タイ古式マッサージ

坐骨神経痛とは何を指す言葉か。施術を受けていい状態と、先に受診していただきたい状態の分け方

お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先へと走るような痛みやしびれ。これを「坐骨神経痛」と呼ぶことは、すでに広く知られています。

 

当店にも「坐骨神経痛なのですが、受けられますか」というお問い合わせをいただきます。そのたびに、同じことをお尋ねしています。痛み以外に出ている症状はありますか、と。

 

理由は単純です。同じ「お尻から脚への痛み」でも、背景にある状態によって扱いが変わります。施術を受けていただける場合と、施術より先に医療機関へ行っていただきたい場合に分かれます。

 

この記事では、坐骨神経痛という言葉が何を指しているのかを整理したうえで、その分かれ目をできるだけはっきり書きます。治し方の記事ではありませんので、そこは先にお伝えしておきます。

 

数字や項目は、国の機関と学会のガイドラインが公表しているものを原典から引いています。どこまでが公表されたもので、どこからが当店の方針なのかも、そのつど書き分けます。

坐骨神経痛は、病名ではなく痛みの出方を指す言い方

まず、言葉の整理から始めます。

 

坐骨神経痛という言葉は、お尻から脚にかけて走る痛みやしびれの「出方」を指しています。原因そのものを指す言葉ではないため、同じ呼び名でも背景は人によって違います。

 

医療側の整理もそうなっています。腰の痛みを扱う解説では、脚への神経の症状をともなう腰痛は、原因となる状態ごとに分けて考えられています。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症といった名前が並ぶのは、そのためです。

 

つまり「坐骨神経痛です」という自己判断は、体温計を見て「発熱です」と言うのに近い状態です。熱があることは分かりますが、原因はまだ分かっていません。

 

この違いは、施術を受ける側にとって実務的な意味を持ちます。原因が分からないままだと、受けていい状態なのかを誰も判断できないからです。

当店は診断をしていません

当店のセラピストは、医療の資格で診断を行う立場にはありません。お体に触れて状態をお伺いすることはできますが、原因を特定する行為は行っておりません。

 

ですので、この記事の目的は「あなたの坐骨神経痛の原因を当てること」ではありません。お客様ご自身が、施術を受ける前に確かめておける材料をお渡しすることです。

 

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腰の痛みは、いちばん多く挙げられる自覚症状です

本題に入る前に、この話がどれくらいの方に関わるのかを置いておきます。

 

厚生労働省が3年ごとに大規模な調査を行っています。2025年、令和7年の国民生活基礎調査では、病気やけがなどで自覚症状のある人が、人口千人あたり255.7となっています。

 

症状別では、男女とも腰痛がいちばん多く挙げられています。坐骨神経痛と呼ばれる症状は、この腰痛の近くにあります。

 

多くの方が抱えている訴えだからこそ、ありふれたものとして扱われやすくなります。ありふれていることと、背景が軽いことは、別の話です。

施術の前に確かめていただきたい、公表されている9つの項目

腰の痛みを診るときに、医療側が最初に確かめる項目があります。腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)に、危険信号として9つ挙げられているものです。

 

この9項目は、腫瘍、炎症、骨折といった重い状態が隠れていないかを見分けるために置かれています。学会誌に抜粋が掲載されており、どなたでも読める形で公表されています。

 

原文の言い回しと、やさしい言い換えを並べます。

 

ガイドラインの項目 言い換えると
発症年齢が20歳未満、または55歳を超えている 痛みが出始めた年齢が、この範囲に当たる
時間や活動性に関係のない腰痛 動いても休んでも、時間帯を変えても痛みが変わらない
胸部痛 腰や脚のほかに、胸や背中の上のほうも痛む
がん、ステロイド治療、ヒト免疫不全ウイルス感染の既往 これらの治療歴や感染歴がある
栄養不良 食事がとれておらず、体力が落ちている
体重減少 心当たりがないのに体重が落ちた
広範囲に及ぶ神経症状 しびれや力の入りにくさが、広い範囲に出ている
構築性脊柱変形 背骨の曲がりが、姿勢を変えても戻らない
発熱 熱がある

 

 

この9項目は、当店が作ったものではありません。公表されている項目を、そのまま並べました。

 

ひとつでも当てはまる場合、当店では施術をお受けいただくより先に、整形外科などの受診をおすすめしています。これは当店の方針です。ガイドラインは医療者が診療で使うためのものですので、サロンの判断基準として書かれたものではありません。

 

ただ、9項目のうちいくつかは、ご自分で確かめられます。年齢、熱、体重の変化、治療歴。この4つだけでも、思い当たる方は少なくないはずです。

痛み止めが効かないときも、同じ扱いにしています

炎症をおさえる薬が効かない場合について、学会誌の解説では、体重の減少や発熱と合わせて、ほかの状態も考えるとされています。

 

当店でも「薬を飲んでいるのに変わらない」というお申し出があったときは、いったん施術をお控えいただくようお願いしています。薬で変わらないものが手技で変わるという根拠を、当店は持っていません。

その日のうちに受診していただきたいサイン

9項目とは別に、急いでいただきたい状態があります。ここは、はっきり書きます。

 

腰の病気で手術が検討される状況として、学会誌の解説は次のものを挙げています。排尿の障害、排便の機能の問題、お尻のまわりの灼けるような感じ。そして脚の筋力の低下や筋肉の細りです。

 

言い換えると、こうなります。

 

気づきやすい形 どうしていただきたいか
尿が出にくい、尿意が分からない、もれる 当日のうちに医療機関へ
排便の感覚が変わった 当日のうちに医療機関へ
お尻のまわりに灼ける感じがする 当日のうちに医療機関へ
足首が持ち上がらない、スリッパが脱げる 当日のうちに医療機関へ
片脚が細くなってきた 当日のうちに医療機関へ

 

 

先に申し添えると、当日のうちという線は当店が決めたものです。原典は、この状態では手術が検討されると書いています。緊急度の表現は当店の判断です。

 

この表に当たる状態で、当店が施術をお受けすることはありません。お問い合わせの時点で分かった場合は、その場でお断りして受診をおすすめしています。

 

お断りするのは心苦しいのですが、ここを曖昧にすると、受診が遅れます。遅れた時間を取り戻す方法は、当店にはありません。

分かれ目を、知っておいてください

痛みやしびれだけの場合と、力が入らない、感覚が鈍い、排尿や排便が変わった場合。この2つは、同じ坐骨神経痛という呼び名の中で、まったく扱いが違います。

 

日常の変化で気づけることもあります。階段で足が引っかかる、スリッパが脱げる、片脚だけ踏ん張りが効かない。こうした変化は、痛み以外の情報です。

 

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原因として挙がる状態は、年齢と出方で傾向が違う

坐骨神経痛と呼ばれる症状の背景として、よく挙がる状態が2つあります。腰椎椎間板ヘルニアと、腰部脊柱管狭窄症です。

 

学会誌の解説では、この2つの傾向が簡潔に書かれています。椎間板ヘルニアは比較的若い方に多く、片側の脚に痛みが出る。脊柱管狭窄症は比較的高齢の方に多く、両側に出る。

 

項目 腰椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症
年齢の傾向 比較的若い方に多い 比較的高齢の方に多い
脚の症状の出方 片側に出ることが多い 両側に出ることが多い
経過について公表されていること 数か月の保存療法で、自然に小さくなることが多い 11年の経過を追った国内の報告で、6割以上が保存療法(医療機関で行う治療と運動)で軽くなった

 

 

この表の3行目は、受け取り方に注意が必要です。「放っておけばよい」という意味ではありません。どちらも、まず手術以外の方法を試すことが基本とされている、という話です。

 

脊柱管狭窄症については、最低3か月はそうした方法を試すことが推奨されると書かれています。歩く訓練などの運動がその中に含まれ、運動を行うと一部の方は手術を避けられたという報告も紹介されています。

当店の施術は、ここに含まれていません

大事なところなので、先に書きます。右の列に挙げた「手術以外の方法」は、医療機関で行われる治療と運動指導のことです。タイ古式マッサージやバリニーズアロマが、そこに含まれているわけではありません。

 

「6割以上が手術なしで軽くなるのだから、マッサージで様子を見よう」という読み方は、当店としてはおすすめしません。経過を見るのは、医療機関の役目です。

歩き方に出る特徴は、ご自分で気づけることがあります

脊柱管狭窄症の歩き方には、特徴があるとされています。しばらく歩くと脚が痛んだりしびれたりして歩けなくなり、前かがみで休むとまた歩けるようになる、という形です。

 

学会誌の解説には、脚の血管の病気と見分けるための手がかりも書かれています。腰の神経によるものの場合、自転車には乗れる、休憩の時間が短くてすむ、という特徴が挙げられています。腰を曲げて休むと楽になる、買い物カートを使うと楽、という点も挙げられています。

 

ここは次の節でもう一度扱います。脚の血管の問題は、手技でどうにかする話ではないからです。

坐骨神経痛と間違えやすい状態

 

「坐骨神経痛だと思っていたら違った」というお話を、お客様から伺うことがあります。気にされている方は少なくないようです。

 

学会誌の解説には、見分けが必要なものとして帯状疱疹、変形性股関節症、変形性膝関節症が挙げられています。脚の血管の病気との見分けも必須とされています。ただし原典に書かれているのは、見分けが重要だという一文と、血管の場合の手がかりだけです。

 

状態 紛れやすい理由 見分けの手がかり
帯状疱疹 神経に沿って痛みが出る 医療機関での見分けが必要です
股関節の変形 お尻や太ももの付け根が痛む 医療機関での見分けが必要です
膝関節の変形 膝の周囲から下へ痛みが広がる 医療機関での見分けが必要です
脚の血管の問題 歩くと脚が痛くなって休む、という形が似ている 腰の神経によるものは、自転車に乗れる、腰を曲げて休むと楽、休憩が短くてすむ(学会誌の解説に記載)

 

 

右の列のうち、原典に手がかりが書かれているのは血管の行だけです。ほかの3つは、医療機関での見分けが必要です。「坐骨神経痛という一言の中に、別の状態が混ざりうる」と知っていただくために載せました。

脚の血管の問題だけは、特に分けて書きます

歩いていると脚が痛み、立ち止まると楽になり、また歩ける。この形は、腰の神経が原因の場合にも、脚の血管が狭くなっている場合にも起こります。

 

見分けの手がかりとして、足の甲や内くるぶしの後ろで脈に触れることが必須とされています。これは医療機関で行われることです。

 

当店としてお伝えしたいのは、ここで手技を選ぶ理由が見つからないということです。血管の問題であれば、揉んでも押しても状況は変わりません。むしろ受診が遅れます。

 

歩くと脚が痛くなって休む、という形に心当たりがある方は、施術のご予約より先に受診をお願いしています。

「腰の痛みは原因が画像に出ないことが多い」という話の読み方

腰の痛みについて、よく引かれる数字があります。画像で異常が見つからないものが8割以上だという話です。

 

学会誌の解説にも、その数字が出てきます。画像で異常がないのに痛みがあるものが全体の85パーセントを占めるとされている、と書かれています。

 

ただし、同じ文のすぐあとに、こう続きます。最近では40パーセント程度との見解もある、と。

 

ここが大事です。85という数字だけを切り取ると「ほとんどの腰痛は原因不明だから、気にせずマッサージを受けていい」と読めてしまいます。原典には、その読み方を支える書き方がされていません。

 

当店が記事に数字を出すときは、こうした幅も一緒に出すようにしています。都合のよい側だけを選ぶと、読んだ方の判断が狂います。

そして、この数字は坐骨神経痛の話ではありません

もうひとつ、押さえておきたい点があります。85パーセントという数字は、腰の痛み全体についての話です。脚に神経の症状が出ているものは、別の区分として扱われています。

 

お尻から脚への痛みやしびれがある場合は、「原因が画像に出ないことが多い」という一般論の外にいる可能性があります。そこを混ぜずに考えていただきたいところです。

手技による施術で、実際に何が起きているか

ここからは、当店の側の話をします。読んで気持ちのよい内容ではありませんが、避けずに書きます。

 

国の機関が、手技による施術について注意喚起を出しています。2017年5月26日に消費者庁が公表した「法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に」というものです。

 

当店のようなリラクゼーションサロンの施術も、この注意喚起が対象としている手技に含まれます(注意喚起での分類名は「リラクゼーションマッサージ」です)。含まれる側として、数字をそのまま出します。

 

公表されている内容は、こうです。2009年9月1日から2017年3月末までに登録された、生命や身体への危害の情報が1,483件。この件数には、事実関係や因果関係が確認されていない事例も含まれると注記されています。そのうち治療期間が1か月以上となる事故が240件で、全体の約16パーセントを占めています。

 

症状の内訳も公表されています。

 

症状 件数 全体に占める割合
神経や脊髄の損傷 290件 約20パーセント
擦過傷、挫傷、打撲傷 229件 約15パーセント
骨折 122件 約8パーセント
筋や腱の損傷 110件 約7パーセント
皮膚障害 66件 公表資料に割合の記載なし
脱臼、捻挫 39件 公表資料に割合の記載なし
その他、不明 627件 約42パーセント

 

 

いちばん多いのが神経や脊髄の損傷である、という事実は重いものです。そして坐骨神経痛は、まさに神経の症状として現れます。

 

原因が分からないまま強い刺激を加えることを、当店が避けている理由はここにあります。

性別と年齢についても公表されています

1,483件のうち、女性が1,173件、男性が291件、不明が19件です。女性が約8割を占めます。

 

年齢では、30代から50代の件数が多くなっています。一方で、治療期間が1か月以上となる事故は、60代以上で発生する比率が高いと書かれています。

 

件数が多い年代と、重くなりやすい年代が別である、という読み方になります。どちらかだけを見ると、見落としが出ます。

当店のような施術に当たる分類の件数も、隠さずに出します

同じ注意喚起には、手技の内容別の件数も載っています。消費者からの申し出にもとづいて分類されたものです。公表されているのは、治療期間が1か月以上のものと、それ以外に分けた件数です。合計の列は、当店が足しました。

 

手技の内容 件数の合計 うち治療期間が1か月以上
整体 467件 80件
リラクゼーションマッサージ 251件 36件
カイロプラクティック 221件 45件
リンパ、オイル、アロマのマッサージ 90件 14件
骨盤や小顔の矯正 72件 3件
リフレクソロジーなど足の施術 59件 2件
その他、不明 323件 60件

 

 

当店のようなリラクゼーションサロンの施術とアロマのトリートメントは、注意喚起の分類では、表の2行目「リラクゼーションマッサージ」と4行目「リンパ、オイル、アロマのマッサージ」に当たります。この2つの分類を合わせると341件、うち治療期間が1か月以上が50件です。

 

公表資料には、整体とカイロプラクティックで治療期間が1か月以上となる事故の割合が高くなっている、と書かれています。当店のようなリラクゼーションサロンの施術が当たる2つの分類(注意喚起での分類名は「リラクゼーションマッサージ」と「リンパ、オイル、アロマのマッサージ」)は、件数から計算すると、整体やカイロプラクティックより割合が低いという読み方になります。

 

ただ、低いことを安心の理由にはしていません。50件は、1か月以上の治療を要したという申し出が50件あったという意味です。

 

当店が骨を鳴らすことを目的とした急な操作を行わないのは、この数字を踏まえた方針です。

 

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「好転反応」と言われたときの対応

注意喚起には、具体的な事故の事例も載っています。そのうちのひとつを取り上げます。

 

腰痛で整体に行き、かえって痛みが強くなった。施術者に伝えたところ、好転反応なのでしばらく続けるように言われた。信じて続けた結果、骨盤の痛みがさらにひどくなった、という事例です。

 

消費者庁は、この点について呼びかけを出しています。異常を感じたときに「好転反応」などと言われてそのままにしたり、続けて施術を受けたりすると、症状が悪化する場合がある、と。そして、施術をいったん中止して医師に相談するよう書かれています。

 

当店は、好転反応という言葉を説明に使っておりません。施術のあとに強い痛みや、しびれ、力の入りにくさが出た場合は、次のご予約よりも先に受診をおすすめします。

施術中に痛いと感じたら、その場でおっしゃってください

事例には、痛いと伝えたのに続けられたというものもあります。首をひねられて痛みを申し出たが、痛い方が効き目があると言われて続けられ、翌日から強い痛みが出たという内容です。

 

当店では、痛みや違和感をお申し出いただいた時点で、圧を変えるか、その部位を外します。我慢していただく理由がないからです。

 

「痛いほうが効く」という考え方を、当店は採っておりません。強い圧をかけずに奥まで届ける考え方については、別の記事で書いています。

 

あわせて読みたい:【腰痛 タイ古式】なぜ 「腸腰筋(お腹の奥の筋肉)」 が鍵なのか? 「痛くない」 のに奥まで届くケアの秘密

国の通知で定められていること

手技による施術については、国の通知があります。1991年6月28日の医事第58号、厚生省(現・厚生労働省)が出した通知です。

 

消費者庁の注意喚起の中で、その内容が紹介されています。あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復以外の手技について書かれています。医学的な観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば、禁止や処罰の対象にするとされています。

 

さらに、いわゆるカイロプラクティック療法については、3つの取り扱いが定められています。禁忌対象疾患の認識、一部の危険な手技の禁止、適切な医療受療の遅延防止です。当店はカイロプラクティックを行っておりませんが、同じ扱いを自店にも当てています。

 

カイロプラクティックについて定められていること 当店が自店にも当てていること
禁忌対象疾患の認識 お持ちの疾患をカウンセリングシートで伺い、該当する場合は部位を外すか施術をお控えいただく
一部の危険な手技の禁止 骨を鳴らすことを目的とした急な操作を行わない
適切な医療受療の遅延防止 受診をおすすめする状態をあらかじめ決め、該当する場合はお断りする

 

 

3つ目が、この記事そのものです。受診を遅らせないことは、国の通知が掲げた事項のひとつでもあります。

 

サロンとして集客を考えるなら、受診をおすすめする記事は書かないほうが得なのだと思います。それでも書いているのは、ここが守るべき線だからです。

坐骨神経痛と呼ばれる状態で、やらないほうがよいこと

当店でよくいただくご質問のひとつが、やってはいけないことは何かという問いです。はっきり答えている情報は、意外と少ないようです。

 

施術する側から書ける範囲で、整理します。根拠の種類も一緒に並べます。公表された資料にもとづくものと、当店の方針にすぎないものを、混ぜないためです。

 

やらないほうがよいこと 理由 根拠の種類
原因を確かめないまま、強い刺激を加える 手技による事故で、いちばん多い症状が神経や脊髄の損傷である 消費者庁の公表資料
痛いと感じたまま施術を続けてもらう 痛みを申し出たのに続けられ、翌日から強い痛みが出た事例が公表されている 消費者庁の公表資料
「好転反応」と言われて通い続ける そのままにしたり続けたりすると症状が悪化する場合がある、と呼びかけられている 消費者庁の公表資料
薬が効かないのに様子を見る 炎症をおさえる薬が効かない場合は、ほかの状態も考えるとされている 学会誌に載った解説
受診を後回しにして施術を重ねる 適切な医療受療の遅延防止が、国の通知で求められている 厚生省(現・厚生労働省)の通知
痛みが出ている部位を、ご自分で強く伸ばす 強く伸ばして楽になる根拠を当店が持っていない 当店の方針

 

 

いちばん下の行だけ、根拠の種類が違います。痛みのあるお尻や脚を自分で強く伸ばすことについて、やめたほうがよいと断定できる材料を、当店は持っておりません。

 

ただ、強く伸ばして痛みが増した経験をお話しくださる方はおられます。判断がつかないあいだは、痛みの出ない範囲にとどめていただくようお願いしています。

 

もうひとつ、安静について原典が書いていることを添えます。安静は必ずしも有効な治療法とは言えない、と書かれています。急な腰の痛みでも、長く続く腰の痛みでも、活動の程度を保つほうが、寝て過ごすより機能を回復させるとされています。

 

不必要な安静は、血管に血のかたまりができる危険を上げるとも書かれています。ですので「痛いあいだは動かない」という過ごし方は、おすすめできる形から外れます。どのくらい動いてよいかは、受診のときに確かめていただくのが確実です。

施術を受ける前に、伝えていただきたいこと

消費者庁の注意喚起には、施術を受ける側への呼びかけが5つ並んでいます。原典の内容を、当店の形に当てはめて整理します。

 

公表されている呼びかけ 当店でのお願い
疾病がある方は施術を受ける前に医師に相談する 通院中の方は、施術を受けてよいかを主治医に確認してからご予約ください
情報を見極めて施術や施術者を慎重に選ぶ 当店が何をして、何をしないかを記事に書いています。読んでからお決めください
施術者に自分の体調や希望をしっかり伝える 痛みの出ている場所、強さ、いつからかをお聞かせください
施術後に異常を感じたら施設に伝え、早く医師に相談する その日のうちにご連絡いただければ、記録に残して対応します
解決が困難な場合は消費生活センター等に相談する 相談先を隠す理由がありませんので、そのままお伝えします

 

 

注意喚起の中では、疾患の例として心疾患、けい椎脊索狭さく症、骨粗しょう症が挙げられています。これらは、症状によっては施術で状態が悪くなる場合があるとされています。

 

骨粗しょう症については、お申し出がなくても確認させていただいています。公表されている事故のうち、骨折は122件です。その内訳は公表されていませんので、骨粗しょう症が何件かは分かりません。確認させていただく理由は、分からないことのほうにあります。

お伝えいただくことで、できる調整があります

統計と、お願いの理由は分けて書きます。1,483件のうち何件が事前のお申し出で防げたのかは、公表されていません。

 

当店がお願いしている理由は、別のところにあります。伺っていれば、その部位を外す、圧を弱める、別のメニューをご案内する、といった調整ができるからです。伺っていなければ、調整の判断ができません。

妊娠中にお尻から脚が痛むとき

妊娠中に、お尻から脚への痛みが出ることがあります。体の重心が変わり、腰や骨盤のまわりの負担が変わる時期だからです。

 

この場合は、産婦人科の主治医にご相談ください。当店では、妊娠中の方の施術はお受けしておりません。

受けていただける状態と判断できたとき、当店でしていること

ここまで、お断りする話が続きました。では、確かめた結果として受けていただける場合に、当店が何をしているのかを書きます。

 

お尻から脚への痛みがあって、受診の結果として重い状態ではないと分かっている方。あるいは痛みではなく、長く座ったあとのお尻や太ももの張りとして感じている方。こうした方には、お体を緩める時間としてご利用いただいています。

していること

タイ古式マッサージは、服を着たまま、受け手が脱力した状態で受ける形をとります。お尻から太ももの裏側は、ご自分で伸ばそうとすると支える側に力が入り、緩みきらない場所です。他の人に委ねることで、力を抜いたまま伸ばしてもらえます。

 

股関節のまわりをゆっくり動かす手順も入ります。勢いはつけません。動く範囲の中で、ゆっくり広げていきます。

 

バリニーズアロマをお選びの場合は、オイルを使って脚の表面から順に触れていきます。強い圧ではなく、面で触れる形になります。

していないこと

骨を鳴らすことを目的とした急な操作は行いません。痛みが出ている部位に強い圧をかけることも避けています。

 

そして、原因を特定することと、症状を治すことを目的にしておりません。当店の施術はリラクゼーションを目的としたものです。

 

「坐骨神経痛が改善します」という言い方を、当店はしていません。そう言える根拠を持っていないからです。

ご自分でできること

ここからは、原典にもとづく話ではなく、当店がお伝えしている工夫です。施術と施術のあいだを埋めるのは、日々の小さな積み重ねになります。長く座り続けないこと、30分から1時間に一度は立ち上がること。坐骨の下に体重が乗り続ける時間を短くすることです。

 

温めて楽になるなら温めていただいてかまいません。冷やして楽なら冷やしてください。どちらが正しいかよりも、ご自分が楽なほうを選んでいただく形で十分です。

 

痛みが強くなる動作が分かっているなら、その動作を避けてください。前かがみで痛むのか、反らすと痛むのか。ご自分の傾向を把握しておくと、受診のときにも役に立ちます。

 

あわせて読みたい:【腰が重い・だるい方へ】強く揉まなくても奥まで届く!痛くないタイ古式マッサージの秘密

よくあるご質問

坐骨神経痛と言われていますが、マッサージは受けられますか?

痛みやしびれだけの場合でも、続いているなら受診をおすすめしています。受診の結果を伺えていれば、お受けできることが多いです。ご予約の前にお問い合わせいただければ助かります。

坐骨神経痛かもしれませんが、病院に行かずにマッサージを受けてよいですか?

痛みやしびれが続いている場合は、受診をおすすめしています。原因が分からないままだと、当店としても施術の判断ができないからです。

坐骨神経痛は、整体で骨を鳴らしてもらったほうが早く楽になりますか?

公表されている事故情報では、整体とカイロプラクティックで治療期間が1か月以上となる事故の割合が高くなっています。早いかどうかについて、当店が比べられる材料は持っておりません。当店は、骨を鳴らすことを目的とした急な操作は行いません。

坐骨神経痛があるとき、マッサージの強さは選べますか?

お選びいただけます。痛みが出ている時期は、弱めをおすすめしています。施術中に痛みを感じたら、その場でおっしゃってください。圧を変えるか、その部位を外します。

坐骨神経痛があるとき、どのくらいの間隔でマッサージに通えばよいですか?

決まった間隔はありません。デスクワークが続く時期に合わせてご利用される方が多いです。回数を重ねることをおすすめする根拠を、当店は持っておりません。

マッサージの翌日に腰や脚の痛みが強くなったときは、どうすればよいですか?

当店へご連絡いただいたうえで、医療機関にご相談ください。好転反応という説明はいたしません。消費者庁も、異常を感じた場合は施術をいったん中止して医師に相談するよう呼びかけています。

まとめ

坐骨神経痛という言葉は、お尻から脚への痛みやしびれの出方を指す言い方です。原因となる状態は別にあり、人によって違います。

 

腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)には、危険信号として9項目が挙げられています。発症年齢、時間や活動性に関係のない痛み、胸の痛み、治療歴、栄養不良、体重減少、広範囲の神経症状、背骨の変形、発熱です。ひとつでも当たる場合、当店では受診を先にお願いしています。

 

排尿や排便の変化、お尻のまわりの灼ける感じ、脚の力の低下がある場合は、その日のうちに医療機関へ行ってください。この状態で当店が施術をお受けすることはありません。

 

歩くと脚が痛んで休む形は、腰の神経が原因の場合と、脚の血管が原因の場合の両方で起こります。血管の問題であれば、手技で状況は変わりません。

 

手技による施術の事故情報は、2009年9月から2017年3月末までに1,483件が公表されています。いちばん多い症状は神経や脊髄の損傷で290件です。当店のような施術に当たる2つの分類(注意喚起での分類名は「リラクゼーションマッサージ」と「リンパ、オイル、アロマのマッサージ」)でも、合わせて341件、うち1か月以上の治療を要したものが50件あります。

 

この数字を出すのは、当店が安全だと主張するためではありません。確かめるべきことを確かめてからお越しいただきたい、というお願いのためです。

 

確かめた結果として受けていただける状態であれば、当店ができることはあります。お尻から太ももの裏を、力を抜いた状態にしておく時間をつくることです。ご自分で支えながら伸ばすと、支える側に力が入り続けます。

 

長く座る日が続いて、お尻や脚の張りが当たり前になっているなら、一度そこから離れる時間を取ってみてください。

 

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※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。お尻や脚の痛みやしびれが続く場合は、整形外科などの医療機関にご相談ください。脚の力が入りにくい場合、排尿や排便に変化がある場合も同じです。

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