タイ古式マッサージ

更年期のだるさはどこから来るのか。女性と男性それぞれの仕組みと、体をゆるめるという選択肢

朝、目が覚めているのに体が起き上がらない。夜は眠ったはずなのに、疲れが残っている。仕事の量は去年と変わらないのに、夕方には何もする気が起きない。

 

こういうお話を、40代後半から50代のお客様から伺うことが増えました。皆さん決まって「更年期でしょうか」とおっしゃいます。そして同じくらいの頻度で、「でも病院に行くほどでもない気がして」と続きます。

 

この記事は、その「行くほどでもない気がする」という感覚のところから書いています。だるさが起きている仕組みを、女性と男性それぞれについて追いかけます。男性の更年期は、女性とは違う形で進むため、気づきにくい特徴があります。そのうえで、体をゆるめることが何をしているのかを、研究データをもとに説明します。

 

先にお断りしておきます。ラダシアはリラクゼーションのサロンであり、医療機関ではありません。更年期の症状を治療することはできません。この記事も、治療の代わりを勧めるものではありません。むしろ、医療機関に行くべき状態を先にお伝えします。そのうえで、受診と並行してできることの1つとして読んでいただければと思います。

「だるい」という言葉が、いくつのことを指しているか

本題に入る前に、言葉を分けておきます。だるさへの対処が定まらない理由の一部は、この言葉が複数の状態をまとめて指していることにあります。

 

お客様に「だるい」とおっしゃっていただいたとき、少し掘り下げて伺うと、中身が分かれていきます。

 

「だるい」の中身 実際の感覚 手を打てる場所
眠気が抜けない 頭がはっきりしない。日中も眠い 睡眠の量と質。整えても戻らなければ睡眠外来へ
体が重い 起き上がる、階段を上がるのがおっくう 筋肉の張りと血流
気力が出ない やるべきことは分かっているのに始められない ホルモンの状態。医療機関の領域
力が入らない 握力が落ちた、荷物が重く感じる 受診して原因を確かめる
何もしていないのに疲れる 座っているだけで消耗する 緊張が抜けていない状態

 

ご自身のだるさが、この表のどれに近いかを考えてみてください。複数に当てはまることもあります。

 

分けておく意味は、対処の入口が変わることにあります。眠気が抜けないのであれば、まず睡眠の条件を整えます。気力が出ない、力が入らないのであれば、医療機関で確かめるほうが先です。体が重い、何もしていないのに疲れる、という感覚が中心であれば、緊張を解く方向に手を打つ余地があります。

 

「だるい」とだけ言っている間は、どこから手をつけるかが決まりません。逆に、中身が分かれば、順番がつきます。

 

この記事では、5つのうち「体が重い」と「何もしていないのに疲れる」を中心に扱います。残りの3つについても、どこへ相談すればよいかは書いておきます。全部を1か所で解決しようとしないことが、この時期には特に大切だと考えているためです。

更年期とは、いつからいつまでを指すのか

言葉の定義から確認します。ここが曖昧なまま自分に当てはめると、時期の見通しが立たなくなるからです。

 

女性の更年期には、医学的にはっきりした定義があります。基点になるのは閉経です。最後の月経から12か月以上、月経がない状態が続いたことを確認したうえで、1年前を振り返って閉経の時期を判断します。

 

この閉経を挟んで、前後5年ずつ、合計10年間が更年期です。日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後とされているため、おおむね45歳から55歳の10年間が該当します。

閉経の時期には、大きな個人差がある

ただし、この年齢はあくまで平均です。卵巣のなかにある卵胞の減り方には、大きな個人差があります。40代前半で閉経を迎える方もいれば、50代半ばから後半という方もいらっしゃいます。

 

「まだ45歳だから更年期ではないはず」という当てはめ方が、かえって自分の状態を見えにくくすることがあります。年齢よりも、体に起きていることを手がかりにするほうが確かです。

男性にも更年期がある。しかも、始まりが分からない

ここからが、この記事で最もお伝えしたい部分です。

 

男性にも更年期があります。正式には加齢男性性腺機能低下症候群と呼ばれます。専門の学会が2022年に診療の手引きを出しています。そこでは「加齢あるいはストレスに伴うテストステロンの低下による症候群」と定義されています。

 

更年期という言葉から、女性を思い浮かべる方がほとんどです。ただ、男性の側にも同じように、ホルモンの変化にともなう不調の時期があります。

女性との決定的な違いは、区切りがないこと

女性の更年期には閉経という明確な基点があります。前後5年という区切りもあります。つらい時期がいつ始まり、いつ終わるのかを、おおよそ見通すことができます。

 

男性の場合、この基点にあたるものが欠けています。テストステロンは20代をピークに、そこから緩やかに下がり続けます。ある日を境に急に落ちるのではなく、少しずつ減っていきます。だから、どこからが更年期なのかを線で区切れません。

 

女性の更年期 男性の更年期
基点 閉経という明確な出来事がある 明確な基点がない
ホルモンの変化 数年で大きく落ちる 20代から緩やかに下がり続ける
時期 おおむね45歳から55歳の10年間 発症の年齢に大きな幅がある
見通し いつ終わるかの目安が立てやすい 始まりも終わりも分かりにくく、長期化しやすい
周囲の認知 言葉として広く知られている 本人も周囲も思い当たりにくい

 

この違いは、実際の困りごとに直結します。女性であれば「更年期かもしれない」という言葉にたどり着けます。男性の場合、同じ不調が起きていても、その言葉が浮かびません。かわりに出てくるのは「疲れが取れないのは歳のせい」「やる気が出ないのは自分が怠けているから」という説明です。

 

体の変化を、性格の問題として引き受けてしまう。ここが、男性の更年期でいちばん起きやすいことだと考えています。

あらわれ方は3つの領域に分かれる

男性の更年期の症状を測るために、質問票が使われています。この指標は、症状を3つの領域に分けて捉えます。

 

  • 体にあらわれるものとして、全身の倦怠感、疲労感、筋力の低下、内臓脂肪の蓄積、発汗やほてり、睡眠の乱れ
  • 心にあらわれるものとして、無気力、意欲の低下、気分の落ち込み、いらだち、不安、集中力の低下
  • 性機能にあらわれるもの。この領域については泌尿器科で相談できます

 

この並びを見て、思い当たる項目があった方もいらっしゃるかもしれません。特に上の2つは、働き盛りの疲れやストレスの症状とほとんど見分けがつきません。だからこそ、別の理由で説明されてしまいます。

 

なお、男性の更年期の診断には血液検査が用いられますが、その基準値をここに書くことはしません。数値の判断は医療機関が行うものであり、私たちが提示すべきものではないからです。気になる場合は、泌尿器科で相談できます。

意欲が落ちるのは、気持ちの問題ではない

テストステロンには、筋肉や骨を保つ働きのほかに、脳への作用があります。意欲や活力を生み出す神経の伝達物質の系統に働きかけていることが知られています。

 

つまり、テストステロンが下がると、意欲そのものが出にくくなります。気力で乗り切る、という対処が効きにくい領域です。

 

「気合いが足りない」という言葉で自分を追い込んでいる方に、この仕組みだけはお伝えしたいと思っています。出にくくなっているものを、出そうと力むほど消耗します。

だるさが生まれるまでの道すじ

「だるい」という感覚は、ひとつの原因から生まれているわけではありません。いくつかの経路が重なって、朝起き上がれない状態を作っています。順番に見ていきます。

ほてりと発汗が起きる仕組みは、解明されている

更年期の症状として知られるほてりやのぼせは、体温調節の仕組みに変化が起きることで生じます。この経路は、かなり詳しく分かっています。

 

脳の視床下部という場所に、体温を調節する中枢があります。その近くに、特定の神経細胞の集まりがあり、女性ホルモンによって働きを抑えられています。ホルモンが減ると、この抑えが外れます。すると神経細胞が過剰に信号を出し、体温調節の中枢が誤って作動します。

 

実際には体温が上がっていないのに、体は「熱がこもっている」と判断します。そこで熱を逃がそうとして、皮膚の血管を広げ、汗を出します。これがほてりと発汗の正体です。

 

このとき、交感神経が強く働いています。体は緊張した状態に入ります。日中に何度もこれが起きれば、それだけで消耗します。

夜のほてりが、眠りを削っている

ほてりは日中だけに起きるわけではありません。夜間や睡眠中にも起こります。汗で目が覚める、暑さで寝つけない。こうしたことが重なると、眠りは細切れになります。

 

ここで日本人全体の睡眠状況を見ておきます。厚生労働省が実施している国民健康・栄養調査に、令和5年の結果が出ています。1日の睡眠時間が6時間未満の人の割合は、男性で38.5%、女性で43.6%でした。男性では30代から50代、女性では40代から60代で、4割を超えています。

 

更年期にあたる年代は、もともと睡眠が削られている年代でもあります。そこにほてりや中途覚醒が加わります。この調査が示しているのは日本人全体の睡眠時間であって、更年期のだるさの原因を示したものではありません。ただ、睡眠が削られている年代に、夜間のほてりが重なる構図はあります。翌日のだるさの一部が、この経路を通っている可能性は考えておく価値があります。

眠れないから緊張し、緊張するから眠れない

もうひとつ、抜けにくい循環があります。

 

ほてりや動悸で交感神経が優位になると、体は休息のモードに入りにくくなります。すると眠りが浅くなります。睡眠が足りないと、自律神経のバランスはさらに乱れます。乱れると、ほてりや不安が出やすくなります。

 

この循環に入ると、「疲れているのに眠れない」という状態が続きます。だるさが抜けない原因の多くは、ここにあります。

 

そして、この循環に対しては、休もうと意識するだけでは効きません。緊張を解こうと意識すること自体が、ひとつの努力だからです。外側から働きかけて、体が勝手にゆるむ状態を作るほうが、近道になることがあります。

7割の人が、様子を見ている

ここで、受診の実態を確認しておきます。

 

ツムラが2022年に「なんとなく不調に関する実態調査」を行っています。回答者の75.6%が「なんとなく不調」を感じていました。一方で、その不調に対して医療機関を受診すると答えたのは35.7%にとどまりました。不調を自覚していても、その3分の1ほどしか受診に至っていないことになります。

 

40代から60代を対象にした医療法人社団ときわ会の調査でも、近い傾向が出ています。不調を感じたときの行動として「1〜2週間様子を見る」と答えた方が44.4%、「ほとんど受診しない」が22.2%でした。合わせておよそ7割が様子見を選んでいます。

 

受診を妨げているもの(ときわ会調査・40〜60代) 割合
待ち時間が長い 34.5%
忙しくて時間がない 27.4%
症状が軽いと思う 26.5%

 

このときわ会の調査では、受診を決断する理由としておよそ7割の方が「痛みや症状が強くなった時」を挙げていました。つまり、多くの方が「もっとつらくなってから」を基準にしています。

 

この数字を出したのは、様子見を責めるためではありません。逆です。7割が同じ行動を取っているなら、それは個人の怠慢ではなく、受診しにくい事情のほうに原因があります。待ち時間と、時間のなさと、「この程度で行っていいのか」というためらい。この3つが、実際に足を止めています。

先に書きます。この状態のときは、医療機関へ

リラクゼーションの前に、受診をお願いしたい状態があります。ここを先に書いておきます。

 

  • 不正な出血がある
  • 強い動悸や息切れ、胸の痛みがある
  • 気分の落ち込みが強く、日常の生活に支障が出ている
  • 眠れない状態が数週間以上続いている
  • 急に体重が変わった
  • 強い頭痛やめまいが繰り返し起きる

 

これらは、更年期以外の病気が隠れている可能性を考えるべき症状です。女性であれば婦人科、男性であれば泌尿器科が窓口になります。内科でも相談できます。

 

症状の程度を測る問診票がいくつか存在し、何点以上なら受診を、という目安が紹介されていることがあります。ただ、その点数をここに書くことはしません。点数で自分を判定して安心してしまうと、受診の機会が遠のくことがあるためです。判断は医療機関に委ねてください。

 

あわせてお伝えします。ラダシアの施術は、リラクゼーションを目的としたものです。更年期の症状を治療するものではなく、ホルモンの状態を変えるものでもありません。整骨院や鍼灸院とは異なり、私たちは国家資格にもとづく施術を行う立場にはありません。この線引きは、はっきりさせておきたいと思っています。

触れられているとき、体の中では何が起きているのか

そのうえで、体をゆるめることに何ができるのかをお話しします。

皮膚には、心地よさを伝えるための神経がある

人の皮膚には、痛みや温度を伝える神経とは別に、心地よさを伝えるための神経が存在します。ゆっくり触れられたときにだけ働く、専用の線維です。

 

この神経には、はっきりした特徴があります。強い刺激や速い動きには反応しません。ゆっくりとした、なでるような動きに最もよく反応します。そして、人の皮膚とほぼ同じくらいの温度に反応が強くなります。

 

この神経が受け取った信号は、感覚を処理する場所ではなく、情動に関わる脳の領域へ直接届きます。だから「触られた」ではなく「心地よい」「安心する」という感覚として認識されます。

 

さらにこの経路は、ストレス応答を抑える方向に働き、迷走神経を介して体を休息のモードへ切り替えると報告されています。人に触れられると力が抜けることには、こうした神経の仕組みが関わっていると考えられています。

 

手のぬくもりで安心する、という表現があります。ぬくもりという言葉が使われてきたのは、実際に温度が関係していたからだ、ということになります。

タイ古式マッサージを測った研究がある

タイ古式マッサージそのものを対象に、自律神経の状態を客観的に測った研究があります。健康な成人17名を対象としたクロスオーバー試験で、心拍のゆらぎを指標に、施術の前後を比較したものです。

 

結果として、1時間の施術でも2時間の施術でも、ストレスの指標が有意に下がり、自律神経の活動を示す指標が有意に上がりました。1時間の施術では、交感神経と副交感神経のバランスを示す指標にも有意な変化が確認されています。

 

ただし、この研究には限界があります。対象は17名で、平均年齢は20.5歳でした。更年期にあたる年代を対象にした研究ではありません。この結果をそのまま「更年期の方にも同じ効果がある」と読むことはできません。

 

それでも、この研究には価値があります。タイ古式マッサージが自律神経の状態に影響を与えることを、感想ではなく数値で示した例は限られているからです。緊張がゆるむという体験が、測れる変化をともなっていることの手がかりにはなります。

バリニーズアロマと同じ形式の施術を測った研究

アロマを使ったマッサージについても、ホルモンを指標にした研究があります。妊婦52名を対象とした試験で、2%に希釈したラベンダーの精油を使い、70分間のマッサージを隔週で10回行いました。

 

その結果、唾液に含まれるストレスホルモンが有意に低下し、免疫に関わる物質が上昇しました。

 

この研究も、対象が妊婦である点は押さえておく必要があります。更年期の方を対象にしたものではありません。ただ、香りと圧を組み合わせた施術が、測定できる範囲で体に変化を起こしていることは示されています。

 

あわせて読みたい:【自律神経を整える】「秒速0.5秒」のリズムが鍵?副交感神経を優位へ導く「痛くない」マッサージの物理ロジック

症状の話をしなくても受けられる、という価値

更年期の不調について検索すると、多くのページが「まず相談を」と書いています。相談することを前提に作られています。

 

ただ、相談したくない日があります。

 

体調のことを人に話すのは、それ自体がエネルギーを使う行為です。症状を言葉にして、いつからか説明して、程度を伝える。だるくて仕方ない日に、この作業をしたくないと感じるのは自然なことです。

 

ラダシアでは、施術前に体調をお伺いしますが、話したくないことを話していただく必要はありません。「今日は肩と腰を中心に」とだけお伝えいただければ、それで施術は成立します。更年期という言葉を出す必要も、年齢を言う必要もありません。

 

何も説明せずに、ただ体をゆるめて帰る。この選択肢が確保されていることには、意味があると考えています。

完全個室であること

ラダシアは全店舗を完全個室でご用意しています。

 

更年期の不調を抱えているとき、人の目や話し声は、それだけで負担になります。ほてりで汗をかいたとき、隣に人の気配があれば気になります。施術中に涙が出てくる方もいらっしゃいますが、仕切りがカーテン1枚では、その状態になることすら難しくなります。

 

体が本当にゆるむのは、警戒しなくていいと判断したあとです。個室であることは、その判断を早めるための条件だと考えています。

男性が入りにくい、という壁について

男性の読者に向けて、ひとつ書いておきます。

 

リラクゼーションサロンは女性が行くところだ、という感覚をお持ちの方は少なくありません。予約の画面を開いたところで手が止まる、という話も伺います。

 

ラダシアはお客様の7割が男性です。平日の夜や休日に、仕事終わりのままお越しになる方が大半です。特別な準備なしでお越しいただけます。着替えはこちらでご用意しています。

 

それでも入りにくさが残る場合、最初の1回だけでも、目的を「疲れを取る」に置いていただければと思います。更年期のためにサロンに行く、と考えると足が重くなりますが、疲れているから行く、であれば理由として十分です。

タイ古式とバリニーズアロマ、どちらを選ぶか

ラダシアには2つの施術があります。更年期の不調を抱えている時期には、どちらが合うかが分かれます。

 

タイ古式マッサージ バリニーズアロマ
主な内容 圧をかけながら関節を動かし、体を伸ばす オイルを使い、手のひら全体で流す
着衣 専用のウェアに着替えて受ける オイルを使うため肌に触れる施術
向いている状態 肩や腰の張りが強い。体を動かしたい とにかく休みたい。眠ってしまいたい
刺激の性質 体を動かすため、覚醒の感覚が残ることがある ゆっくりした一定の圧で、眠りに入りやすい
ほてりが強い時期 動きをともなうため、体が温まりやすい 圧を弱めて調整しやすい

 

ほてりや発汗が出やすい時期は、体を大きく動かさないバリニーズアロマのほうが受けやすいという方が多くいらっしゃいます。一方で、肩こりや腰の張りが強く、体を伸ばしたいという場合はタイ古式が合います。

 

迷われる場合は、ご予約時か当日にお伝えください。その日の状態を伺って、こちらからご提案します。途中で「もう少し弱く」とお申しつけいただけます。我慢して受けるものではありません。

時間の選び方

コースの時間についても、よくご質問をいただきます。

 

だるさが強い時期は、短い時間を選びたくなります。長く横になっているのがつらいのではないか、という不安からです。ただ、実際には逆のことが起きやすくなります。

 

体がゆるむまでには、時間がかかります。特に緊張が続いている状態では、警戒が解けるまでに時間を要します。全身を通したい場合、短い時間だと駆け足になります。

 

先ほど紹介した研究では、1時間の施術でも2時間の施術でも、ストレスの指標は有意に下がっていました。長ければ長いほどよい、という関係が示されているわけではありません。全身を扱うのか、部位を絞るのかで選んでいただくのが実際的です。

 

時間の確保が難しい場合は、短いコースで部位を絞るという選び方ができます。肩と首だけ、脚だけ、という形です。中途半端になるくらいなら来ない、と考える必要はありません。眠ってしまっても大丈夫です。眠っている間も施術は続いていますし、眠れたこと自体に意味があります。

ほてりが出ているときの調整

施術中にほてりが出ることがあります。その場合は遠慮なくお伝えください。

 

室温を下げる、タオルの枚数を減らす、オイルの量を調整する、圧を弱める。こうした調整はその場でできます。途中で中断して休んでいただくこともできます。

 

「せっかく来たのだから最後まで」と我慢される方がいらっしゃいますが、我慢している間は交感神経が働き続けています。ゆるめに来たはずが、逆の状態になります。

 

あわせて読みたい:世界一気持ちいいマッサージはどれ?タイ古式・オイル・ヘッドスパを科学と物理法則で徹底比較【2026年決定版】

受けていただかないほうがよい場合

次の場合は、施術をお受けいただけないか、内容を大きく変更させていただきます。

 

  • 骨密度の低下を指摘されている、骨粗しょう症と診断されている
  • 人工関節を入れている
  • 血圧が高い状態が続いている、または当日に高い
  • 発熱している、体調が明らかに悪い
  • 皮膚に炎症や傷がある(オイルを使う施術の場合)
  • 医師から運動やマッサージを止められている

 

特に骨密度については、更年期以降に注意が必要になります。女性ホルモンには骨量を保つ働きがあるため、閉経後は骨量が減りやすくなることが知られています。タイ古式マッサージは体重を利用して圧をかけ、関節を大きく動かす施術です。骨がもろくなっている状態では適しません。

 

健康診断で骨密度の低下を指摘されている場合は、必ず事前にお知らせください。バリニーズアロマに変更し、圧を調整することで受けていただける場合があります。

 

消費者庁は2017年5月に、法的な資格制度のない手技による施術について注意を呼びかけています。2009年から2017年3月末までに、こうした施術に関連する健康被害が1,483件報告されています。なかには神経や脊髄の損傷、骨折といった重い事例も含まれていました。

 

この数字は、私たちを含む区分に対して出されたものです。だからこそ、お客様の骨や関節の状態を把握していない状態で、体重をかける施術を行うことはできません。上に挙げた項目にあてはまる場合は、事前にお知らせください。

 

あわせて読みたい:タイ古式マッサージを受けられないケースとは?体調・持病がある場合の考え方

自分でできることと、その限界

サロンに来ていただくことだけを勧める記事にはしたくないので、ご自身でできることも書いておきます。

睡眠を確保することが、いちばん効く

すでに触れたとおり、更年期にあたる年代は睡眠が削られている年代でもあります。だるさの一部が睡眠を経由して出ているのであれば、ここを整えることには意味があります。しかも、睡眠は自分で条件を変えられる数少ない項目です。

 

ただ、「よく眠りましょう」という助言は、眠れない人には届きません。眠れないことが症状だからです。だから、眠るための条件のほうを整えます。

 

  • 就寝の1時間前から、部屋を暗くしていく
  • 寝室の温度を、少し低めに保つ(ほてりが出る時期は特に)
  • 入浴は就寝の90分ほど前に済ませる
  • 夜のカフェインとアルコールを減らす

 

寝室の温度については、更年期の時期に限っていえば、一般に言われている設定より少し低めが合うことがあります。夜間のほてりで目が覚める場合、暑さが引き金になっていることが多いためです。

体を動かすことは効くが、強度が高いと逆になる

運動には、睡眠の質を上げる働きと、気分を安定させる働きがあります。歩くだけでも意味があります。

 

ただし、強度が高すぎると交感神経を刺激し、かえって夜に響くことがあります。息が上がりきらない程度の運動を、夕方までに済ませるのが無難です。

セルフケアには、届かない場所がある

ご自身でできることの限界も書いておきます。

 

肩や首の張りは、自分で押すことができます。ただ、押している間、体はどこかに力を入れています。座って腕を持ち上げ、指先に力を込めている。この状態では、緩めたい筋肉が完全にはゆるみません。

 

そして、背中側は物理的に届きません。肩甲骨の間、腰の奥、お尻の奥。これらは自分の手が回らない場所です。

 

さらに、この線維が反応するようなゆっくりした刺激は、自分で自分に与えることが難しい性質を持っています。自分で触れているとき、体は次に何が起きるかを分かったうえで動いています。力を抜く相手がいないため、委ねるという状態になりません。

ご家族やパートナーが読んでいる場合に

この記事を、ご本人ではなく、周囲の方が読んでいることがあります。夫の様子がおかしい、妻が最近つらそうだ、という理由で検索された方です。

 

特に男性の更年期は、本人が気づきにくい構造を持っています。閉経のような出来事がないため、体の変化として認識されないまま進みます。かわりに出てくるのは「疲れているだけ」「歳のせい」という説明です。

周囲から見えるサインのほうが、先に出ることがある

本人が自覚する前に、周囲が気づくことがあります。

 

  • 休日に横になっている時間が、明らかに増えた
  • 以前は楽しんでいた趣味に、手をつけなくなった
  • 些細なことでいらだつことが増えた
  • 会話が減り、返事が短くなった
  • 朝、起きてくるのが遅くなった

 

これらは、怠けや性格の変化として受け取られやすいものです。実際には、意欲を生み出す仕組みそのものに影響が出ている可能性があります。テストステロンは、意欲や活力に関わる神経の伝達物質の系統に働きかけているためです。

受診を勧めるときの言い方

「病院に行ったら」と伝えて、素直に受け入れられることは多くありません。不調を認めることが、弱さを認めることのように感じられるからです。

 

更年期という言葉を使わずに勧める、という方法があります。健康診断の延長として、あるいは血液検査を受けるだけ、という形にすると、心理的な負担が下がることがあります。男性の更年期の診断には血液検査が用いられるため、検査を受けること自体が入口になります。

 

それでも動かない場合は、いったん引くという判断もあります。40代から60代を対象にした調査で、およそ7割の方が「1〜2週間様子を見る」か「ほとんど受診しない」を選んでいました。7割が同じ行動を取っているなら、それは個人の頑固さではなく、受診しにくい事情のほうに理由があります。

 

ギフト券という形で、休む時間を渡す方法もあります。ラダシアでもご用意しています。本人が自分では選ばないものを、周囲が渡すという使い方をされる方がいらっしゃいます。

初めての方が気にされること

更年期の不調を抱えている時期は、初めての場所に行くこと自体が負担になります。当日の流れを書いておきます。

 

場面 実際にすること
ご予約 インターネットから希望の日時とコースを選ぶ。迷う場合は当日の相談でも変更できる
ご来店 受付で名前を伝える。着替えはこちらで用意している
施術前 体調と、気になる部位を確認する。話したくないことは話さなくてよい
施術中 強さの調整はいつでも伝えられる。眠っても構わない
施術後 水分をとって休む。次回の予約を求めることはしない

 

次回の予約についてだけ、補足します。施術後にその場で次を決めていただく必要はありません。体の状態は日によって変わりますし、更年期の時期は特に波があります。必要だと感じたときにご連絡いただくのが、いちばん無理がないと考えています。

 

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いちばんつらい時期は、いつ来るのか

先の見通しが立たないことは、それ自体が負担になります。いつまで続くのかが分かれば、耐え方も変わります。

女性の場合、閉経の前後が山になりやすい

女性の更年期は閉経の前後5年ずつ、合計10年間です。このうち、症状が強く出やすいのは閉経を挟んだ時期だとされています。ホルモンの量が大きく揺れ動く時期にあたるためです。

 

閉経の前の数年間は、ホルモンが減っていく途中で、月ごとの変動も大きくなります。この揺れが症状につながります。閉経から数年が経つと、低い水準で安定してくるため、体がその状態に慣れていきます。

 

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。閉経の時期に個人差がある以上、山が来る時期にも差があります。10年間ずっと同じ強さで続くわけではない、という点だけ押さえておいていただければと思います。

男性の場合、区切りがないぶん長引きやすい

男性の更年期には、閉経に相当する出来事がありません。テストステロンは20代から緩やかに下がり続けるため、症状が出はじめる年齢にも大きな幅があります。

 

そして、女性のように「この時期を過ぎれば」という見通しが立ちません。発症が長期化しやすいと言われるのは、この構造によるものです。

 

だからこそ、男性の場合は「いつまで我慢するか」ではなく「どう付き合うか」という組み立てになります。医療機関で相談する、生活のリズムを整える、体をゆるめる時間を定期的に確保する。どれも一度で終わらせるものではありません。

ストレスが重なると、時期に関係なく強く出る

年齢とホルモンだけで決まるわけではない、という点も書いておきます。

 

男性の更年期の定義には「加齢あるいはストレスに伴う」という言葉が入っています。ストレスは、テストステロンの低下に関わる要因として位置づけられています。

 

40代後半から50代は、仕事の責任が重くなり、親の介護が始まり、子どもの進路が動く時期と重なります。負荷が集中する年代です。ホルモンの変化と生活の負荷が同じ時期に来るため、どちらが原因かを切り分けることが難しくなります。

 

切り分けられないなら、両方に手を打つほうが早いという考え方もできます。ホルモンについては医療機関で相談し、体の緊張については別の手段で解く。この2つは同時にできます。

どのくらいの間隔で受けるといいのか

ご質問をよくいただくので、目安を書いておきます。

 

今の状態 間隔の目安 考え方
だるさが強く、眠りも浅い 2週間に1回 まずは体がゆるむ感覚を思い出す時期
波はあるが、動けている 月に1回 調子が下がりきる前に入れる
落ち着いてきた 1〜2か月に1回 状態を保つための間隔

 

この表はあくまで目安です。予算と時間の範囲で決めていただくのが正しく、体調に合わせて延ばしていただいてかまいません。

 

10年という期間を前提にすると、たまに強くゆるめるより、少しずつ定期的に、という形のほうが続けやすいという実感はあります。ただ、1回で区切りがつくのであれば、それがいちばんです。

よくあるご質問

更年期の倦怠感はどうすれば改善しますか?

原因が複数あるため、対処も複数になります。順番をつけるなら、次のとおりです。

 

まず、医療機関で相談することです。ホルモンの状態は、検査で初めて分かります。女性であれば婦人科、男性であれば泌尿器科が窓口です。治療の選択肢があるかどうかは、そこで確認できます。

 

次に、睡眠を確保することです。自分で条件を変えられる項目のなかでは、ここがいちばん大きいと考えています。夜間のほてりで目が覚める場合、寝室の温度を下げることが手がかりになります。

 

そのうえで、体の緊張をゆるめる手段を持つことです。ほてりや動悸で交感神経が優位になり、それが眠りを妨げ、さらに自律神経が乱れるという循環が起きています。この循環は、休もうと意識するだけでは切れません。

 

倦怠感そのものを消す方法をお示しすることはできません。ただ、経路が複数あるということは、手を打てる場所も複数あるということです。

更年期に効くツボはどこですか?

この質問には、正直にお答えします。

 

ラダシアでは、ツボを治療の目的で押すことはしていません。特定の場所を押すことで特定の症状が改善する、という説明も行っていません。私たちはリラクゼーションを目的とした施術を提供する立場です。鍼灸師のように、国家資格にもとづいて経穴を扱う立場にはないためです。

 

ツボの効果について知りたい場合は、鍼灸院や、あん摩マッサージ指圧師のいる施設でお尋ねいただくのが確かです。国家資格を持つ方であれば、根拠を持って説明できます。

 

そのうえで、私たちが何をしているかをお伝えします。タイ古式マッサージでは、体の中を流れる線に沿って圧をかけていきます。この線は「セン」と呼ばれ、タイに伝わる考え方にもとづいています。特定の1点を狙うのではなく、線に沿って面で圧を移動させていく施術です。

 

1点を強く押して変化を出すのではなく、時間をかけて全体をゆるめていく組み立てです。どこか1か所が原因で、そこを押せば解決する、という考え方を取っていません。更年期の不調のように、複数の経路が重なって出ている状態には、この組み立てのほうが合う場面があります。

 

効くツボを探しているのであれば、この記事はお役に立てないかもしれません。ただ、体全体をゆるめる方向で考えているのであれば、選択肢のひとつにはなります。

更年期で一番しんどい時期はいつですか?

女性の場合、閉経を挟んだ時期に症状が強く出やすいとされています。ホルモンの量が大きく揺れ動く時期にあたるためです。閉経から数年経つと低い水準で安定するため、体が慣れていきます。

 

男性の場合、この質問に答えることが難しくなります。閉経のような明確な出来事がなく、テストステロンが20代から緩やかに下がり続けるためです。症状が出はじめる年齢にも幅があり、長期化しやすいという特徴があります。

 

いずれの場合も、ストレスが重なる時期に強く出やすいという傾向があります。仕事の責任、介護、家族の状況。こうした負荷が集中する年代と重なるため、体の変化だけで説明できない部分が残ります。

女性50代で体がだるい原因と対処法は?

50代女性のだるさには、複数の経路が関わっています。

 

ホルモンの減少そのものに加えて、ほてりや発汗による日中の消耗があります。夜間のほてりで睡眠が細切れになれば、翌日のだるさに直結します。国民健康・栄養調査の令和5年の結果を見ると、睡眠時間が6時間未満の女性は43.6%でした。40代から60代では4割を超えています。

 

そして、更年期以外の原因が隠れている場合もあります。甲状腺の病気や貧血でも、同じようなだるさが出ます。これらは血液検査で分かります。

 

だからこそ、対処の1番目は受診です。更年期だと決めてしまう前に、他の可能性を確かめておく。この順番が安全です。そのうえで、睡眠の条件を整え、体の緊張をゆるめる手段を持つ、という流れになります。

男性ですが、更年期という感じがしません。男性の更年期に当てはまりますか?

「更年期という感じがしない」という感覚自体が、男性の更年期の特徴です。

 

閉経のような明確な出来事がないため、体の変化が段階として認識されません。かわりに「疲れが取れないのは歳のせい」「やる気が出ないのは自分の問題」という説明が先に来ます。

 

倦怠感、意欲の低下、眠りの浅さ、いらだち。こうした状態が半年以上続いていて、休んでも戻らないのであれば、一度泌尿器科で相談する価値はあります。検査で分かることですので、思い当たらなくても確かめられます。

更年期のだるさは、マッサージを受けると良くなりますか?

症状を治療することはできません。ホルモンの状態を変えることもできません。ここは正直にお伝えします。

 

できるのは、体の緊張をゆるめることです。ほてりや不安で交感神経が優位になっている状態から、休息の側へ切り替える。その切り替えを外から助けることが、施術の役割です。

 

タイ古式マッサージについては、17名を対象とした研究があります。施術後にストレスの指標が有意に下がり、自律神経の活動を示す指標が上がったと報告されています。ただし対象の平均年齢は20.5歳で、更年期の方を対象にした研究ではありません。この点は正確にお伝えしておきます。

更年期の体調のことを説明しなくても、マッサージは受けられますか?

受けられます。

 

施術前に体調の確認はさせていただきますが、話したくないことをお話しいただく必要はありません。「今日は肩と腰を中心に」だけで十分です。更年期という言葉を出す必要も、年齢をお伝えいただく必要もありません。

 

ただし、安全に関わることだけはお知らせください。

 

  • 骨密度の低下を指摘されている、骨粗しょう症と診断されている
  • 人工関節を入れている
  • 血圧が高い状態が続いている
  • 発熱している
  • 皮膚に炎症や傷がある
  • 医師から運動やマッサージを止められている

 

この6つにあてはまる場合は、内容を調整させていただくか、日を改めていただくご相談をします。それ以外のことは、お話しいただかなくて結構です。

マッサージの施術中に眠ってしまっても大丈夫ですか?

大丈夫です。むしろ、眠っていただける状態になったということです。

 

体が本当にゆるむのは、警戒を解いたあとです。眠りに入れたということは、その状態に到達した証拠になります。起こすことはしませんので、そのままお休みください。

まとめ

更年期のだるさが、どこから来ているのかを追いかけてきました。

 

女性の更年期は閉経を挟んだ前後5年ずつ、合計10年間と定義されています。日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後です。男性にも更年期があります。こちらはテストステロンが20代から緩やかに下がり続けるため、始まりも終わりも区切れません。

 

だるさは、ホルモンの変化から直接来ているだけではありません。ほてりや発汗で日中に消耗し、夜間のほてりで睡眠が削られ、睡眠不足がさらに自律神経を乱す。この循環を経由して、翌日のだるさになっています。

 

そして、およそ7割の方が「もっとつらくなってから」を受診の基準にしています。待ち時間、時間のなさ、この程度で行っていいのかというためらい。この3つが足を止めています。

 

更年期は10年という期間を持ちます。長い時間ですが、症状の強さが10年間ずっと同じわけではありません。女性の場合、閉経を挟んだ時期が山になりやすく、そこを過ぎると体が慣れていきます。男性の場合は区切りがないぶん、付き合い方を決めるという組み立てになります。

 

まず、医療機関で相談してください。ホルモンの状態は検査でしか分かりませんし、更年期以外の病気が隠れていることもあります。ラダシアの施術は、それに代わるものではありません。

 

そのうえで、体の緊張をゆるめる時間を持つことには意味があると考えています。休もうと意識することが、それ自体ひとつの努力になってしまう時期があります。そういうときは、外から働きかけて、体が勝手にゆるむ状態を作るほうが早いことがあります。

 

症状の話は省いていただいて結構です。年齢も伏せたままで大丈夫です。ただ体をゆるめて帰る日があっていいはずです。

 

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タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化し、全店舗を完全個室でご用意しています。セラピストは15日間の研修と卒業試験を経て現場に立っていますので、初めての方もご安心ください。

 

※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。体調に不安がある場合や症状が続く場合は、婦人科・泌尿器科・内科などの医療機関にご相談ください。

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