冷えの裏に、病気が隠れていることもあります。
当店はタイ古式マッサージとバリニーズアロマのサロンで、温活の効果をうたう立場とは違います。ですので、確かめられたことと、確かめられていないことを分けてお伝えします。
温活の効果は、どこまで分かっているのか
温活は、体を温める工夫をまとめて呼ぶ言い方です。お風呂、足湯、カイロ、湯たんぽ、服の重ね着、温かい食べ物など、やり方はさまざまです。
よく言われる効果と、当店が資料で確かめられたことを、先に表で並べます。くわしい中身は、このあとの節と、よくあるご質問で説明します。
| よく言われる効果 | 資料から分かったこと |
|---|---|
| 温めると心地よい、ほっとする | 感じ方の話で、否定する材料は見当たらない |
| 体の中心の温度が上がる | 若い男性9人が41度の足湯に30分つかった研究。体の中心の温度の目安として測った鼓膜の温度に、はっきりした変化は見られなかった |
| 代謝が上がり、やせやすくなる | 同じ研究で、体が使うエネルギーの量に変化は見られなかった |
| 体温が1度下がると、免疫力が30パーセント下がる | 2017年の報道で、この数字の裏付けとなる論文は見つからなかったと伝えられた |
| 続けると体質が変わる | 長く続けた結果を調べた研究は、当店が確認した資料の中には無かった |
表から分かるのは、温活の効果としてよく言われることの多くが、確かめられていないということです。温めることそのものは、心地よさのために続けてよいものです。
心地よさを目的に温めるのは、十分に意味のあることだと当店は考えています。その上で、体温が上がる、免疫力が上がる、という期待までは持たないほうが、がっかりせずに済みます。
手足の冷えを感じている人は、どれくらいいるのか
手足の冷えを感じている人がどれくらいいるかは、国の調査で分かります。厚生労働省の国民生活基礎調査です。ここでは、2025年の調査の概況(2026年7月公表)の数字を使います。
この調査では、体の具合が悪いところがあるかを尋ねています。「手足が冷える」を挙げた人は、人口1,000人あたり21.5人でした。男性は14.4人、女性は28.2人で、全年代を合わせると、女性は男性の約2倍です。
この数字は、体の具合が悪いと自分で感じているかを尋ねたものです。病気と診断された人の数とは、意味が違います。
年代ごとに見ると、男女の差がよく分かります。2025年の概況には、症状ごとの年代別の数字がありません。そこで年代別は、2022年の調査から、いくつかの年代を抜き出しました。
| 年代(2022年の調査) | 女性(1,000人あたり) | 男性(1,000人あたり) |
|---|---|---|
| 20歳から24歳 | 15.2人 | 1.8人 |
| 30歳から34歳 | 17.4人 | 2.7人 |
| 40歳から44歳 | 17.8人 | 4.9人 |
| 50歳から54歳 | 23.5人 | 7.7人 |
| 60歳から64歳 | 22.6人 | 9.9人 |
| 65歳から69歳 | 35.1人 | 18.3人 |
女性は20歳代の前半から、すでに1,000人あたり15人ほどが手足の冷えを挙げています。表の中で男性が10人を超えるのは、65歳から69歳の年代だけです。
男女の差は、若い年代ほど大きくなっています。20歳から24歳では女性が男性の8倍ほど、65歳から69歳では約2倍です。先ほどの約2倍は、2025年の調査の、全年代を合わせた数字です。
表は、年代をいくつか抜き出したものです。70歳以上の数字は、当店が確認できた資料の範囲に入っていなかったため、載せていません。全体の数字には、70歳以上の方も含まれています。
2025年の数字を割合にすると、女性では約2.8パーセント、男性では約1.4パーセントです。数字だけを見ると大きくはありませんが、女性では若いうちから一定の数の方が冷えを挙げています。悩んでいる方がいるからこそ、効果を言い過ぎた情報には気をつけたいところです。
体の表面の温度と、体の中心の温度は別のものです
温活の効果を考えるときに、まず知っておきたいことがあります。手足や肌の温度と、体の中心の温度は、別のものとして扱われているという点です。
体の中心の温度は、医学では「深部体温」と呼ばれます。脳や内臓がある、体の奥の温度のことです。
救急医療の専門家の学会(日本救急医学会)は、深部体温を測る場所として、直腸や食道などを挙げています。いずれも、体の奥にある場所です。
手足が冷たくても、体の中心が冷えているとは限りません
手足が冷たいと、体全体が冷えているように感じます。ですが、手足の皮膚の温度は、体の中心の温度とは別に変わります。
ふだん脇の下で測る体温も、深部体温とは測る場所が違います。学会が深部体温の測り方として挙げているのは、先ほどの直腸や食道などの場所です。
つまり、手足が温まったという感覚と、体の中心の温度が上がったかどうかは、分けて考えてください。この区別が、次の足湯の研究を読むときの手がかりになります。
医学で「低体温症」と呼ぶ状態
平熱が低いと「低体温」と呼ばれることがあります。ですが、医学で低体温症と呼ぶのは、これとは別の状態です。
同学会は、低体温症を、深部体温が35度以下になった状態としています。ここでいう体温は、脇の下ではなく、直腸や食道などで測る体の中心の温度です。
脇の下で測った平熱が低めだということと、医学でいう低体温症は、別の話です。
ただし、平熱がいつもより低く、だるさや寒気が続くときは、体調の変化かもしれません。その場合は、医療機関に相談してください。
足湯で、体の中心の温度は上がるのか
温活の代表的な方法の1つが、足湯です。足を温めれば、全身が温まって代謝も上がる、と紹介されることがあります。
この点を調べた研究があります。温泉や温熱を使った療法を扱う国内の学会の雑誌に、2018年に載ったものです。
研究で行われたこと
研究に参加したのは、健康な男性9人です。年齢は平均23歳でした。
室温を25度に保った部屋で、41度のお湯に、ひざ下まで30分つかってもらいました。その間とその後に、次のような値を測っています。
- 体が使うエネルギーの量(吐く息から計算する)
- 鼓膜の温度(この研究が、体の中心の温度の目安として測ったもの)
- 心拍数
- 血圧
結果は、どの値にも、はっきりした変化は見られなかったというものでした。足湯の最中も、そのあと休んでいる間も、同じでした。
この研究から言えること、言えないこと
この研究で分かったのは、41度のお湯に30分つかる足湯についてです。体の中心の温度や代謝の数字に、はっきりした変化は見られませんでした。
足湯は、ひざ下だけをお湯につける温め方です。全身でお湯につかるお風呂とは、条件が違います。お風呂については、このあとの注意点の節で取り上げます。
一方で、参加したのは若い健康な男性9人だけです。女性や、冷えに悩んでいる方は対象の外です。調べたのは1回だけの足湯で、毎日続けた場合の変化は今後の課題です。また、測ったのは鼓膜の温度で、学会が深部体温を測る場所として挙げる直腸や食道とは違います。
| 知りたいこと | この研究で分かったこと |
|---|---|
| 足湯で、体の中心の温度は上がるか | 41度・30分の足湯で、鼓膜の温度にはっきりした変化は見られなかった |
| 足湯で、代謝は上がるか | 体が使うエネルギーの量に、はっきりした変化は見られなかった |
| 心臓や血圧への負担は | 心拍数と血圧にも、はっきりした変化は見られなかった |
| 女性や、冷えのある人ではどうか | 参加者が若い健康な男性だけなので、分からない |
| 毎日続けるとどうなるか | 1回の足湯を調べたもので、分からない |
表のとおり、分かっているのは、若い男性が1回つかったという限られた条件での結果だけです。女性や冷えのある人、毎日続けた場合など、知りたいことの多くは、まだ確かめられていません。少なくとも、足湯で代謝が上がってやせる、と言い切るには材料が足りないと言えます。
それでも、足が温まって気持ちが良い、という感覚は確かにあるものです。その心地よさを目的に足湯を楽しむのは、十分に意味のあることです。
足湯のやり方は、別の記事にまとめてあります。
あわせて読みたい:【自宅で簡単】炭酸足湯の正しい作り方!温度と分量のおすすめ、そして冷え対策のヒント
「体温が1度下がると免疫力が30パーセント下がる」は本当か
温活の記事でよく目にするのが、「体温が1度下がると免疫力が30パーセント下がる」という話です。
この話については、朝日新聞社のニュースサイト「withnews」が、2017年10月13日に経緯を報じています。
報じられた経緯
ある製薬会社のサイトに、この話が載っていました。クリニックの院長が、根拠となる論文が見つからないと指摘しました。会社が論文を調べたところ、裏付けとなる論文は見つからなかったそうです。
会社は2016年12月に、その表現を削除しました。別の会社も、記者の取材のあと、この話を載せていた記事を削除したと報じられています。
つまり、温活の記事で広く使われてきたこの数字は、出どころとなる研究が確かめられていないものです。当店も、この数字は使わないと決めています。
体温と免疫の関係を、人で調べた論文は無かった
同じ報道では、体温で免疫の仕組みが活発になることを動物で調べた研究者にも話を聞いています。研究者は、体温と免疫に関する論文は少なく、人について調べたものは無かったと話していました。
免疫は、外から入ってきた異物を排除して体を守る働きです。その働きが体温1度でどれだけ変わるのかは、2017年の時点では、人で確かめた論文が無かったということになります。
「免疫力が何パーセント上がる」という言い方を見かけたら、何をどう測った数字なのかを確かめてみてください。測り方が書かれていなければ、そのまま信じるのは控えたほうが無難です。
温活で気をつけたいこと
温めることは、やり方を誤ると体を傷つけることがあります。ここでは、国や自治体が注意を呼びかけている2つを取り上げます。低温やけどと、お風呂での事故です。
カイロや湯たんぽで起こる、低温やけど
低温やけどは、熱いと感じない程度の温度でも、長い時間ふれ続けることで起こるやけどです。カイロ、湯たんぽ、電気毛布、電気あんかなどで起こります。
東京都によると、低温やけどは、ふつうのやけどに比べて「痛い」「熱い」という自覚がないまま起こる場合があります。皮膚の深いところまで及んで、重くなる危険もあるそうです。
温水洗浄便座のように、温度は比較的低くても、長い時間じかに肌にふれるものでも起きています。東京都は、心地よく感じる程度の温度でも、皮膚の同じところに長い時間ふれさせないよう呼びかけています。
東京都が、資料をもとに目安を示しています。皮膚にふれている物の温度と、やけどになるまでの時間の目安は、次のとおりです。
| ふれている物の温度 | 低温やけどになるまでの時間の目安 |
|---|---|
| 44度 | 3時間から4時間 |
| 46度 | 30分から1時間 |
| 50度 | 2分から3分 |
表のとおり、44度でも、3時間から4時間ふれ続けると、やけどになることがあります。熱いと感じない温度でも、時間が長ければ起こるのが低温やけどです。
眠っている間は、気づかないうちに長い時間が過ぎます。湯たんぽやカイロを当てたまま眠ると、この時間を超えてしまうことがあります。
温めるものは、眠る前に布団から出すか、体から離しておくのが安心です。カイロは、同じ場所に当て続けないようにしてください。
東京都は、ふだんの暮らしで起きた低温やけどの事例を紹介しています。短くまとめると、次のとおりです。
| 使っていたもの | 起きたこと |
|---|---|
| 電気毛布 | 長い時間かけていたら、足の指8本が低温やけどになった。治るまでに約6か月かかった(50歳代) |
| 電気あんか | あんかの上に足を乗せて眠ったら、熱くて目が覚めた。足が赤くなっていた(60歳代) |
| カイロ | 両足の太ももに貼って約12時間過ごしたら、水ぶくれになった(40歳代) |
| 温水洗浄便座 | 長く座っていたために、低温やけどを起こした(70歳代) |
どれも、家庭でふだん使っているものです。眠っている間や、長い時間当てたままにしていたときに起きています。
東京都は、眠るときは特に気をつけるよう呼びかけています。挙げられているのは、次の4つです。
- 電気毛布は、眠る前に温めておき、眠っている間は高い温度で使わない
- 布団が温まったら、電気あんかや湯たんぽは布団から出す
- 眠っている間は、カイロを使わない
- 使う前に、取扱説明書を確かめる
同じ資料には、低温やけどは見た目より重い場合がある、とも書かれています。痛みや違和感があるときは、早めに医療機関を受診してください。
お風呂での事故
温活の方法として、お風呂にゆっくりつかることもよく勧められています。ですが、お風呂は事故が多い場所でもあります。
消費者庁は、2025年12月に、冬の入浴について注意を呼びかけています。2024年に、全国で浴槽で溺れるなどして亡くなった方は、全年齢で7,776人でした。
そのうち65歳以上の方は7,363人で、全体の約95パーセントを占めています。同じ年の、65歳以上の方の交通事故による死亡は2,103人でした。浴槽での死亡は、その3倍以上にあたります。
年代ごとの内訳は、次のとおりです。
| 年代 | 亡くなった方 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 14歳以下 | 20人 | 0.3パーセント |
| 15歳から64歳 | 393人 | 5.1パーセント |
| 65歳から79歳 | 2,646人 | 34.0パーセント |
| 80歳以上 | 4,717人 | 60.7パーセント |
80歳以上の方だけで、全体の6割を超えています。同じ資料では、東京消防庁の数字も紹介されています。2023年に溺れる事故で救急搬送された65歳以上の方は460人で、冬に増える傾向があるそうです。これは亡くなった方ではなく、救急車で運ばれた方の数です。
消費者庁は、2024年12月にも同じ注意を出しています。そのコラムでは、2023年の数字が、65歳以上の方に絞って紹介されていました。ここでの溺れる事故には、浴槽以外での事故も含まれます。
2023年に、溺れる事故で亡くなった65歳以上の方は8,270人でした。そのうち約8割にあたる6,541人が、浴槽での事故で亡くなっています。月ごとに見ると、12月と1月に特に多くなっていました。
同じコラムには、10年の変化も載っています。2013年から2023年までに、65歳以上の人口は14パーセント増えました。同じ間に、65歳以上の方の溺れる事故による死亡は31パーセント増えています。
12月と1月は、寒さが本格的になる時期です。お風呂で温まることを考えるなら、この時期に事故が増えることも一緒に覚えておいてください。
冬のお風呂で事故が起きる理由
消費者庁は、冬に溺れる事故が起きる原因として、2つを挙げています。
1つ目は、暖かい部屋と、寒い脱衣所や浴室との温度差で、血圧が急に変わることです。2つ目は、熱いお湯に長くつかって体温が上がり、意識がぼんやりすることです。
足湯の研究とは違い、全身でお湯につかるお風呂では、体温が上がることを前提に注意が呼びかけられています。2つ目は、温活のつもりで熱いお湯に長くつかることと、そのまま重なります。体を温めることが目的でも、温めすぎは事故の原因になりえます。
消費者庁は、入浴の目安として、お湯の温度は41度以下、つかる時間は10分までとしています。あわせて、次のような点を挙げています。
- 入浴前に、脱衣所や浴室を暖めておく
- 部屋ごとの温度の差を、温度計で確かめておく
- 同居する家族がいれば、入浴前にひと声かけておく
- 入浴前に水分をとる。入浴中も、のどが渇いたらとる
- 食後すぐや、お酒を飲んだあと、薬を飲んだあとの入浴は避ける
- 浴槽から急に立ち上がらない
- 湯温や入浴時間は、温度計やタイマーで確かめる
- 浴槽で意識がもうろうとしたら、気を失う前にお湯を抜く
温活のために長くつかる、熱いお湯に入る、というやり方は、この目安から外れることがあります。体を温めるつもりが、かえって危険につながることもあると知っておいてください。
特に、ご家族に高齢の方がいらっしゃる場合は、この目安を一緒に確かめておくと安心です。
消費者庁は、ご家族にも呼びかけています。入浴の時間が長い、音が全くしない、突然大きな音がした。こうした異常に気づいたら、ためらわずに声をかけてください。
避けたいことのまとめ
ここまでの注意点を、表にまとめます。
| 避けたいこと | 根拠 |
|---|---|
| 湯たんぽやカイロを当てたまま眠る | 44度でも3時間から4時間で低温やけどになることがある、と東京都が示しています |
| カイロを同じ場所に当て続ける | 同じ部位に長くふれ続けることで、低温やけどが起こります |
| 熱いお湯に長くつかる | 消費者庁が、41度以下・10分までを目安としています |
| 食後すぐや、お酒のあとに入浴する | 消費者庁が、避けるよう呼びかけています |
| 浴槽から急に立ち上がる | 消費者庁が、避けるよう呼びかけています |
温めすぎない、長く当て続けない、という2つを覚えておいてください。
冷えの裏に、病気が隠れていることがあります
手足の冷えの中には、病気のサインとして冷えが出ていることもあります。
温活を始める前に、次のサインがないかを確かめてください。どれかに当てはまるときは、温活より先に医療機関を受診してください。
- 歩くと脚が痛くなり、少し休むと治まる
- 足先がいつも冷たい、しびれる
- 寒がりに加えて、疲れやすい、まぶたが腫れる、体重が増えた
3つのサインが、どんな病気と関わるのかを説明します。
足の血管が細くなる病気
1つ目と2つ目は、閉塞性動脈硬化症という病気で見られることがあります。脚の動脈が硬く細くなり、足先まで血液が十分に届かなくなる病気です。
高齢者の健康を解説する公的なサイト(健康長寿ネット)によると、初めのうちに出やすいのが「間欠性跛行」です。歩き続けると脚が痛くなり、数分休むと楽になって、また歩けるという症状です。
病気が進むと、休んでいるときにも痛みが出て、足先がいつも冷たく感じるようになると説明されています。さらに放置すると、足先に深い傷ができることもあるそうです。
同じ解説では、冷えやしびれに加えて、高血圧、糖尿病、脂質の値の異常、喫煙歴があると、受診して調べることを勧めています。
糖尿病のある方は、痛みを感じにくくなっていることがあります。そのため、痛みよりも冷えのほうが手がかりになる場合がある、とも書かれています。
歩くと脚が痛む症状は、背骨の中を通る神経の病気でも起こります。健康長寿ネットは、見分けるときの違いも挙げています。血管が原因なら、立ち止まって休むだけで痛みが軽くなります。神経が原因なら、前かがみになると軽くなるそうです。
病院では、まず足の甲などの動脈の脈が触れるかを確かめます。腕と足首の血圧を測って比べる検査もあり、足首の血圧が腕に比べて低いかを見ます。
甲状腺の働きが弱まる病気
3つ目は、甲状腺機能低下症という病気で見られることがあります。体の働きを活発にするホルモンが減り、全身の働きがゆっくりになる病気です。
厚生労働省の資料では、この病気の症状として、次のようなものが挙げられています。
- 寒がり
- 疲れやすい、やる気がおこらない
- まぶたが腫れる
- 体重の増加
- いつも眠い、物忘れが多い
- 便秘、かすれ声、首もとの腫れ
同じ資料には、女性では月経の量が多くなる場合がある、とも書かれています。
寒がりのほかに、ここに挙げた症状がいくつも重なっていることがあります。そのときは、温めて様子を見るより、受診して血液の検査を受けるほうが安心です。
サインと相談先の目安
3つのサインと、関わる病気を表にまとめます。
| こういうサインがあるとき | 関わることがある病気 | 当店からのお願い |
|---|---|---|
| 歩くと脚が痛くなり、少し休むと治まる | 閉塞性動脈硬化症 | 温活より先に、医療機関を受診してください |
| 足先がいつも冷たい、しびれる | 閉塞性動脈硬化症 | 温活より先に、医療機関を受診してください。持病や喫煙歴がある方は特に |
| 寒がりに加えて、疲れやすい、まぶたが腫れる、体重が増えた | 甲状腺機能低下症 | 温活より先に、医療機関を受診してください。血液の検査で調べられます |
この表は、受診を考えるきっかけとして使ってください。当てはまったからといって、その病気だと決まるわけではなく、見分けるのは医療機関です。
こうしたサインがある方は、ご予約の前に、まず医療機関を受診してください。
あわせて読みたい:タイ古式マッサージを受けられないケースとは?
温活は何から始めればよいのか
ここまで読んで、温活はやらないほうがいいのか、と感じた方もいらっしゃるかもしれません。答えは、やり方を選べば続けてよい、です。
確かめられていない効果を期待するのではなく、心地よさと安全を目安にする。そう考えれば、温活は日々の暮らしの中で十分に役立ちます。
方法ごとに、気をつけたいことと、当店が確認できた根拠を並べます。
| 温め方 | 気をつけたいこと | 資料から分かっていること |
|---|---|---|
| お風呂 | 41度以下、10分までを目安に。脱衣所を暖めておく | 消費者庁の入浴の目安 |
| 足湯 | 熱すぎないお湯で、心地よい範囲で | 温度と時間の国の目安は、当店では見つけられなかった。41度・30分の研究では、体の中心の温度に変化は見られなかった |
| カイロ・湯たんぽ・電気毛布 | 当てたまま眠らない。同じ場所に当て続けない | 東京都が示す低温やけどの目安 |
| 服の重ね着、首や足首を覆う | 締めつけの強いものは避け、楽な服で | 効果を調べた資料は、当店では確認できていない。寒いと感じたときの身近な工夫として |
| 体を温めるとされる食べ物 | 食べ物で体温が上がるという話は、確かめてから | 当店が確認できた研究は無かった |
表のとおり、資料がはっきり示しているのは「安全に温める」ための目安です。どれだけ効くかではなく、どう温めれば危なくないか、のほうが分かっています。
まずは、寒いと感じたら服を1枚足す、お風呂の温度と時間を目安に合わせる、というところから始めるのが無理のない進め方です。
この記事で紹介した、消費者庁と東京都の目安だけを使って、1日の温活を組み立てると、次のようになります。
| 場面 | 目安 | 出どころ |
|---|---|---|
| お風呂に入る前 | 脱衣所と浴室を暖めておく。水分をとる。家族にひと声かける | 消費者庁 |
| お風呂 | お湯は41度以下、つかるのは10分まで。急に立ち上がらない | 消費者庁 |
| 眠る前 | 電気毛布で布団を温めておき、眠るときは高い温度で使わない | 東京都 |
| 眠っている間 | 湯たんぽや電気あんかは布団から出す。カイロは使わない | 東京都 |
| 日中 | カイロは同じ場所に長く当て続けない | 東京都 |
どれも、何かが上がるという効果の話ではなく、事故を避けるための目安です。それでも、この目安を守って温めれば、心地よさを安心して味わえます。
温めるのは、心地よさを目安に
温める量の目安として、当店がお伝えできるのは「心地よいかどうか」です。熱い、汗が止まらない、のぼせる、と感じたら、温めすぎのサインです。
また、温めたあとに体がだるくなったり、気分が悪くなったりしたときは、そこでやめてください。温活は、量を増やすほどよいというものとは違います。
冷えとタイ古式マッサージについては、別の記事にまとめてあります。
あわせて読みたい:冷えとタイ古式マッサージについての記事
温活の情報を読むときに、確かめたい3つのこと
温活の情報は、雑誌やサイト、商品の説明など、さまざまな場所で目にします。どれを信じてよいか迷ったときは、次の3つを確かめると判断しやすくなります。
| 確かめること | なぜ確かめるのか | この記事での例 |
|---|---|---|
| 何を測った数字か | 手足の温度と、体の中心の温度は別のものだから | 足湯の研究は、鼓膜の温度で体の中心の温度を見ていた |
| 人で調べた結果か | 動物で分かったことが、人でも同じとは限らないから | 体温と免疫について、研究者は人で調べた論文は無かったと話していた |
| 出どころが書いてあるか | 出どころが分からない数字は、確かめようがないから | 「1度で30パーセント」は、2017年の報道で、元の論文が見つからなかったと伝えられた |
1つ目は、何を測った数字かです。手が温かくなった、肌の温度が上がった、という結果は、体の中心の温度が上がったこととは別の話です。体温が上がると書いてあったら、どこで測ったのかを見てください。
2つ目は、人で調べた結果かどうかです。動物の実験で分かったことは、研究の大事な手がかりになります。それでも、人で同じことが起きるかは、人で調べて初めて分かります。
3つ目は、出どころが書いてあるかです。「1度で30パーセント」のように、具体的な数字ほど本当らしく見えます。どの調査や研究の数字なのかが書かれていれば、自分でたどることもできます。
この3つは、温活に限らず、体にまつわる情報を読むときに役立ちます。当店がこの記事で、確かめたことと確かめていないことを分けて書いたのも、同じ理由です。気になる数字を見かけたら、まずは出どころの名前を探してみてください。
温活の合間にご利用いただくときの、当店の扱い
温活に関わる当店の扱いを、理由を添えて表にまとめます。
| 項目 | 当店の扱い | その理由 |
|---|---|---|
| 施術で体温が上がる、代謝が上がるという案内 | しません | 施術で体温や代謝が上がることを確かめた資料を、当店は持っていません |
| 免疫力が上がるという案内 | しません | 2017年の報道で、「1度で30パーセント」の裏付けとなる論文は見つからなかったと伝えられています |
| 冷えの原因が病気かどうかの判断 | しません | 病気を見分けられるのは医療機関です |
| 病気のサインがある方への施術 | 先に受診をお勧めします | 健康長寿ネットや厚生労働省の資料が、受診のきっかけになる症状を挙げています |
当店のメニューはタイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つで、日本人女性のセラピストが担当します。
タイ古式マッサージは服を着たまま受けていただき、脚の側から上半身へと順に触れていきます。
バリニーズアロマは、オイルを使って面で触れていく施術です。押される感覚が苦手な方に選ばれることもあります。
なお、当店の施術は治療を目的としたものではありません。冷えを治す場所ではなく、体を休めて、心地よさを感じていただく場所として使っていただければと考えています。
施術の前にお伝えいただきたいこと
冷えが気になる方は、どこが冷えやすいかを、施術の前のカウンセリングシートでお聞かせください。手先、足先、お腹など、場所によってお伝えいただけると助かります。
歩くと脚が痛む、足先がしびれる、といったサインがある場合は、ご予約の前に医療機関を受診してください。
受診されたあとにご予約いただくときは、医師から伝えられた診断名や注意点を、そのままお伝えいただけると助かります。
よくあるご質問
温活を続けた結果どうなる?
長く続けた結果を調べた研究は、当店が確認した資料の中には見つかりませんでした。1回の足湯を調べた研究では、体の中心の温度や代謝に、はっきりした変化は見られませんでした。
続けることで体質が変わるかは、今のところ分かっていないのが実情です。心地よさを目的に、無理のない範囲で続けていただくのがよいと考えています。
温活を考えるとき、内臓が冷えているサインはありますか?
当店が確認した資料の中に、内臓が冷えているサインを示したものはありませんでした。内臓がある体の中心の温度は、直腸や食道などで測るもので、手足の冷たさとは別に考えます。
お腹が冷えて落ち着かないときは、服で覆うなど、心地よい範囲で温めてください。腹痛や下痢が続く場合は、医療機関に相談してください。
温活で、体の中心の温度は上がりますか?
41度のお湯に、ひざ下まで30分つかった研究では、鼓膜の温度にはっきりした変化は見られませんでした。手足が温まった感覚と、体の中心の温度は別のものです。
ただし、この研究に参加したのは若い健康な男性9人だけです。女性や、冷えのある方で同じ結果になるかは分かっていません。
一方で、全身でつかるお風呂については、消費者庁が注意を呼びかけています。熱いお湯に長くつかると、体温が上がり、意識がぼんやりすることがあるそうです。お風呂では、上がるかどうかより、上がりすぎないことに気をつけてください。
温活を続けると、免疫力は上がりますか?
よく見かけるのは「体温が1度下がると免疫力が30パーセント下がる」という話です。2017年の報道で、裏付けとなる論文は見つからなかったと伝えられています。同じ報道で、体温と免疫の関係を人で調べた論文は無かったと、研究者が話していました。
当店でも、温めることで免疫力が上がるとはお伝えしていません。
温活を続けると、やせることはありますか?
足湯の研究では、体が使うエネルギーの量に、はっきりした変化は見られませんでした。温めることでやせる、と言える材料は、当店が確認した資料の中にはありませんでした。
温活のお風呂は、何度で何分がよいですか?
消費者庁は、入浴の目安として、お湯の温度は41度以下、つかる時間は10分までとしています。脱衣所や浴室を暖めておくこと、入浴前に水分をとること、部屋ごとの温度の差を温度計で確かめることも、あわせて挙げています。
温活のためでも、この目安を超えないようにしてください。
温活で湯たんぽやカイロを使うとき、気をつけることは?
低温やけどに気をつけてください。東京都が示す目安では、44度の物でも、3時間から4時間ふれ続けるとやけどになることがあります。
当てたまま眠らないこと、同じ場所に当て続けないことが大切です。東京都は、布団が温まったら湯たんぽは布団から出す、眠っている間はカイロを使わない、とも呼びかけています。
手足の冷えで、病院に行く目安はありますか?
歩くと脚が痛くなり少し休むと治まる、足先がいつも冷たくしびれる、という場合は、足の血管の病気のことがあります。寒がりに加えて、疲れやすい、まぶたが腫れる、体重が増えた、という場合は、甲状腺の病気のことがあります。
どれかに当てはまるときは、温活より先に医療機関を受診してください。温活を続けても手足が冷たいままで心配なときも、一度相談しておくと安心です。
温活の話題になる手足の冷えは、男性より女性に多いのですか?
厚生労働省の2025年の国民生活基礎調査を見てみます。「手足が冷える」を挙げた人は、人口1,000人あたり女性28.2人、男性14.4人でした。女性は男性の約2倍です。
年代別に見られる2022年の調査では、女性は20歳代の前半から、1,000人あたり15人ほどが挙げています。若いうちから、冷えを挙げる方が一定の数いることが分かります。
温活の足湯は、何度のお湯に何分つかればよいですか?
足湯の温度と時間について、国が示した目安は、当店が確認した資料の中にはありませんでした。この記事で紹介した研究では、41度のお湯に、ひざ下まで30分つかっています。
熱いと感じるお湯や、汗が止まらないほどの長さは避けて、心地よい範囲で楽しんでください。先ほど紹介したように、糖尿病のある方は、痛みを感じにくくなっていることがあります。お湯の温度は、足の感覚だけに頼らず、温度計で確かめてから足を入れてください。
温活のために、電気毛布をつけたまま眠ってもよいですか?
東京都は、電気毛布は眠る前に布団を温めておき、眠っている間は高い温度で使わないよう呼びかけています。電気毛布を長く使って、足の指8本が低温やけどになった事例も紹介されています。
使う前に、取扱説明書の使い方も確かめてください。
温活中の高齢の家族のお風呂で、気をつけることは?
消費者庁によると、2024年に浴槽で亡くなった方の約95パーセントは65歳以上でした。入浴の前に、ひと声かけてもらうようにしてください。
入浴の時間が長い、音が全くしない、突然大きな音がした。こうした異常に気づいたら、ためらわずに声をかけるよう、消費者庁は呼びかけています。
温活のために、体を温める食べ物はありますか?
食べ物で体温が上がるという話はよく見かけますが、当店が確かめられた研究はありませんでした。
温かい飲み物や食事でほっとする、という心地よさは、それだけで十分に意味があります。体温を上げる目的ではなく、心地よさのために取り入れてください。
温活を続けると、自律神経は整いますか?
温活で自律神経が整う、と書かれた記事は多くあります。ただ、当店が確認した資料の中に、それを確かめた研究は見つかりませんでした。
この記事で紹介した足湯の研究では、心拍数や血圧にも、はっきりした変化は見られませんでした。整うかどうかを言い切るには、材料が足りないのが今の状況です。
タイ古式マッサージは、冷えに効きますか?
冷えへの効果を確かめられる資料を、当店は持っていないため、効くとはお伝えしていません。
冷えが気になる方は、手先、足先、お腹など、どこが冷えやすいかを施術の前のカウンセリングシートでお聞かせください。歩くと脚が痛む、足先がしびれるといったサインがある方は、先に医療機関を受診してください。
まとめ
厚生労働省の2025年の調査では、手足の冷えを挙げた女性は、男性の約2倍でした。冷えは身近な悩みですが、温活の効果としてよく言われることのうち、確かめられているものは多くありません。41度の足湯に30分つかった研究では、体の中心の温度や代謝に、はっきりした変化は見られませんでした。
「体温が1度下がると免疫力が30パーセント下がる」という話もあります。2017年の報道では、裏付けとなる論文が見つからなかったと伝えられています。その表現を削除した会社もあります。
一方で、温め方には注意が要ります。44度の物でも、3時間から4時間ふれ続けると低温やけどになることがあります。お風呂は、41度以下・10分までが消費者庁の目安です。
歩くと脚が痛み、休むと治まる、足先がいつも冷たくしびれる、寒がりに加えて疲れやすさやまぶたの腫れ、体重の増加がある。こうしたときは、温活より先に医療機関を受診してください。
温活は、効果を期待しすぎず、心地よさと安全を目安にすれば、日々の暮らしの中で役立つものです。体を温めて、ほっとできる時間を持つこと自体に意味があると、当店は考えています。
寒い季節に、体を休めてほっとする時間を持ちたいときは、どうぞお気軽にお越しください。お待ちしております。
当店はタイ古式マッサージとバリニーズアロマを専門にしており、全店舗が完全個室です。担当するのは、研修施設で集中して学び、卒業試験に合格したセラピストです。温活の合間に、人目を気にせず過ごせる時間としてお使いください。
※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。歩くと脚が痛み、休むと治まる、足先がいつも冷たくしびれる、寒がりに加えて疲れやすさやまぶたの腫れ、体重の増加がある。こうしたときは、医療機関にご相談ください。

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