タイ古式マッサージ

立ち仕事の疲れの取り方。職種ごとに違う負担と、セルフケアが届かなくなる線

仕事が終わって靴を脱いだとき、足がひとまわり大きくなっている。帰りの電車で座れたはずなのに、家に着くころには足首が重い。翌朝も、前の日の疲れが残ったまま出勤する。

 

立ち仕事をされている方から、こういうお話をよく伺います。そして多くの場合、「休めば治ると思っていたけれど、休んでも戻らなくなってきた」という言葉が続きます。

 

この記事では、立ち仕事の疲れについて、少し違う角度から書きます。原因を並べてストレッチを紹介する記事はすでにたくさんあります。ここで扱うのは、職種によって疲れる場所が変わるという事実と、どこからがセルフケアで対応できない領域なのかという線引きです。

 

「立ち仕事 限界 時間」という言葉で検索している方がいます。その問いに正面から答えます。

立ち仕事をしている人は、どのくらいいるのか

まず規模を確認しておきます。

 

労働力調査から産業別の就業者数を見てみます。上位に並ぶのは、次の3つです。

 

産業 就業者数 立ち仕事との関係
製造業 およそ1,035万人 ライン作業、組立、検査で立位が続く
卸売業・小売業 およそ1,007万人 販売、レジ、品出しで立位が続く
医療・福祉 およそ976万人 立位に加えて、中腰と介助動作が加わる

 

この3つの産業は、いずれも仕事中に立っている時間が長い職種を多く含みます。

 

合計すると、およそ3,000万人という規模になります。日本で働いている人の相当な割合が、立ち仕事に関わっていることになります。

 

そして、厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査によると、体の不調を自覚している人の割合は人口千人あたり276.5人でした。症状別に見ると、男女ともに第1位は腰痛です。

 

立ち仕事の疲れは、個人の体力の問題として語られがちです。ただ、これだけの人数が同じ環境に置かれているのであれば、扱い方も変わってきます。

30分で、体には変化が始まっている

立ち続けたとき、体の中で何が起きるのか。ここには測定されたデータがあります。

 

2006年に日本の研究者らが発表した調査があります。30分以上の持続的な立ち作業によって、下肢の静脈の血流が有意に減少することが示されました。同時に、ふくらはぎの疲労感とむくみが顕著にあらわれています。

 

30分です。半日ではありません。

 

さらに、アメリカの疾病対策センターが5時間の長時間立位を評価しています。この研究で確認されたのは、筋肉の疲労、作業能力の低下、主観的な不快感でした。加えて、下肢の容積そのものが増加するという血管系の変化も見られています。

なぜ立っているだけで血流が落ちるのか

仕組みを説明します。

 

ふくらはぎの筋肉には、脚に降りてきた血液を心臓へ押し戻すポンプの役割があります。歩いているときは、この筋肉が収縮と弛緩を繰り返すため、ポンプが働きます。

 

ところが、立ち止まったままだと筋肉はほとんど動きません。ポンプが止まった状態で、重力だけが働き続けます。血液は下に溜まり、血管の壁は内側から押され続けます。

 

歩き回る仕事より、同じ場所に立ち続ける仕事のほうが疲れる。この実感には、こういう背景があります。

職種によって、疲れる場所が違う

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

 

立ち仕事とひとくくりにされますが、実際の体の使い方は職種によって異なります。だから、疲れが出る場所も違ってきます。

美容師の場合

特徴は、腕を肩より上に保つ時間が長いことです。カットもブローも、腕を上げた姿勢で続きます。

 

この姿勢では、肩の周りの筋肉が縮んだまま力を出し続けます。同時に、手元を見るために首が前に出ます。頭の重さは4キロから5キロあり、前に傾くほど首の後ろの筋肉にかかる負担が増えます。

 

さらに、シャンプー時には前かがみになります。腰を曲げた姿勢で腕を動かすため、腰の負担が加わります。足の疲れよりも、肩と首と腰に集中しやすいのが美容師の立ち仕事です。

販売・接客の場合

同じ場所に立ち続ける時間が最も長い職種のひとつです。レジ、案内、売り場での待機。移動が少なく、姿勢の変化も少なくなります。

 

ふくらはぎのポンプが働かない時間が長いため、むくみが出やすくなります。夕方に靴がきつくなるという訴えは、この職種で特に多く聞かれます。

 

加えて、片足に体重を預けて休む姿勢を無意識に取ることがあります。楽に感じますが、骨盤が左右に傾いた状態が続くため、腰の片側に負担が偏ります。

調理の場合

作業台に向かって前かがみになる時間が長く、そこに手先の細かい作業が加わります。

 

厨房の床は硬く、水で滑らないよう作られているため、クッション性がほとんどありません。硬い床の上で立ち続けることは、それ自体が負担になります。

 

また、重い鍋やフライパンを持つ動作が繰り返されます。前かがみの姿勢のまま重量物を扱うため、腰への負担が集中します。

看護・介護の場合

立位と、中腰と、持ち上げる動作が組み合わさります。厚生労働省が示している腰痛予防対策の指針を見ると、福祉と医療分野の介護・看護が挙げられています。腰痛のリスクが高い作業領域のひとつとして、名指しされています。

 

人を支える動作は、荷物を持つのとは違います。相手の動きに合わせて力の方向が変わるため、姿勢を固定できません。予測できない負荷が、不意にかかります。

 

加えて、夜勤がある場合は生活リズムの乱れが重なります。回復に必要な睡眠が確保しにくい状態で、負担だけが積み上がっていきます。

製造・工場の場合

ライン作業では、同じ動作の反復と、決まった姿勢の保持が続きます。作業台の高さが体に合っていないと、その差が毎日蓄積します。

 

厚生労働省の指針には、作業台の高さについて具体的な記述があります。肘の曲がる角度がおよそ90度になる高さに、個別に調整することが示されています。この「個別に」が重要で、身長が違えば適切な高さも変わります。

 

床の硬さも同様です。コンクリートの上で1日立ち続けることと、弾力のある床の上に立つことでは、蓄積する疲労が変わります。

教員・保育士の場合

立ち仕事として語られることが少ない職種ですが、負担の質は独特です。

 

教員の場合、授業中は立ちっぱなしで、板書のために腕を上げ、生徒のほうを向くために体をひねります。この3つが同時に起きています。板書は同じ側の腕を使うことが多いため、負担は片側に寄ります。

 

保育士の場合、しゃがむ動作と立ち上がる動作が1日に何十回も繰り返されます。子どもの目線に合わせるためです。加えて、抱き上げる動作が入ります。中腰から立ち上がりながら重量を持ち上げるという、腰にとって最も負担の大きい動きの組み合わせです。

 

どちらの職種も、休憩を取りにくいという共通点があります。授業の合間、子どもから目を離せない時間。2時間ごとに座るという方法が、そもそも実行しにくい環境です。

 

この場合、かかとの上げ下げのように、立ったままその場でできる方法のほうが現実的です。移動中の廊下で少し大きめに歩く、といった工夫でも、止まっていた筋肉が動きます。

共通しているのは、姿勢が変わらないこと

6つの職種を並べると、負担のかかる場所は違うのに、共通点があることが見えてきます。

 

職種 負担が集中しやすい場所 その理由
美容師 肩、首、腰 腕を上げた姿勢と、前かがみの繰り返し
販売・接客 ふくらはぎ、足首、腰の片側 移動が少なく、姿勢の変化も少ない
調理 腰、足の裏 前かがみと、硬い床と、重量物
看護・介護 腰、肩 中腰と、人を支える不安定な負荷
製造・工場 肩、腰、足の裏 同じ動作の反復と、合わない作業台の高さ
教員・保育士 腰、肩、片側への偏り しゃがむ動作の反復、抱き上げ、板書での体のひねり

 

どの職種にも共通しているのは、姿勢が変わらないことです。同じ場所に負担がかかり続ける状態が、1日に何時間も続きます。

 

これは、疲れの原因が「立っていること」そのものではなく、「同じ姿勢でいること」にあるという見方につながります。次の章で、この点を掘り下げます。

 

あわせて読みたい:夕方のパンパン足もスッキリ!「第二の心臓」にアプローチするタイ古式マッサージの物理ロジックと巡りのヒミツ

座りすぎが悪いなら、立てばいい。この考えには続きがある

ここ数年、座り続けることの害がよく知られるようになりました。立って仕事ができる机を導入した職場もあります。

 

ただ、この話には続きがあります。2024年にシドニー大学の研究チームが発表した解析が、その内容です。

立位に置き換えるだけでは、心血管の健康は改善しない

この研究では、大規模なデータベースを用いて、座位と立位の時間と健康状態の関係が調べられました。

 

結果は、単純ではありませんでした。座る時間を立つ時間に置き換えるだけでは、冠動脈の疾患や脳卒中といった心血管系の健康は改善しなかったのです。

 

さらに、1日2時間を超える立位についても報告があります。起立性低血圧、静脈瘤、慢性静脈不全、静脈潰瘍といった問題のリスクが上がります。しかも、30分ごとに相対的に11%ずつ増加するという報告です。

 

座りすぎも良くないが、立ちすぎも良くない。この研究が示しているのは、そういう構図です。

下肢静脈瘤のリスクは、時間に比例する

立位時間と静脈の疾患については、より直接的な研究があります。

 

これまでの研究をまとめた分析と、長期間の追跡調査があります。立っている時間が長い人ほど、脚の静脈の病気が起きやすいという対応が確認されました。時間が延びるほど発症率も上がる、という関係です。

 

1日におよそ4時間から6時間を超える立ち作業で、下肢静脈瘤の発症リスクが顕著に上昇したと報告されています。手術を要する下肢静脈瘤についても、立位時間が長い群でリスクが有意に高いという結果が出ています。

 

仕組みは、先ほどのポンプの話とつながっています。筋肉の活動をともなわない立位が続くと、重力によって高まった圧力が静脈の壁を押し広げ続けます。これが長期間繰り返されると、静脈の壁が拡張し、逆流を防いでいる弁が完全に閉まらなくなります。

大事なのは、立つか座るかではない

ではどうすればいいのか。シドニー大学の研究チームは、答えの方向を示しています。

 

健康的な労働環境は「立位か座位か」という二者択一ではない、という整理です。鍵になるのは、姿勢の多様性と、定期的な歩行や筋肉の活動を確保することだとされています。

 

先ほど職種別に見たとき、共通点は「姿勢が変わらないこと」でした。この研究の結論と、きれいに重なります。

 

つまり、立ち仕事の対策として考えるべきは、立たないようにすることではありません。同じ姿勢の時間を切ることです。

法律には、座る機会について書かれている

あまり知られていませんが、立ち仕事について定めた条文があります。

 

労働安全衛生規則の第615条です。「立業のためのいす」という見出しがついています。

 

「事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない」

 

条文はこう定めています。座れる機会があるときには、椅子を備えることが事業者の義務とされています。

 

この条文の存在を知っておくことには意味があります。休憩時に座る場所がない職場は、まれにあります。そういう場合、それは個人が我慢すべきことではなく、環境の側の問題だという根拠になります。

厚生労働省の指針が示している具体策

あわせて、厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」を出しています。2013年に改訂されたものです。

 

この指針では、腰痛のリスクが高い作業として5つの領域が挙げられています。重量物の取り扱い、立ち作業、座り作業、福祉・医療分野の介護と看護、車両の運転などです。

 

立ち作業については、次のような指導内容が示されています。

 

  • 他の作業を組み合わせて、長時間の立位保持を避けること
  • おおむね1時間につき1回から2回程度の小休止や休息を取り、屈伸運動やマッサージなどを行わせること
  • 作業台は、肘の曲げ角度がおよそ90度になる高さに、個別に調整すること
  • 床面が硬い場合は、弾力性のあるマットやクッション性のある靴を用いること

 

ここまでに3つの時間が出てきたので、整理しておきます。

 

時間 何を指しているか
30分 体に変化が始まる時間。この時点で下肢の血流は減少しはじめる
1時間に1〜2回 厚生労働省の指針が示す、小休止の望ましい頻度
2時間ごとに10〜15分 研究で、むくみと筋疲労の軽減が確認された介入の間隔

 

目指すのは指針の水準で、最低限として押さえたいのが研究で効果が確認された2時間ごとです。1時間に1回が難しい職場でも、2時間に1回であれば実行できることがあります。

自分でできること

ここからは実践の話です。ただし、効果の大きい順に並べます。

2時間ごとに、10分から15分座る

最も効果が確認されているのは、座る時間を作ることです。

 

2019年の研究があります。立位作業において、2時間ごとに10分から15分の座位での休憩を設けています。その結果、下肢のむくみと筋肉の疲労が有意に軽減されたという報告です。

 

休憩時間にスマートフォンを見ながら立っている方がいらっしゃいますが、座ったほうが回復します。短い時間でも、ポンプが働かない状態を断ち切ることに意味があります。

足を上げる。ただし、上げすぎは逆効果

帰宅後にできることとして、足を高くする姿勢があります。

 

仰向けになり、脚を心臓の位置より15センチから20センチほど高くします。角度でいうと15度から30度ほどです。この姿勢を10分から20分保ちます。

 

ここで注意点があります。壁に両足を垂直に立てかける方法を見かけますが、股関節の曲がりが強くなりすぎるという指摘があります。脚の付け根で動脈と静脈が圧迫され、血流を助けるはずが妨げになる可能性がある、という理由です。強い根拠が示されているわけではありませんが、わざわざ高く上げる必要もありません。

 

クッションを1つか2つ重ねて、15センチから20センチほどになる高さが目安です。高ければ高いほど良い、という話ではありません。

床が硬いなら、マットか靴で変わる

床の硬さは、疲労に直接影響します。

 

別の研究では、4時間の立位作業について、硬い床と疲労軽減マットを比較しています。マットを使った場合、足、ふくらはぎ、腰の主観的な不快感が有意に低下しました。

 

この研究には、興味深い発見が含まれています。客観的な指標として、体重を左右に移し替える頻度が測定されました。硬い床の上では、不快感から逃れようとして、無意識のうちに重心の移動が増えていたのです。そして、その頻度は不快感の強さと強く相関していました。

 

立っているときに、無意識に体を揺らしたり、片足に体重を移したりしていないでしょうか。体が不快感の逃げ場を探しているサインだと考えられます。

 

ここで、姿勢の変え方について整理しておきます。意識して姿勢を変えること、歩くこと、座ることは有効です。一方、無意識に片足へ体重を預け続ける癖は、骨盤が傾いたまま固定されるため偏りを生みます。同じ「姿勢を変える」でも、意識的に切り替えるのか、無意識に逃げているのかで意味が変わります。

 

職場の床を変えることは難しくても、靴を変えることはできる場合があります。クッション性のある靴、あるいはインソールを入れることで、床からの衝撃は変わります。

 

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1日のどこで手を打つか

ここまでに挙げた方法を、1日の流れのなかに置き直します。同じことをするにも、タイミングによって効きが変わるためです。

 

時間帯 体の状態 できること
仕事中 ポンプが止まり、血液が下に溜まっていく 2時間ごとに10分から15分座る。難しければ、かかとの上げ下げを20回
帰宅直後 下肢に水分が溜まりきっている 足を心臓より15センチから20センチ高くして、10分から20分横になる
入浴時 温めることで血管が広がりやすい 湯船につかる。皮膚や血管に後述の異常がなければ、ふくらはぎを足首から膝へ手のひらでゆっくり流す
就寝前 翌日に向けて回復が始まる時間 軽いストレッチ。強く伸ばさず、力を抜く目的で行う
翌朝 前日の負荷が抜けたかどうかが分かる 足首の太さと靴の入り具合を確認する。戻っていなければ蓄積している

 

この表のなかで、いちばん見落とされやすいのが翌朝です。

 

前日の疲れが翌朝に残っているかどうかは、回復が間に合っているかを判断する材料になります。朝の時点で足首が太い、靴がきつい。この状態が続いているなら、1日の負荷に対して回復の時間が足りていません。

 

逆に、朝には戻っているのであれば、その日の負荷はその日のうちに処理できているという目安になります。夕方に足がむくむこと自体は、立ち仕事をしていれば起こります。気にしていただきたいのは、それが翌朝まで残るようになったときです。

かかとの上げ下げは、その場でできる

仕事中に座れない環境の方が多いと思います。その場合、かかとの上げ下げが代わりになります。

 

両足のかかとを上げて、つま先立ちの状態を作り、ゆっくり下ろす。これを20回ほど繰り返します。ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すため、止まっていたポンプが動きます。

 

レジの内側、調理台の前、作業台の横。立ったままできるので、場所を選びません。1時間に1回でも、まったくやらないのとは違います。

 

足の指を握って開く動作も、同じ効果があります。靴の中でできるので、人目も気になりません。足の裏の筋肉が動き、土踏まずを支える働きが戻ります。

靴は、クッションだけで選ばない

靴を変えることで床からの衝撃は変わりますが、注意点があります。

 

柔らかければよい、という話ではありません。柔らかすぎる靴は足が沈み込み、安定させるために足の裏やすねの筋肉が余計に働きます。1日立ち続けると、この余計な仕事が積み上がります。

 

目安は、かかとがしっかり支えられていること、土踏まずの部分が浮いていないこと、そしてつま先に余裕があることです。夕方には足がむくむので、夕方の状態で試着されるのが確実です。

 

同じ靴を毎日履き続けないことも効きます。2足を交互に使うと、圧のかかる場所が毎日わずかに変わります。素材が乾く時間も確保できます。

ここからは、セルフケアの範囲を超えています

「立ち仕事 限界 時間」という言葉で検索されている方がいます。どこまでが自分で対応できる範囲なのか、という問いだと受け取っています。

 

先に整理しておきます。研究が示しているのは、集団としての傾向です。この時間を超えるとリスクが上がる、という形で出てきます。あなたが何時間まで大丈夫かを示したものではありません。同じ8時間でも、職種と床と靴と体格によって負担が変わります。

 

個人の限界を時間で決めることはできない。そのかわり、体に出ているサインで線を引くことはできます。

この症状があれば、医療機関へ

  • 夜、寝ているときに激しい痛みで目が覚めるほどのこむら返りが、たびたび起きる
  • 静脈が青黒く、瘤のようにボコボコと浮き出ている
  • 足首まわりやすねの皮膚が茶色く変色し、強いかゆみをともなう湿疹が治らない
  • 皮膚がえぐれて、傷が治らない
  • 片足だけが急に腫れ上がり、強い痛みをともなう

 

最後の項目については、特に強調しておきます。片足だけが急激に腫れて強い痛みがある場合、深部静脈血栓症の可能性があります。脚の深いところにある静脈に血の塊ができる状態です。

 

この血の塊が剥がれて肺の血管に詰まると、命に関わります。緊急性が高い症状ですので、様子を見ずに医療機関を受診してください。

 

上から4つの症状も、静脈の働きが低下している状態を示している可能性があります。血管外科や、下肢静脈瘤を扱っている医療機関で相談できます。

強く揉んではいけない状態がある

ここは、私たちの立場からも重要な部分です。

 

色素沈着が起きている部位や、血管が瘤のように浮き出ている部位に、強い圧をかけるマッサージを行うことには危険がともないます。血の塊を血流に乗せてしまう恐れがあること、そして弱くなった静脈を損傷させる恐れがあることが理由です。

 

「揉めば良くなる」という発想が通用しない領域が、確かに存在します。むくみと張りが強いときほど揉みたくなりますが、その状態が何によるものかを先に確かめる必要があります。

 

ラダシアでの対応を、症状ごとに書き分けておきます。

 

症状 当店の対応
片足だけが急に腫れ、強い痛みをともなう 施術は行いません。その日のうちに医療機関を受診してください
静脈が瘤のように浮き出ている 医療機関で確認いただくまで、その部位への施術は行いません
皮膚の変色、治らない湿疹、傷 同上。受診の結果によっては、部位を避けて組み立てます
夜間に目が覚めるほどのこむら返りが頻回 受診をお勧めしたうえで、当日の状態を伺って判断します

 

ご自身で判断がつかない場合は、ご予約前にお問い合わせください。写真や状態をお伺いしたうえで、受診が先か、施術が可能かをご案内します。

プロの施術に、何ができるか

そのうえで、施術に何ができるのかを書きます。

自分では届かない場所がある

立ち仕事の疲れは、ふくらはぎだけに出るわけではありません。職種別に見たとおり、腰、お尻の奥、太ももの外側、肩と首にも蓄積します。

 

ふくらはぎは自分で揉めます。ただし、これは先ほど挙げた症状がない場合の話です。血管が浮き出ている部位や皮膚が変色している部位は、自分でも強く揉まないでください。

 

そのうえで、届かない場所があります。お尻の奥にある筋肉は、大きな筋肉の下に隠れているため、自分で押しても届きません。腰の深い層も同様です。

 

そして、自分でほぐしているとき、体はどこかに力を入れています。座って前かがみになり、腕に力を込めている。この状態では、緩めたい筋肉が完全にはゆるみません。

片側に偏った負担を、左右で見る

立ち仕事では、負担が左右で偏ることがよくあります。片足に体重を預ける癖、利き手側だけを使う作業、体をひねる向きが決まっている作業。こうした偏りが、時間をかけて蓄積します。

 

自分では、この偏りに気づきにくいものです。左右の張りの差は、外から触れて初めて分かることが多くあります。

 

タイ古式マッサージでは、脚を持ち上げて股関節を開く動作が含まれます。このとき、左右の可動域の差がはっきり出ます。どちら側に負担が寄っているかを、施術のなかで確かめられます。

むくみが強い時期は、流す施術を

足のむくみが中心の場合、バリニーズアロマのオイルトリートメントが合うことがあります。手のひら全体で、足首から膝、膝から股関節へと流していく施術です。

 

タイ古式が体を伸ばして動きを出す施術であるのに対して、こちらは流す施術です。脚の重だるさを訴えて来られる方には、こちらをご案内することが多くなります。

 

どちらが合うかは、その日の状態で変わります。ご予約の際か当日にお伝えいただければ、こちらでご提案します。

 

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よくあるご質問

立ち仕事で足の疲労がひどいのですが、どうしたらよいですか?

効果が確認されている順に3つお答えします。

 

1つ目は、2時間ごとに10分から15分座ることです。2019年の研究で、下肢のむくみと筋肉の疲労が有意に軽減されたと報告されています。休憩中に立ったままでいるより、座ったほうが回復します。

 

2つ目は、帰宅後に足を心臓より15センチから20センチ高くして、10分から20分横になることです。壁に垂直に立てかける方法は、脚の付け根を圧迫するため避けてください。

 

3つ目は、床からの衝撃を減らすことです。4時間の立位作業を比べた研究では、疲労軽減マットを使った場合に、足とふくらはぎと腰の不快感が有意に低下しました。この研究が比べたのはマットであって靴ではありませんが、床が硬い環境が負担になるという点は共通します。職場にマットを敷けない場合、クッション性のある靴やインソールを試す価値はあります。

 

これらを試しても改善しない場合、あるいは皮膚の変色や血管の瘤が見られる場合は、医療機関でご相談ください。

立ち仕事で疲れない方法はありますか?

疲れをゼロにする方法はありません。30分以上立ち続けるだけで下肢の血流は減少しますので、立つ以上は負荷がかかります。

 

そのうえで、蓄積を減らす方向であれば手が打てます。鍵は、姿勢を変える回数です。

 

2024年の研究が示しているのは、立つか座るかという二者択一ではありません。姿勢の多様性と、定期的な歩行や筋肉の活動が重要だということです。同じ姿勢を続ける時間を短く区切ることが、いちばん効きます。

 

具体的には、1時間に1回でも足踏みをする、かかとの上げ下げをする、少し歩く。この程度でも、止まっていたポンプが動きます。

立ち仕事の疲れが取れない原因は何ですか?

3つの可能性が考えられます。

 

1つ目は、回復に必要な時間が確保できていないことです。翌日も同じ環境で立つのであれば、前日の負荷が抜けきる前に次が乗ります。特に睡眠が削られていると、この積み上がりが加速します。

 

2つ目は、疲れている場所と、ケアしている場所が違うことです。ふくらはぎをほぐしているのに変わらない場合、原因が腰やお尻の奥にあることがあります。職種によって負担のかかる場所は違います。

 

3つ目は、疲労ではなく別の状態が始まっている可能性です。静脈の働きが低下している場合、休んでも戻りにくくなります。皮膚の色や血管の見え方に変化があれば、医療機関で確かめてください。

立ち仕事と座り仕事、どちらがむくむ?

どちらもむくみます。仕組みが違います。

 

立ち仕事では、重力によって血液が下に溜まり、ふくらはぎのポンプが働かないことでむくみます。座り仕事では、股関節と膝が曲がった状態で血管が圧迫され、やはり下肢の循環が滞ります。

 

2024年の研究が示したのは、座る時間を立つ時間に置き換えるだけでは心血管の健康は改善しないということでした。1日2時間を超える立位については、循環器系の問題のリスクが30分ごとに相対的に11%ずつ増加するとも報告されています。

 

つまり、どちらが良いかではありません。同じ姿勢を続けないことが答えです。

立ち仕事の疲れに着圧ソックスは効果がありますか?

むくみの軽減については、一定の効果が期待できます。外から圧をかけることで、静脈が広がるのを抑える働きがあります。

 

ただし、圧の強さが体に合っていることが前提です。強すぎるものを長時間つけると、かえって循環を妨げます。また、すでに静脈の疾患がある場合は、医療用の弾性ストッキングを医師の指導のもとで選ぶ必要があります。

 

市販のものを使う場合は、締めつけが強すぎないものを選び、就寝時には外すことをお勧めします。

立ち仕事の人は、どのくらいの頻度でマッサージを受けるといいですか?

毎日立ち仕事をされている方であれば、2週間に1回のペースで来られる方が多いです。週末にまとめて休んでも抜けきらない、という状態が続いている場合は、この間隔が目安になります。

 

繁忙期だけ間隔を詰める、という使い方をされる方もいらっしゃいます。棚卸しの時期、年末年始、決算期。負荷が読める職種であれば、その前後に合わせる形が無理なく続きます。

まとめ

立ち仕事の疲れについて、順を追って見てきました。

 

30分以上立ち続けるだけで、下肢の静脈の血流は有意に減少します。ふくらはぎのポンプが止まり、重力だけが働き続けるためです。日本では製造業、卸売・小売業、医療・福祉を合わせておよそ3,000万人が、立ち仕事に関わる産業で働いています。

 

負担のかかる場所は、職種によって違います。美容師は肩と首、販売はふくらはぎ、調理は腰と足の裏、看護と介護は腰、製造は肩と腰、教員と保育士は腰と片側への偏りです。ただし共通しているのは、姿勢が変わらないことです。

 

2024年の研究が示したのは、座りすぎも立ちすぎも良くないということでした。鍵になるのは、姿勢の多様性です。2時間ごとに10分から15分座ること、帰宅後に足を15センチから20センチ高くすること、床からの衝撃を減らすこと。この3つが、自分でできることの中では手がかりになります。

 

そして、線を引くべき場所があります。片足だけが急に腫れて強い痛みがある場合は、様子を見ずに受診してください。皮膚の変色や血管の瘤が見られる部位を、強く揉んではいけません。

 

休んでも抜けなくなってきた、という状態が続いている場合は、まず上に挙げた症状がないかを確かめてください。あてはまるものがあれば、受診が先です。

 

そのうえで、疲労の範囲だと確認できた場合です。自分の手が届かない場所と、左右に偏った負担については、外から働きかける方法があります。

 

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タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化し、全店舗を完全個室でご用意しています。セラピストは15日間の研修と卒業試験を経て現場に立っていますので、初めての方もご安心ください。

 

※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。痛みが続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

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