タイ古式マッサージ

ランニングの疲れが抜けないのはなぜ?走った後の脚に効くケアを、効果の大きさで並べ直す

日曜日に20キロ走って、月曜の朝、階段を降りるときに手すりをつかむ。火曜日になって痛みがピークに来る。水曜日にようやく普通に歩けるようになって、木曜日にはもう次の練習日が来ている。

 

こういう周期で走り続けている方から、「疲れが抜けきらないうちに次を走っている気がする」というお話をよく伺います。皆さん決まって「歳ですかね」とおっしゃるのですが、私たちは少し違う見方をしています。走るという運動が脚にかけている負荷は、多くの方が思っているより大きく、しかも回復には順番があるからです。

 

この記事では、1歩の着地で脚に何がかかっているのかを実測データで確認します。そのうえで、疲労回復の方法を99件の研究から並べ直した分析を紹介します。ストレッチとフォームローラーが実際には何をしているのかも説明します。最後に、走る人がマッサージに期待していいことと、期待してはいけないことを正直に分けます。読み終わる頃には、ケアの順番が今とは変わっているはずです。

走ったあとの脚に、何が起きているのか

まず、着地の1歩でどれだけの力がかかっているのかを確認しておきます。ランニングは足を交互に前へ出す動作なので、体重より大きな力がかかっているという実感は持ちにくいものです。ただ、実測されたデータを見ると印象が変わります。

 

1987年に発表された研究があります。ランニング中に地面から受ける垂直方向の力は、体重の約2.5倍から3.0倍にのぼるという内容です。体重60キロのランナーであれば、1歩ごとに150キロから180キロ相当の力を脚が受け止めていることになります。

 

動作 地面から受ける力の目安 そうなる理由
通常の歩行 体重の約1.0〜1.5倍 常にどちらかの足が地面に接しているため、衝撃が緩やかに分散される
ランニング(平地) 体重の約2.5〜3.0倍 両足が地面から離れる瞬間があり、落下するエネルギーを片脚で受け止める
ランニング(下り坂) 平地の値をさらに上回る ブレーキをかけながら着地するため、筋肉が引き伸ばされながら力を出す
ジャンプの着地 体重の3.5〜8.0倍 片脚で着地した場合、下肢の関節にかかる瞬間的な負荷が特に大きい

 

10キロ走ると、歩幅にもよりますが、おおよそ7,000歩から8,000歩を刻むことになります。体重60キロの方であれば、1歩あたり150キロ以上の力を7,000回受けている計算になります。走り終えた脚が重いのは、その積み上がりの結果です。

衝撃は足首で終わらず、骨盤まで連鎖して伝わる

着地の力は、接地した足の裏で消えるわけではありません。足底から足首、すね、膝、太もも、股関節、そして骨盤から背骨へと、連なった鎖のように上へ伝わっていきます。この連鎖の途中で、筋肉と腱と靭帯、それに関節の軟骨がばねのように働き、力を少しずつ分散して吸収します。

 

だから、走ったあとに張るのはふくらはぎだけではありません。お尻の外側が硬い、腰の奥が重い、背中が張る。こうした場所は、着地の衝撃を上流で受け止めた結果として疲れています。

膝を曲げながら耐える筋肉が、疲れると衝撃を逃がせなくなる

この連鎖のなかでも、膝関節と太ももの前側の筋肉は特に重要な役割を担っています。着地の瞬間、膝はわずかに曲がります。このとき太ももの前側の筋肉は、縮もうとしながら外からの力で強制的に引き伸ばされています。ブレーキをかけながら伸ばされている状態です。

 

この働きが疲労で鈍ると、衝撃を吸収する余裕がなくなります。逃がしきれなかった力は、そのまま骨や関節に直接伝わることになります。走行距離の後半で膝が痛み出すのは、この機能が落ちてきたサインとして受け取ることができます。

筋肉痛が2日後にピークを迎える理由

走った翌日ではなく、翌々日のほうが痛い。この経験をお持ちの方は多いと思います。ここには理由があります。

 

まず、この痛みの原因は乳酸ではありません。乳酸は運動後1時間ほどで元の水準に戻るため、2日後の痛みを説明できないことが分かっています。実際に起きているのは、筋肉の微細な損傷と、そのあとに続く炎症の反応です。

 

筋肉が力を出しながら引き伸ばされるとき、筋線維のなかで構造の境目になっている部分が断裂します。筋肉を包む膜にも細かい損傷が生じます。すると細胞のなかのカルシウムイオンのバランスが崩れ、局所的に組織が壊れて炎症の連鎖が始まります。白血球の一種が集まってきて壊れた組織を片づけ、修復が始まります。

 

この過程で、痛みを引き起こす物質が作られます。傷そのものが痛いというより、修復の作業が痛みを生んでいる、という順序です。

痛みの正体は、傷そのものではなく神経の過敏

ここがもう少し込み入っています。修復の過程で作られた物質が、筋肉を包む膜にある神経の末端を敏感にします。敏感になった神経は、普段なら痛みと感じないくらいのわずかな圧や伸び縮みに対しても、痛みの信号を出すようになります。

 

筋肉痛のとき、階段を降りるのがつらかったり、押されると痛かったりするのは、この感度の変化によるものです。損傷の大きさそのものより、神経がどれだけ過敏になっているかが、痛みの強さを決めています。

 

時間の経過には、はっきりした型があります。走ったあと12時間から24時間で痛みが出はじめ、24時間から72時間の間にピークを迎えます。そこから数日かけて落ち着いていきます。翌々日がいちばんつらいのは、この型のとおりです。

同じ練習を繰り返すと、筋肉痛は軽くなる

久しぶりに走ったときの筋肉痛が特にひどいのは、多くのランナーが経験するところです。一度筋肉痛を経験すると、数週間から数か月の間は、同じ強度の運動をしても損傷と痛みが軽くなることが知られています。

 

逆に言えば、走る習慣が数か月途切れると、この保護が切れます。再開したときに以前と同じメニューをこなすと、体の受けるダメージは以前より大きくなります。ブランク明けに張り切って距離を戻すと、想定より深い疲労が残るのはこのためです。

市民ランナーの中心は、いま40代以上に移っている

疲労の抜け方の話をする前に、日本で走っている人の顔ぶれを確認しておきます。笹川スポーツ財団が継続して行っている「スポーツライフに関する調査」に、ジョギングとランニングの推計実施人口が出ています。

 

調査年 推計実施人口(全体) 男性 女性
2020年 1,055万人 744万人 300万人
2022年 877万人 612万人 245万人
2024年 758万人 564万人 175万人

 

※全体と男女別は、それぞれ別に算出された推計値です。男女を足した数と全体の数は一致しません。

 

全体では2020年をピークに減っています。ただ、年代別に見ると別の動きが出ています。2024年の調査で実施率がいちばん高いのは男性の40歳代で11.4%、50歳代も微増しています。女性は40歳代の5.1%が全年代で最も高く、60歳代と70歳以上でも増えています。

 

減っているのは主に若い世代です。女性の20歳代は2020年の15.8%から2024年には4.9%まで落ちています。実施率という尺度で見るかぎり、走る習慣が残っているのは40代以上の層だということになります。若い世代ほど、走ることから離れています。

 

この年代の体には、20代と同じ回復の速さを前提にできない事情があります。加齢に伴い、筋組織の弾力が低下し、細胞が修復されるまでの時間が延びやすくなるとされています。走る力が落ちるというより、走ったあとに戻るまでの時間が変わる、というほうが実感に近いはずです。

 

そして、この年代のランナーは仕事と家庭を抱えています。回復のために丸一日を空けることができません。限られた時間のなかで、どのケアに時間を使うかを選ぶ必要があります。だからこそ、効果の大きさで並べ直しておく意味があります。

疲れが抜けきらないまま、次の練習に入っていないか

長い距離を走ったあと、体のなかでは複数の回復が同時に進んでいます。厄介なのは、それぞれの回復にかかる時間が違うことです。息が上がらなくなったから戻った、とは言えません。

エネルギーの補充が、筋肉の損傷で遅れる

長距離を走ると、筋肉に蓄えられていた糖が使い果たされます。普通であれば、炭水化物をしっかり摂ればこの蓄えは速やかに戻ります。

 

ただし、1980年代に重ねられた一連の研究で、条件が変わることが分かっています。筋肉が引き伸ばされながら力を出すと、微細な損傷が残ります。この損傷があると、糖を細胞に取り込む働きと、それを蓄える酵素の働きが妨げられます。その結果、十分に炭水化物を摂っていても、完全に戻るまでに数日から1週間以上かかることがあります。

 

レース後に「食べているのに力が入らない」という感覚が続くのは、この時間差によるものです。補給が足りないのではなく、受け取る側の準備が整っていません。

レース直後は、体を守る力も一時的に下がる

長時間の激しい運動のあと、免疫の働きが一時的に落ちる時間帯があることが知られています。この間は、喉や鼻の感染症にかかりやすくなります。加えて、消化器への血流が減ることによる内臓の疲れや、自律神経の疲れも重なります。

 

レースのあとに体調を崩す方が多いのは、根性や体力の問題ではありません。そういう時間帯が実際に存在します。

レース後、どのくらい空けるのが安全か

心肺の機能は1週間ほどでおおむね元の水準に戻るとされています。一方で、筋肉の微細な構造が整うまでには、それより長い時間がかかると考えられています。

 

初心者や一般の市民ランナーの場合、レース後3日から1週間は完全休養が安全とされています。動くとしても、ウォーキング程度にとどめます。本格的な練習の再開には、2週間から1か月ほどの期間を見ておくと安心です。

 

この期間を短くしたい、という気持ちはよく分かります。ただ、短くする方法はありません。できるのは、同じ期間のなかで回復の質を上げることだけです。

 

冒頭に挙げた、日曜に走って木曜にはもう次の練習、という周期を思い出してください。仕事と生活がある以上、この間隔そのものを動かせないことのほうが多いはずです。それなら、間隔のなかの過ごし方を変えるしかありません。限られた3日をどう使うかで、木曜日の脚は変わります。次の章は、その使い道を効果の大きさで並べたものです。

疲労回復の方法を、効果の大きさで並べ直す

ここがこの記事の中心です。走ったあとにできることは複数ありますが、それぞれの効果には差があります。しかも、その差は多くのランナーが思っている順番とは違います。

 

2018年に発表された分析は、99件の研究を統合して、疲労回復の各手法を同じ土俵で比較したものです。筋肉痛の軽減、主観的な疲労感、血液中の指標という3つの角度から、それぞれの手法がどれだけ効いたかを並べています。

 

手法 筋肉痛への効果 疲労感への効果 押さえておきたいこと
マッサージ 比較された手法のなかで最も大きい 最も大きな軽減 筋損傷や炎症を示す血液中の指標も有意に低下した
睡眠 比較の対象外 比較の対象外 すべての回復の土台。7時間から9時間の確保が最優先
冷水浴 有意な軽減 有意な軽減 急性期の痛みには有効。ただし常用には注意点がある
着圧ウェア 有意な軽減 有意な軽減 着るだけで済むため取り入れやすい
フォームローラー 有意な軽減 有意な軽減 組織の修復は促進しない。効いている場所が別にある
軽く体を動かす回復走 効果は小さい 有意差なし 完全休養と比べた差は限定的とする見方が主流
静的ストレッチ 効果は確認されていない 効果は確認されていない 筋肉痛の予防や回復の手段としては機能しない

 

この表を見て、順番が想像と違うと感じた方が多いのではないでしょうか。多くのランニング記事で最初に挙げられるストレッチが、いちばん下にあります。ここを説明しておきます。

静的ストレッチは、筋肉痛には効かない

複数のレビュー研究で、運動後の静的ストレッチについて「筋肉痛の軽減効果は観察されなかった」という結論が示されています。効果量がほぼゼロ、という報告です。

 

これは、ストレッチが無意味という意味ではありません。目的が違います。ストレッチが役に立つ場面は、はっきりしています。

 

  • 過度に縮んだ筋肉を、元の長さに戻す
  • 副交感神経を優位にして、心身の緊張をほどく
  • 時間をかけて、関節の動く範囲を広げていく

 

いずれも価値のある目的です。ただ、筋肉痛を軽くすることはその中に入っていません。ここを取り違えると、走ったあとの限られた時間をストレッチだけに使って、痛みが引かないことに落胆する、という順番になります。

 

さらに、走る直前の長い静的ストレッチには別の注意点があります。筋肉と腱は引き伸ばされたときにエネルギーを蓄え、縮むときにそれを放出することで、効率よく体を前へ運んでいます。運動前に長く伸ばしすぎると、このばねとしての硬さが落ち、エネルギーの伝わり方が悪くなります。加えて、筋肉の伸びを感知するセンサーの感度が鈍り、神経から筋肉への指令が一時的に抑えられることもあります。

 

走る前は、心拍を上げながら関節を動かす動的なウォームアップに切り替えるほうが理にかなっています。静的ストレッチは、走る前後から時間を切り離して、入浴後や就寝前に行うのがいちばん合理的です。

フォームローラーが効いているのは、組織ではなく神経

フォームローラーは、多くのランナーが使っています。実際、筋肉痛と疲労感の軽減について有意な効果が報告されています。

 

ただ、効いている仕組みが、一般に言われているものとは違います。2019年の研究に、その報告があります。フォームローラーが変えているのは組織の状態ではなく、痛みの感じ方でした。神経のレベルでの変化です。

 

筋膜の癒着を物理的にはがしている、という説明を目にすることがあります。実際に起きているのは、皮膚や筋膜にある圧のセンサーが刺激されることです。そこから痛みの信号の伝わり方が変わり、伸ばされることへの耐性が上がります。

 

これは使わない理由にはなりません。痛みが軽くなること自体に価値があります。ただ、組織が治っているわけではないので、「ローラーをかけたから練習を再開していい」という判断には使えません。使うなら、1つの部位につき90秒から120秒が一般的な目安とされています。

冷水浴は、いつでも使っていいわけではない

冷水浴は、10度から15度の水に10分から15分ほど入る方法です。冷たさで血管が縮み、腫れが広がるのを抑え、炎症の反応を鈍らせます。レース直後の痛みを抑える手段としては有効です。

 

ただし、注意点があります。炎症は、筋肉が強くなるための信号でもあります。トレーニング期に毎回冷水浴を行うと、その信号を打ち消してしまい、体が適応して強くなる過程を妨げる可能性が指摘されています。

 

使いどころは、レース後などの急性期に限るのが合理的です。日常の練習後に毎回行う方法ではありません。

睡眠と入浴は、すべての土台

ここまで挙げた手法は、いずれも土台の上に乗るものです。土台にあたるのが睡眠です。7時間から9時間の確保が、どの回復手段よりも優先されます。

 

入浴も同じ位置づけです。体を温めて血流を促し、副交感神経に切り替える。この2つが確保できていない状態で、上に何を積んでも効きが鈍ります。

 

逆に言えば、睡眠と入浴だけでは届かない部分があるから、その上に別の手段を置く意味が生まれます。

自分の手では届かない場所が、故障の起点になっている

セルフケアには構造的な限界があります。届く場所と届かない場所が、体のつくりによって決まっているからです。ランナーが痛める部位を並べると、その線引きがはっきり見えてきます。

ランナーが痛める場所は、だいたい決まっている

故障の名前 痛む場所 実際に硬くなっている場所
腸脛靭帯炎(ランナー膝) 膝の外側 お尻の外側から太ももの外側にかけての筋肉
足底腱膜炎 かかとから土踏まず ふくらはぎの深部とアキレス腱
シンスプリント すねの内側 すねの奥にある足首を支える筋肉
膝蓋大腿疼痛症候群(膝のお皿の周りの痛み) 膝のお皿の周囲 太もも外側の筋肉と、内側の筋力のバランス

 

この表で注目していただきたいのは、痛む場所と硬くなっている場所がずれていることです。膝の外側が痛むランナー膝は、膝そのものより、お尻の外側の筋肉の緊張が引き金になっています。かかとが痛む足底腱膜炎は、ふくらはぎの柔軟性が落ちて足首が曲がりにくくなり、その分を足の裏が肩代わりして起きています。

 

痛いところを揉んでも変わらない、という経験がある方は多いはずです。原因が別の場所にあるなら、当然のことです。

お尻の奥とすねの奥は、自分では押さえにくい

お尻の外側や奥にある筋肉は、大きな筋肉の下に隠れています。自分でほぐそうとすると、上に乗っている大きな筋肉を押しているだけで、目的の場所まで力が届きません。テニスボールに乗る方法もあります。ただ、体重をかける角度を自分で調整するのは難しいものです。痛みが出ると、反射的に力が入って逃げてしまいます。

 

すねの奥にある筋肉も同じです。骨と骨の間の深い層にあるため、表面から押しても届きません。

 

そしてもうひとつ。自分でほぐすとき、体は必ずどこかに力を入れています。支えるために踏ん張っている。この状態では、緩めたい筋肉が完全には緩みません。

 

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正直に書きます。マッサージを受けても、速くはなりません

ここは誠実に書いておきたい部分です。

 

マッサージを受けると、ジャンプ力や走る速さ、筋力そのものが上がる。こうした直接的な効果を示す明確な根拠は乏しい、というのが現在の見解です。2020年にスポーツ医学の専門誌で報告された内容も、同じ方向を向いています。

 

マッサージができるのは、落ちた状態から本来の水準へ戻る過程を助けることと、痛みを和らげることです。ゼロから上へ引き上げる手段ではありません。

 

ただし、戻る速さが変わることには意味があります。2024年に、47件の研究を統合した分析が発表されました。マッサージを受けたあと、関節の動く範囲が有意に広がることが示されています。痛みと張りが引いて可動域が戻れば、次の練習で本来のフォームと出力を保ちやすくなります。フォームが崩れたまま距離を踏むことが故障の入り口になるので、そこを防げることには十分な価値があります。

 

速くなるための手段ではなく、走り続けるための手段。この位置づけで考えていただくのが正確です。

タイ古式マッサージが、走る人の体と合う理由

そのうえで、なぜタイ古式マッサージなのかをお話しします。

委ねることで、自分では緩められない場所が緩む

タイ古式マッサージでは、施術を受ける方は基本的に力を抜いて横になっています。脚を持ち上げる、股関節を開く、体をひねる。こうした動きはすべてセラピストが行います。

 

自分でストレッチをするときとの決定的な違いがここにあります。自分で伸ばすときは、伸ばすための力を自分で出しています。支える側の筋肉が働いているので、体はどこかで踏ん張っている。委ねている状態では、その踏ん張りが不要になります。

 

お尻の奥、股関節の前側、すねの奥。自分では力を抜ききれない場所に、外から角度をつけて働きかけられるのは、この構造があるからです。

圧の入れ方が、走る脚の疲れ方と合っている

タイ古式マッサージでは、手のひらや親指、肘、足などを使い、体重を利用してゆっくりと圧を入れていきます。強く速く押すのではなく、深いところへ時間をかけて届かせる方向の技術です。

 

走ったあとの脚は、表面の筋肉だけでなく、その下の層まで疲れています。表面を強くこするだけでは届きません。ゆっくり体重を乗せていく圧は、深い層にたどり着くまでの時間を確保できます。

完全個室であること

ラダシアは全店舗を完全個室でご用意しています。走ったあとの体は、緩めようとしても緊張が抜けにくい状態にあります。人の目や話し声が気になると、それだけで体は警戒を解きません。

 

施術中に眠ってしまう方もいらっしゃいますが、それは体が完全に警戒を解いた状態です。回復という観点では、その状態に入れるかどうかが結果を左右します。

オイルで流すという選択

脚全体がむくんで重い、ふくらはぎが張って熱を持っている。こうした状態のときは、バリニーズアロマのオイルトリートメントという選択もあります。

 

ストレッチ中心のタイ古式に対して、こちらは手のひら全体で圧をかけながら流していく施術です。レース直後で筋肉に微細な損傷が残っている時期は、大きく動かすより流すほうが体に合うことがあります。当日の状態をお聞きしたうえで、どちらが合うかをご提案しています。

 

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走ったあと、いつ受けるのがいいのか

タイミングによって、受けるべき内容が変わります。

 

タイミング 体の状態 向いている内容
走った当日 炎症が始まったところ。微細な損傷が残っている 強い刺激や大きなストレッチは避け、流す施術を軽めに
翌日〜3日目 筋肉痛のピーク。神経が過敏になっている 痛みの出ない範囲で。この時期に無理に伸ばさない
4日目以降 痛みが引きはじめ、硬さが残る時期 硬くなった部位への本格的なアプローチに適する
次の練習の前日 可動域を整えておきたい時期 股関節まわりを中心に動きを出す

 

レース直後は強い刺激を避けたほうがよい、という点は押さえておいてください。損傷が残っている筋肉に強い力を加えると、その損傷を広げる恐れがあります。当日に受けられる場合は、軽めに流す内容をお選びください。

 

ご予約の際に、いつ何キロ走ったかをお伝えいただけると、内容を調整できます。「昨日フルを走りました」の一言があるかないかで、こちらの組み立ては変わります。

 

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こういう状態のときは、受けずに医療機関へ

受けていただかないほうがよい場合があります。

 

  • 特定の場所に鋭い痛みがあり、押すとそこだけ強く痛む
  • 安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める
  • 腫れや熱感、内出血がある
  • 痛みが2週間以上続いている
  • しびれや力の入らない感覚をともなう

 

これらは疲労ではなく、疲労骨折や腱の炎症など、別の状態が疑われる場合のサインです。整形外科でご相談ください。

 

消費者庁は2017年5月に、法的な資格制度のない手技による施術について注意を呼びかけています。2009年から2017年3月末までに、こうした施術に関連する健康被害が1,483件報告されています。なかには神経や脊髄の損傷、骨折といった重い事例も含まれていました。ラダシアの施術はリラクゼーションを目的としたものであり、症状の治療を行うものではありません。判断に迷う痛みがある場合は、まず医療機関を受診してください。

 

あわせて、施術前にお伝えいただきたいことがあります。人工関節を入れている、骨密度の低下を指摘されている、急性の腰痛が出ている。こうした場合、関節を大きく動かす施術は適しません。内容を変更するか、時期を改めていただくご相談をします。

よくあるご質問

マッサージで疲労回復はできますか?

できる部分と、できない部分があります。99件の研究を統合した分析があります。筋肉痛の軽減と主観的な疲労感の改善において、比較された手法のなかでマッサージが最も大きな効果を示しました。筋損傷や炎症を示す血液中の指標が有意に下がったことも報告されています。

 

ただし、この数値の変化は、傷ついた筋線維が早く治ったという意味ではありません。損傷した組織から血液中へ漏れ出た物質が、片づけられる速さのほうが変わったと考えられています。圧迫と摩擦によって局所の血流と組織液の流れが助けられ、物質が血中に残りにくくなる、という説明です。

 

一方で、消耗したエネルギーの補充や、傷ついた筋線維そのものの修復は、栄養と睡眠と時間が担う領域です。マッサージがそこを肩代わりすることはできません。回復の全部ではなく、痛みと張りと可動域の部分を受け持つ手段だとお考えください。

ランニングの疲労回復に効果的な方法は?

先ほどの表は効果の大きさで並べたものですが、こちらは着手する順番です。まず睡眠を7時間から9時間確保すること。次に入浴で体を温めること。この2つが土台で、ここが崩れていると上に何を積んでも効きが鈍ります。

 

そのうえで、走った直後は炭水化物とたんぱく質の補給を早めに行います。痛みと張りが強いときは、比較研究で効果の大きかったマッサージが選択肢に入ります。ただし痛みのピークにあたる3日目までは、伸ばす施術ではなく流す施術を選び、圧も弱めます。受ける時期によって内容を変える、という考え方です。レース直後の急性期に限っては、冷水浴も有効です。着圧ウェアは手間がかからないので、併用しやすい方法です。

 

逆に、筋肉痛を軽くする目的で静的ストレッチに時間をかけるのは、効率がよくありません。ストレッチは可動域の維持とリラックスのために、走る前後から時間を離して行うほうが目的に合っています。

走った後にマッサージをすると良いことは?

3つあります。

 

1つ目は、痛みと張りが軽くなることです。圧の刺激によって痛みを和らげる物質の分泌が促され、ストレスに関わるホルモンが下がる可能性が示唆されています。ウルトラマラソンの参加者を対象にした調査でも、レース後のマッサージが主観的な痛みの点数を有意に下げたと報告されています。

 

2つ目は、関節の動く範囲が戻ることです。2024年に47件の研究を統合した分析で、有意な改善が確認されています。組織の温度が上がり、筋肉と筋膜の性質が変化し、リラックスの反応が起きることで、筋肉が伸びやすくなると考えられています。

 

3つ目は、次の練習でフォームを保ちやすくなることです。張りと痛みを抱えたまま走ると、無意識に動きをかばい、別の場所に負担が移ります。ここを断てることが、故障の予防につながります。

マッサージで筋疲労は回復しますか?

筋疲労という言葉には、複数の状態が含まれています。分けて考える必要があります。

 

筋疲労の中身 マッサージの働き 主に必要なもの
筋肉痛と張り 比較研究で最も大きな効果 時間の経過とあわせて
関節が動きにくい 有意な改善が確認されている 継続したケア
エネルギーの枯渇 直接の働きかけはできない 炭水化物の補給と時間
筋線維の微細な損傷 修復を早めるわけではない たんぱく質と睡眠と時間

 

上の2つには効き、下の2つには効かない。この線引きを持っておくと、期待の置き場所を間違えずに済みます。

ランニングをした当日にマッサージを受けても大丈夫ですか?

内容を選べば問題ありません。当日は炎症が始まったばかりで、筋肉に微細な損傷が残っています。この時期に強い圧や大きなストレッチを加えると、損傷を広げる恐れがあります。

 

当日にお越しいただく場合は、オイルで流す施術を軽めに行うか、圧を弱めたタイ古式をご提案しています。走った距離と時間をお伝えいただければ、こちらで調整します。

ランナーはどのくらいの頻度でマッサージを受けるといいですか?

走る量によって変わります。週に1回から2回、10キロ前後を走る方であれば、月に1回で十分に間に合います。週に3回ほど走り、月間100キロを超える方は月に2回。週に4回以上で月間150キロを超える方は、10日に1回ほどのペースにされる方が多いです。

 

レースに向けて距離を伸ばしている時期は、間隔を詰めていただくほうが安心です。大会の1週間前に一度受けて、可動域を整えてから当日を迎えるという使い方をされる方もいらっしゃいます。

体が硬いランナーでも、タイ古式マッサージを受けて大丈夫でしょうか?

問題ありません。体の硬さは、施術を受けられるかどうかの条件にはなりません。

 

タイ古式マッサージのストレッチは、可動域の限界まで伸ばすものではありません。その方の今の範囲のなかで、無理のない角度を探しながら動かしていきます。痛いところまで伸ばすことはしませんので、力を抜いてお任せください。

まとめ

走ったあとの脚に何が起きているのかを、順を追って見てきました。

 

着地の1歩で、体重の2.5倍から3.0倍の力が脚にかかっています。その衝撃は足首で終わらず、骨盤まで連鎖して伝わっていきます。翌々日に痛みのピークが来るのは、傷そのものではなく、修復の過程で神経が過敏になるからです。

 

そして、いま日本で走り続けているランナーの中心は40代以上に移りつつあります。回復に使える時間が限られている年代です。だからこそ、何に時間を使うかの順番が結果を分けます。

 

99件の研究を統合した分析があります。筋肉痛と疲労感の軽減において、比較されたすべての方法のなかでマッサージが最も大きな効果を示しました。静的ストレッチについては、筋肉痛を軽くする効果は確認されていません。睡眠と入浴を土台にしたうえで、自分の手が届かない深いところに外から働きかけることには、それだけの意味があります。

 

マッサージを受けても速くはなりません。ただ、痛みと張りが引いて可動域が戻れば、次の練習を本来のフォームで走れます。走り続けるための手段として、選択肢に入れていただければと思います。

 

秋から冬にかけて、大会が続くシーズンに入ります。1本のレースを走り切るためではなく、シーズンを通して走り続けるために、一度体を戻しておきませんか。

 

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タイ古式マッサージとバリニーズアロマの2つに専門特化し、全店舗を完全個室でご用意しています。セラピストは15日間の研修と卒業試験を経て現場に立っていますので、初めての方もご安心ください。

 

※当店の施術はリラクゼーションを目的としたものであり、医療行為ではありません。疾病の治療や症状の改善を目的とするものではなく、診断や治療は行っておりません。痛みが続く場合や気になる症状がある場合は、整形外科などの医療機関にご相談ください。

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